旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

小説「億夜」と槐(えんじゅ)

2022-02-01 | 
槐咲蝶群(えんじゅちょうのようにむれてさく)

槐。開花時期は7月~8月。正しく蝶が群れているように見える。ずっと以前に高樹のぶ子さんの小説「億夜」をこのブログで取り上げたことがあった。
思いがけず弟の展翅中の蝶の標本を壊してしまった兄の婚約者はそれをきっかけに弟に惹かれ恋人になる。しかし時を経て弟は自ら命を絶ってしまう。彼女は結局兄とは別の男と結婚することになった。小学校の先生同士だったが、後に夫は病気のために勤めをやめ、骨董屋「槐屋」を始めた。最初「億夜」を読んだ時変わった屋号だなとしか思わなかった。しかし「槐咲蝶群」を知ってアッと思った。蝶に関係がある おまけに花言葉は「慕情」!!
この小説にはまだ伏線があったのだ。彼女と結婚しなかった兄との中年期のエロスへの導入を象徴する重要な一文字だったのだ。高樹のぶ子さんは凄い人だな・・・自らの不明を今になって恥じ入るばかりである。 

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