旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

ダブレラの図鑑

2007-06-08 | 
Bernard D’abrera は主に大英(自然史)博物館(B.M.N.H.)所蔵の標本を使用して世界のチョウの図鑑を次々に著してきた。

残念ながらミスが目立つが、BMNHのタイプを含む多数の標本のカラー写真が収録されていて、とても便利な本で、誤りに注意しながら利用すれば大いに役に立つ。

僕の記載した新種が多数、収録されているのだが、記載文献名や記載年などにやはり誤りが多いのが残念でならない。

上掲の図版は「Butterflies of the Oriental Region(Part Ⅲ)」の中で珍しく誤りのほとんど無いページで、僕の記載した新属新種のシジミチョウを掲載している。


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阪口浩平博士の著書とサカグチ ムラサキシジミ

2007-06-08 | 
元京大教授、故阪口浩平博士はノミ類研究の権威として知られるが、蝶を初めとして、昆虫への造詣も深かった。

著書は数多くあるが、亡くなる数年前の1981年に保育社より出版された「図説 世界の昆虫」は博士の研究の集大成として、後世に残る大著である。

本書の「2、東南アジア編Ⅱ」に僕の記載した新種のチョウが多数収録されていて、うれしい誇りとなっている。

博士に献名した Arhopala sakaguchii H.HAYASHI サカグチ ムラサキシジミ は日本に分布しているムラサキシジミの仲間だが、フィリピン特産種で、翅表の金属光沢を帯びた濃紫青色や淡紫青色がとても美しい種である。

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白水(しろうず) 隆 博士に献名したシジミチョウ

2007-06-08 | 
残念なことに先年亡くなられたが、白水(しろうず)先生といえば、蝶に関心を抱く者にとっては誰一人知らぬ者はいない我が国の蝶研究の大家である。

専門家であることを傲らず、アマチュアの報告や研究も大事にし、多くの人たちに慕われてきた。

僕も中学生の時、幼稚な質問のハガキを先生宛に出したところ、子供相手に丁寧な返事をいただいたことがあり、今更ながら先生の人柄が懐かしく偲ばれる所以である。

僕自身が新種の蝶を記載出来る立場になった時、先生への感謝の気持ちを込めて、金属光沢を帯びた濃青色に輝く美しいシジミチョウに先生の名を付けた。フィリピンのミンダナオ、レイテ、サマール、ネグロス、各島の山岳地帯に生息するHypolycaena shirozui  H. HAYA- SHI  シロウズ ツメアシフタオシジミ である。

2003年に発行された先生の大著「続・日本産蝶類文献目録」に「白水 隆 博士に献名された蝶3種」の一つとして、上掲の画像に見られるように紹介していただいた。




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イギリス人女性が我が家にホームステイ

2007-06-08 | その他
1979年(昭和54年)、英語教師として日本にやって来たイギリス人女性、Rizが1年間、我が家にホームステイした。

我が家には当時小学2年生と3才の娘がいて、3才の娘は当初、恥ずかしがってRizを避けて家の中を逃げ回っていたが、1ヶ月もすると写真のようにすっかり慣れて、Rizとの生活を楽しむようになった。

娘たちは生の英語を耳で覚えて、簡単な英語だが本場の発音をまねてしゃべるようになって、幼児の時からの会話の勉強の重要さを身をもって教えてくれた。

しかし、・・・である。

Rizが帰国して、英語をしゃべる機会が無くなると、たちまち元の黙阿弥、まわりに英語が氾濫しているような状態でないとキープアップしていくのは困難であるのがよくわかった。

結局、我が家の娘たちの英語力はその後、下降の一途を辿ってしまった。

そのRizも今や3人の大きな息子を持つイギリスのおばちゃんになってしまっている。


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小説「黄色い皇帝」vs.「瑠璃の王」

2007-06-01 | 
以前に高樹のぶ子の小説「億夜」を紹介したが、「億夜」とは違い、芝木好子の「黄色い皇帝」は、新種の蝶を追い求める男が主人公という意味で、異色の作品である。「黄色い皇帝」とは、主人公が追い求める黄色の斑紋を持った新種の蝶のことである。

僕が記載した新種の中に画像に見られるような瑠璃色に輝く美しい翅を持った蝶がいる。オータニ ルリヒカゲ Ptychandra ohtanii H.HAYASHI といい、フィリピン・ミンダナオ島のアポ山(2、995m)から知られるのみというきわめて局地的な分布をする種である。

「黄色い皇帝」になぞらえて、僕の発見した蝶を「瑠璃の王」と呼んで、未知の蝶を発見しようとする男の生き様を自分に重ね合わせて、一人で悦に入っている。

   

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