「知の探検 3-1,3-2」で日本とモンゴルには茸を幼虫時代に食べる蛾が存在することを探求してきた。一方、幼虫時代に茸を食べる蝶の記録は見つけられなくて、茸を食草とする蝶はいないだろうとの思いが、長期間ぼくの頭の中を占めてきた。2017年、はるか離れた中米のコスタリカ(下の地図)で茸を食草とする蝶(それもぼくの専門分野のシジミチョウ・・・但し、ぼくの専門は東南アジアのシジミチョウ)が見つかっていたのだ!
2020年にコスタリカ在の探検昆虫学者・西田賢司氏を第一筆者とする研究論文「One side makes you taller: a mushroom-eating butterfly cater ( Lycaenidae) in Costa Rica」が発表されて、茸を食べる(食草とする)蝶なんていないだろうとのぼくの思いは消し飛んでしまった。彼は研究室兼住居の前の林縁に落ちていた「サルノコシカケ科のキノコ」を食べていた幼虫を発見したのだ。たぶん傍に生えていた樹に着生していたキノコだろう。(下の写真)けっこう大きなキノコであるが、無視せずに拾い上げて観察したのだから、さすが西田氏である。
キノコに付いていたシジミの幼虫である。
「知の探検 3-1」の中でムラサキアツバはカワラタケ(サルノコシカケ科)をも食するとの記述があったのを記憶にとどめておいてくださっているだろうか。偶然にも日本の蛾とコスタリカの蝶とがサルノコシカケ科のキノコを食草としている事実にやはり鱗翅目(蝶・蛾)という同じグループに属するのもむべなるかな・・・との思いを強くした。
成虫、すなわち羽化したシジミチョウ(メス)である。学名はElectrostrymon denarius 西田氏は和名を「ドウイロチュウベイ(銅色中米)カラスシジミ」と呼んでいる。家の近くで幼虫が見つかるぐらいだから普通種であろう。西田氏はこれをきっかけにこのシジミチョウをいろいろな視点から調査や研究をしてみたら面白いのではないか・・・それこそが論文のタイトルにふさわしいと思っておられる。キノコを食べる蝶! すばらしい発見である。
本稿中、地図を除く画像は西田氏他の論文から借用させていただいた。ここに記して厚くお礼を申し上げる。
2020年にコスタリカ在の探検昆虫学者・西田賢司氏を第一筆者とする研究論文「One side makes you taller: a mushroom-eating butterfly cater ( Lycaenidae) in Costa Rica」が発表されて、茸を食べる(食草とする)蝶なんていないだろうとのぼくの思いは消し飛んでしまった。彼は研究室兼住居の前の林縁に落ちていた「サルノコシカケ科のキノコ」を食べていた幼虫を発見したのだ。たぶん傍に生えていた樹に着生していたキノコだろう。(下の写真)けっこう大きなキノコであるが、無視せずに拾い上げて観察したのだから、さすが西田氏である。
キノコに付いていたシジミの幼虫である。
「知の探検 3-1」の中でムラサキアツバはカワラタケ(サルノコシカケ科)をも食するとの記述があったのを記憶にとどめておいてくださっているだろうか。偶然にも日本の蛾とコスタリカの蝶とがサルノコシカケ科のキノコを食草としている事実にやはり鱗翅目(蝶・蛾)という同じグループに属するのもむべなるかな・・・との思いを強くした。
成虫、すなわち羽化したシジミチョウ(メス)である。学名はElectrostrymon denarius 西田氏は和名を「ドウイロチュウベイ(銅色中米)カラスシジミ」と呼んでいる。家の近くで幼虫が見つかるぐらいだから普通種であろう。西田氏はこれをきっかけにこのシジミチョウをいろいろな視点から調査や研究をしてみたら面白いのではないか・・・それこそが論文のタイトルにふさわしいと思っておられる。キノコを食べる蝶! すばらしい発見である。
本稿中、地図を除く画像は西田氏他の論文から借用させていただいた。ここに記して厚くお礼を申し上げる。