旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

和歌山県日高町西山から放たれたアサギマダラと尖閣諸島中国漁船衝突事件と香港

2023-12-01 | 
タイトルをご覧になってどういう関連があるのか、 に思われたことだろう。
すでに13年前になるのだが、2010年9月7日に沖縄県・尖閣諸島付近で操業中の中国漁船と日本の海上保安庁の巡視船が衝突して、当然だが日中間でややこしい事件に発展してしまい、後々にいろんな問題を引き起こしていた。

話は飛ぶが、翌年の2011年10月に和歌山県日高町西山(標高328.7m)で採集されマーキングされ放蝶されたアサギマダラが高知県香美市を経由して12月に香港で捕獲されて、当時の最長移動距離(約2,500km)を記録して日本のマスコミだけでなく香港のマスコミでも大きく取り上げられた。
一方、大阪市立自然史博物館はアサギマダラの渡りの研究や観察を熱心に行っていて、学芸員の方が香港を訪問した際、現地の蝶愛好家の人たちに歓迎されて香港の新聞に取り上げられたほどであった。そして香港の蝶愛好家たちが日本へ、大阪へ、そして和歌山の西山を訪問する話に発展した。その際大阪市立自然史博物館はもちろんのこと和歌山県の博物館も協力していただくことになっていた。
ところが1年もたっているのに尖閣諸島の事件が尾を引いていて、訪日の予定が近づいた時、香港の蝶愛好家から今は時期的に適当でないという連絡があって彼らの訪日はキャンセルになってしまった。香港側の事情があったのだろうが、蝶々と尖閣諸島事件が結びつくとは予想もしていなかったので呆気に取られてしまった。筆者はこの時、弱輩ながら大阪市立自然史博物館と和歌山県側との仲立ちをしたので強く印象に残っていた。

2023年11月3日の朝日新聞の「季節を渡る」というタイトルで上記の西山の山頂付近で、アサギマダラがフジバカマの花の上を飛び回る幻想的な光景の写真と記事が目に止まったので、ひょっと思い出してしまった。
当日の紙面の写真のコピーを下に掲げた。
朝日新聞社と撮影された方に、懐かしい出来事を思い出す機会を与えてくださったことに厚く感謝申し上げます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする