旅人ひとりー大阪大学探検部一期生のたわごとー

とこしえの精神(こころ)を求めて、さまよ(彷徨)う旅人ひとり。やすらぎを追い続け、やがてかなわぬ果てしなき夢と知るのみ。

豚かつの「かつくら」に蝶の絵が!

2024-11-01 | 
昨年12月下旬、アメリカに戻る娘を見送って伊丹空港に行った。
手荷物検査を終えた娘の姿がみえなくなったのを確認して遅めの昼食を取ることにした。
何軒かの飲食店を見て回ってると「かつくら」が目に入った。
大阪では店舗が少ないので行く機会がほとんどなかったが、「麦ご飯の豚かつや」さんとして、ずいぶん前に京都まで食べにいったことがある。久しぶりに味わおうと決めた。
席に座ってメニューを手に取ると見慣れない定食が目に止まった。
山西牧場・茨城県産・三(さん)右(え)衛門(もん)豚かつ・・・初めて目にした銘柄豚だ。


よし、一度食べてみよう! 脂肪摂取を制限されている身になった筆者はヒレかつを注文した。


揚げたてのサクサクした衣が見るからにおいしそうな豚かつに付いていたのは麦飯ではなくて、時が流れたせいか白米だった。長い間食べていないからなあと思いつつ、たくさんのキャベツをお代わりしながら一緒に食べ始めた。箸を休めている間に店内を見渡して、斜め前方の壁に掛けられている横長の大きな絵が目についた。


青色を背景に月明りの下に飛んでいるのは蝶々らしい。豚かつやさんで蝶々という組み合わせは思いもよらなかったが、筆者にとっては蝶々が何ともうれしかった。
食後、店の方にお願いして写真を撮らせていただいた。まさしく蝶々であった。


久しぶりに味わったおいしい豚かつと月明りに舞い飛ぶ蝶々の爽やかな姿に清々しい気持ちを抱いて店を後にした。

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44年前に国際昆虫学会議が日本で開催されていた!

2024-10-01 | 
第27回国際昆虫学会議(International Congress of Entomology)が今年2024年8月25日から30日まで国立京都国際会館で開催された。


昨秋発表された秋篠宮悠仁さまと科博の研究者の共同論文に加えて、この会議でポスター形式で発表されるとのことでマスメディアに取り上げられ注目を集めた。

1980年に第16回会議がアジアで初めて京都で開催されて以来で、その間日本を含むアジアでの開催はなかったので実に44年ぶりである。会場も同じ国立京都国際会館だった。
筆者が1972年、大英自然史博物館(BMNH)に留学していた時のスタッフ R.I.VaneWright氏が会議に出席するとのことで、当時は関西空港がなくて伊丹の大阪国際空港に迎えに行ったことを懐かしく思い出した。
ずいぶん前のことになるので、会議の記念に買ったのか、参加者だったのでいただいたのだったのか記憶にないが、幸い写真のごときネクタイピンが見つかった。




日本昆虫学会の会章が生きた化石といわれるムカシトンボなので、それを記念したものであろう。裏面にI C E1980KYOTO と入っている。

因みに当時の日本昆虫学会誌の別刷りの表紙を下に掲げた。



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防災の日に蝶の群舞の広告!

2024-09-01 | 
1年前、2023年9月1日、防災の日の朝日新聞に多くの蝶が舞っている広告が目にとまった。蝶好きな筆者は「能美防災」なる会社に興味を抱いた。



1923年、大正12年9月1日正午、安政、濃尾以来の大地震が京浜地区を襲った。のちに関東大震災と呼ばれるこの災害による被害は資料により若干異なるが、京浜地区を中心に死者9万1千余人、行方不明1万3千余人、負傷者10万4千余人に上るとされている。とりわけ東京本所横網町の陸軍被服しょう空地における被害は大きく、死者・行方不明だけで3万8千人から4万2千人と推定され、東京都内で最大の惨状を呈した。
創業者である能美輝一はこの惨状を目の当たりにし火災予防の研究へ、ひいては消防一任という姿勢を改め、防災システムや各種サービスを通じて社会の安全に貢献したいとの使命感から会社の方向性を定めたとのことである。
こんもりとした樹木、草原、川、高速道路などを挟んで高層建築の立ち並ぶ市街、これらを球体で表し、両手でしっかり支えている。この球体を地球の一部とし、数え切れぬ蝶たちが遥か彼方まで群れ広がっている。この蝶の飛び行くさまを「防災事業の枠を超え安心と安全を創造」とのキャッチフレーズに託しているのかも知れない。いずれにせよ、これらの蝶たちに平穏と安らぎを感じない人はいないだろう・・・蝶好きの筆者の誇大妄想かもしれないがどうかお許しを!

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筆者が記載した蝶の新種数、新亜種数、新属数を数えてみた❕ 2ー2

2024-08-01 | 
焼け跡の雑草の花には蝶たちがやって来る。高学年になるにつれて蝶採集に夢中になった。
今では見られなくなった蝶もいて、その頃はやった標本づくりに精を出し始めた。だんだん採集に遠出するようになり、中学3年生(1956年)の時には信州まで出かけた。
高校時代は生物研究部に入ったが、蝶を採集して標本にするだけではたとえ珍しい種であっても研究とはもちろん認められないので、あくまで趣味の領域にとどまっていた。いつか外国へ採集に行きたいと思っていたが、外国へ行くのが困難な時代だったので夢物語にとどまっていた。
大学時代に探検部一期生となりボルネオへの遠征隊の一員となって夢が実現した。当時のボルネオは秘境であったので新種が採集できるかもしれないとの思いが生まれて調査の合間に蝶採集に夢中になった。数百匹の蝶を採り、帰国後期待に胸をふくらませて調べたけれど新亜種さえ含まれていなかった。大学を卒業後、大英自然史博物館に留学。その後、せめて新亜種を記載したいと東南アジア、特に新しいものが採れそうなフィリピンに的を絞って採集に行き出した。
この作戦はズバリ的中し、新亜種はもちろん新種、新属を見つけ多くの記載論文を学会誌に投稿し、掲載されてきた。
そこで長年の間にどれだけ記載したか数えてみた。以下、1枚めを除いて画像を紹介しているだけで、種名、亜種名、オス、メス、翅表、翅裏など記入するのを割愛していることをどうかお許し願いたい。

○新種 39 
 ジャノメチョウ科、シジミタテハ科、シジミチョウ科、セセリチョウ科だが、ほとんどはシジミチョウ科。
 地域はフィリピン、ボルネオだが、ほとんどはフィリピン。

Britomartis igarashii H. Hayashi, 1976 イガラシコガタノフタオシジミ 産地 ボルネオ






○新亜種 50
 ジャノメチョウ科 1、テングチョウ亜科 1、シジミタテハ科 3、シジミチョウ科45、ほとんどはシジミチョウ科。
 地域はフィリピン、ボルネオ、インドネシアだが、ほとんどはフィリピン。



○新属 1
シジミチョウ科のオパールフタオシジミ属(学名Matsutaroa
分布は局地的でフィリピン中部、西ヴィサヤ地区のマスバテ、ネグロス、パナイの3島にのみ産する。


  
○シノニムとして消えたカワセミフタオシジミ属(学名Eliotia mioae)H. HAYASHI, 1978 について紹介する。
蝶の、世界中に通用する名前として、学名がある。学名は国際動物命名規約に詳しい取り決めがあり、新種を発見した場合、これに従って学名を決定し、記載論文を印刷物の形で発表する。
学名はリンネの提唱した二名法に基づいていて、属名と種名から成り、この二つの名前の組み合わせですべての動物の中のある特定の種を表すことが出来る。学名の後に命名者、命名年が続く。

ミオカワセミフタオシジミ Eliotia mioae H. HAYASHI , 1978


画像のシジミチョウを例にとれば、 Eliotia は属名、mioae は種名で、H. HAYASHI は命名者、すなわち筆者、そして 1978 は西暦で表した命名年である。もし亜種が存在する場合は、三名式となり、種名の後に亜種名が挿入される。
筆者は1978年(昭和53年)、このシジミチョウを模式種(タイプ標本)としてEliotia属を創設した。属とは分類上、種の上に位置し、一般的な表現を使えば、普通は幾つかの共通する特徴を持った種が集まって属を形成している(一属一種の場合もある)ので、いわばそのグループ名に当たるものである。
属名のEliotiaとは、筆者が長年にわたって有益な教えを受けた英国の著名な蝶研究者、J. N.Eliot氏に感謝の意を表して献名したもので、氏の姓をラテン語化したものである。
属名や種名を命名する時は、以前に学名として使われたことが無いことを確認して発表するのだが、1978年当時はせいぜい昆虫類で名前が重複していないか調べるのが関の山で、全動物をチェックすることは現実には不可能な作業だった。
最近はあらゆる分野でデータベース化が進み、全動物の学名のチェックが容易になった。その結果、属名Eliotiaは、1909年(100年前!!)に軟体動物のショウジョウウミウシ科の属名に使われていたのが判明した。中山書店発行の「動物系統分類学、軟体動物(Ⅱ)」の中のショウジョウウミウシ科の解説中に「別属Eliotiaは本邦未記録、地中海産」という記述がある。多分、20世紀初頭にEliotという名の別人に献名された属名であろう。これはホモニム(異物同名)といって二つの違った属に同じ属名が使われていることになり、後年シジミチョウの属名に使った筆者のEliotiaは無効名(junior homonym)となって消え、筆者の命名より後に付けられて、シノニム(同物異名:同じ属に二つの名前が付いていること)で無効名として消されていたRachanaという属名が復活することになった。
長くなったが、これがEliotia mioaeが現在Rachana mioaeという学名に変わった顛末記である。
それにしても新属の創設という多大なエネルギーと専門的知識を要求される作業が、ただ時代が早すぎた(データベースの無かった時代)ということと、Eliot氏の名前が姓としてはあまりにもありふれていた(J. N. Eliotさん、すみません)というだけで、筆者が世界中で一番初めにmioaeが既知の属とは違う新しいグループを形成しうるという考えを発表したという客観的事実まで、命名上のきまりとはいえ、葬られてしまうのには釈然としない思いを抱くと共に、mioaeを新しい属の創設にふさわしい種であると見抜いた筆者の慧眼(自画自賛ですみません)と努力が無に帰したのは、何とも残念でならない。


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筆者が記載した蝶の新属、新種、新亜種を数えてみた ❕ 2ー1

2024-07-01 | 
筆者は朝日新聞を購読しているが、生物、それも新種発見、すなわち分類の記事が結構よく目につく。小型種というよりもっと小さな生物で身近に存在していたが、あまりに小さいので今まで注目されていなかった微小生物についてである。もちろん微小生物でもすでに研究の対象になっている種は多くあるが、身近に存在しすぎて注意を払われなかった生物に焦点が当たり出したということだろうか。ただ身近に普通にいる生物だからといって、それらが新種であると確認するには専門的知識が必要なので事はそう簡単ではない。
でも身近にいる生物ということでこれは何だろうと疑問を持ったなら、あらゆるつてを求めて、いろんな専門家に見てもらうことがとにかく第一歩である。

筆者は多くの子供たちがそうであったように昆虫採集からスタートした。太平洋戦争が終わった昭和20年代、空襲で焼け野原だった大阪市内は虫たちの絶好の住み処であった。爆弾が落ちた跡は地面が深くえぐれたままで、爆弾池と呼ばれトンボの生息地になっていた。昼間は岸辺でトンボを取り、夕方になると夕焼けをバックにギンヤンマが群れを成して飛んで来る。糸の両端に重りをつけた仕掛け(と言えるほどのものではなかったが)を群れ目がけて投げ上げると、それを見つけたギンヤンマが急降下して来て翅に糸が絡んで地面に落ちてしまう。翅の色が褐色のメスが貴重で翌日はこのメスの胸部を糸で縛って短い棒の先にくくりつけ、ギンヤンマのオスが飛んでいるのを見つけるとメスをくくりつけた棒を掲げるとオスが交尾にやって来る。こうして難なくオスも採集出来た。いわゆるトンボ釣りである。蝶の話が出て来なくてすみませんでした。2-2に続く。

ギンヤンマ オス


産卵中のギンヤンマ メス

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わずか3日目の悲劇

2024-06-01 | 
筆者の自宅の中庭の白っぽい壁にアゲハチョウの前蛹を見つけたのは5月22日のことであった。


翌日には緑色型の蛹になっていた。


この家に住みだして6年足らずだが、庭の柚子の葉には毎年何回もアゲハチョウの卵が産み付けられ、幼虫が育っていた。でも蛹になる前に鳥に食べられるのであろうか、わずか数回、柚子の幹に付いた蛹から成虫すなわちアゲハチョウが羽化して飛び立つのを見ただけであった。
幹に着いた蛹はわかりにくいので、うまく鳥の目から逃れていたのだろうが、今回のように人の眼でさえ気づくところに蛹があるのでは危ないなと心配していたら、案の定24日の朝、壁に目をやると蛹の姿はなくなっていた。壁にはかすかに蛹の一部と思われる痕跡があった。


そして近くのエアコンの室外機の天板を覆っているカバーの端に鳥が蛹を食べ残したであろう跡が残っていた。


生存競争の結果とはいえ、蝶になって羽ばたくことも出来ずに命果てた蛹の冥福を祈らずにはおられなかった。

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自然史のイラストレーション~描いて伝える・描いて楽しむ~大阪自然史博特別展に因んで

2024-05-01 | 
大阪市立自然史博物館で2024年2月23日~5月26日までこのブログのタイトルのごとき特別展が開催されている。誰もが写真を気軽に撮れる今の時代に図や絵などイラストレーションを描く過程で、描き手によって必要な情報が取捨選択されることで、写真とは違った情報をもたらしてくれる。下はこの特別展の紹介ポスターである。





筆者は上の紹介文を読んで 長女が高校2年生の時の年賀状を思い出した。毎年、年賀状は家族の名前を連名であげて筆者が記載した新種のシジミチョウの写真を添えていた。この時は長女に因んだシジミチョウを使用する予定だったので、長女に写真ではなくて絵を描くことを勧めた。その時の賀状の一部分を下に掲げた。長女は上手に描いたので、下の解説を読むことによってモノクロの図が色彩を帯びて生き生きと目に浮かぶようであった。正しく「特別展」の意図するように写真とは異なった情報をもたらしてくれたかのようであった。



賀状の線画はオスの表・裏だったので、参考のため下にオスの表・裏のモノクロ写真に加えて雌雄のカラー写真を掲げた。
線画と写真を見比べると読者はその違いに驚かれることと思う。





新種の蝶を記載する際、論文にはオスの交尾器図を添えなければ査読の対象にしてもらえない。最近は顕微鏡写真を添えることが多くなったが、以前は線画が普通だった。
長女の名前を使った別のシジミチョウ・ミオウラオビフタオシジミのオス交尾器図を下に掲げる。これは筆者の描いた線画である。顕微鏡写真では、キチン質の構造があるとその裏にある膜質部分がどのようになっているのかが判然としない場合が多々あるが、線画の場合、点線を使って表現することにより顕微鏡写真でははっきりしない膜質部を表示することが出来る。下図のA、Bを見てもらえば筆者の言わんとしていることを理解していただけると思う。



ついでに、線画でなくて申し訳ないがオス、メスの写真を掲げる。



写真による表現が万能ではなくて、線画で強調したい部分の情報を詳細に描くことで、閲覧者により理解を深めてもらえるものがあるとの「特別展」の意図を理解していただけたと思う。

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和歌山県日高町西山から放たれたアサギマダラと尖閣諸島中国漁船衝突事件と香港

2023-12-01 | 
タイトルをご覧になってどういう関連があるのか、 に思われたことだろう。
すでに13年前になるのだが、2010年9月7日に沖縄県・尖閣諸島付近で操業中の中国漁船と日本の海上保安庁の巡視船が衝突して、当然だが日中間でややこしい事件に発展してしまい、後々にいろんな問題を引き起こしていた。

話は飛ぶが、翌年の2011年10月に和歌山県日高町西山(標高328.7m)で採集されマーキングされ放蝶されたアサギマダラが高知県香美市を経由して12月に香港で捕獲されて、当時の最長移動距離(約2,500km)を記録して日本のマスコミだけでなく香港のマスコミでも大きく取り上げられた。
一方、大阪市立自然史博物館はアサギマダラの渡りの研究や観察を熱心に行っていて、学芸員の方が香港を訪問した際、現地の蝶愛好家の人たちに歓迎されて香港の新聞に取り上げられたほどであった。そして香港の蝶愛好家たちが日本へ、大阪へ、そして和歌山の西山を訪問する話に発展した。その際大阪市立自然史博物館はもちろんのこと和歌山県の博物館も協力していただくことになっていた。
ところが1年もたっているのに尖閣諸島の事件が尾を引いていて、訪日の予定が近づいた時、香港の蝶愛好家から今は時期的に適当でないという連絡があって彼らの訪日はキャンセルになってしまった。香港側の事情があったのだろうが、蝶々と尖閣諸島事件が結びつくとは予想もしていなかったので呆気に取られてしまった。筆者はこの時、弱輩ながら大阪市立自然史博物館と和歌山県側との仲立ちをしたので強く印象に残っていた。

2023年11月3日の朝日新聞の「季節を渡る」というタイトルで上記の西山の山頂付近で、アサギマダラがフジバカマの花の上を飛び回る幻想的な光景の写真と記事が目に止まったので、ひょっと思い出してしまった。
当日の紙面の写真のコピーを下に掲げた。
朝日新聞社と撮影された方に、懐かしい出来事を思い出す機会を与えてくださったことに厚く感謝申し上げます。


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夜空を彩る素晴らしい蝶のアート映像

2023-11-01 | 
美しい蝶のアート映像に接したので紹介する。
アメリカ合衆国ネバダ州のブラックロック砂漠で毎年8月から9月にかけて繰り広げられるバーニングマンと呼ばれるクリエイティブな大規模イベントがあり、このイベントでは参加者全員が主人公となり、自己表現をすることで究極の経験をすることを目的としているそうである。
2021年にクリストファー・シャルトさんが38000個のLEDを使用して、ブランコを漕ぐことで羽ばたく蝶(なぜブランコを漕いで羽ばたく蝶を表現するのかはわからないが)の映像を表現した。この映像を今年9月、wakanderさんなる人が投稿し、HさんがXで紹介した。
わずかな映像しかアップしていなくて申し訳ないが、実際の素晴らしさを想像してお楽しみください。
クリストファー・シャルトさん、wakanderさん、Hさん、素晴らしい映像を見せていただいてありがとうございました。

映像を拡大して見るには各映像をクリックしてください。














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蝶にとっても暑すぎた今夏!

2023-10-01 | 
梅雨が明け夏空が広がる2023年7月下旬、我が家の庭の緑濃き木陰に一匹のアゲハチョウが舞い降りた。こちらはエアコンの効いた室内からアゲハの様子を観察することにした。
アゲハはゆっくりと翅を開閉し始めた。飛び立つ様子はなくいつまでも下に掲げた画像の如く、超スローな翅の開閉運動を続けていた。










ひょっとしてこの行動は体温を下げるためではないかと気づいた。
そこで次の一首をこのアゲハチョウに捧げることにした。

  うちわ持ち 煽ぐが如く アゲハチョウ
               涼を取りたり 翅開閉し



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真夏に羽化したばかりのツマグロヒョウモンが交尾をしていた!

2023-09-01 | 
8月18日、娘が柳美里さんのTwitterにツマグロヒョウモンの動画が出ているのを教えてくれた。
柳美里さんが今朝庭に出たら、羽化したツマグロヒョウモンが交尾したまま彼女の手首に止まったという。
彼女は宮城県に住んでおられるらしい。1980年代までは近畿地方以西が生息域とされていたツマグロヒョウモンが生息地域を拡げながら北上を続け、2007年から毎年宮城県内で確認されているというネット上の記述に接し、近畿地方の情報しか知らなかったぼくには予想していたとはいえ驚きだった。
新たな変化が短時日で生じている世の中のスピードについて行けなくてめげているぼくだが、蝶たちのニュースにはホッとさせられる。
柳美里さんの動画から数枚拝借して下に掲げました。
柳美里さん、素敵な動画を楽しませていただきましてありがとうございました。











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新聞の夕刊に蝶の画像が2ヶ所も出ていた!

2023-08-01 | 
朝日新聞、2023年3月17日の夕刊に蝶の画像が二つも出ていて筆者の目を引いた。
一つはホテルニューオータニ大阪のSpring Fair 2023の広告で、北米で渡りをする蝶として有名なオオカバマダラ Danaus plexippus で翅脈を含む黒色部分以外を透明にして背景のカラフルなデザインを目立たせている。


もう一つは多賀新さんという銅版画家が観た映画のモチーフを崩さずに作品にしたもので、
対をなす蝶々は、修道院の天井から舞い降りる天使をイメージしたとのことで、描かれている蝶はニューギニアに分布しているミイロタイマイ Graphium weiskei である。


ページ数の少ない夕刊で蝶が二ヶ所に出ていたので、蝶はやはり目立つのかな と思い紹介した。
多賀新さん、画像をお借りさせていただきました。ありがとうございました。

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星野源の新曲のバックに蝶が・・・

2022-06-01 | 
アメリカ在住の二女が2022年5月5日に星野源が新曲「 COMEDY(喜劇)]をリリースしたことを教えてくれた。



彼が歌っている背景に「ミドリメガネトリバネアゲハOrnithoptera priams Linnaeus)オス」の標本(ほかにタテハチョウの仲間らしき標本も写っているが、種類は分からない。)が時々出ている 


ニューギニアを分布の中心とする緑色系と青色系からなる普通種であるが、大型の美しいトリバネアゲハなので背景の引き立て役に選んだのだろうか。いずれにせよ、蝶が昆虫の中でもやはりメジャーであるのを実感させていただいてうれしい限りである。




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小説「億夜」と槐(えんじゅ)

2022-02-01 | 
槐咲蝶群(えんじゅちょうのようにむれてさく)

槐。開花時期は7月~8月。正しく蝶が群れているように見える。ずっと以前に高樹のぶ子さんの小説「億夜」をこのブログで取り上げたことがあった。
思いがけず弟の展翅中の蝶の標本を壊してしまった兄の婚約者はそれをきっかけに弟に惹かれ恋人になる。しかし時を経て弟は自ら命を絶ってしまう。彼女は結局兄とは別の男と結婚することになった。小学校の先生同士だったが、後に夫は病気のために勤めをやめ、骨董屋「槐屋」を始めた。最初「億夜」を読んだ時変わった屋号だなとしか思わなかった。しかし「槐咲蝶群」を知ってアッと思った。蝶に関係がある おまけに花言葉は「慕情」!!
この小説にはまだ伏線があったのだ。彼女と結婚しなかった兄との中年期のエロスへの導入を象徴する重要な一文字だったのだ。高樹のぶ子さんは凄い人だな・・・自らの不明を今になって恥じ入るばかりである。 

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40数年前に記載したシジミチョウ亜種の新種への昇格

2022-01-01 | 
1978年、フィリピン・ミンダナオ島産タカネフタオシジミ属オスの前翅翅表の大きな黒色性斑が目立つ標本を展翅して、ドミヌスタカネフタオシジミTajuria dominus H.H.Druce,1895かな?と思いましたが、ミンダナオからの採集記録はないし、よく観察すると翅表亜外縁の黒色部の形が違う上に裏面後翅肛角部の橙色紋の出方も違っていました。当時、ドミヌスタカネの画像があるのみで、標本を入手出来ず、交尾器の比較がかなわなかったので、別種の可能性を抱きつつドミヌスタカネの新亜種として、オスの交尾器図を添え Tajuria dominus mizunumai H.Hayashi,1978 の学名で記載しました。
その後、英国の著名な研究者が描いた名義タイプ亜種の簡単な交尾器図を観て、その違いの大きさにミンダナオのドミヌスタカネは新種であると確信しました。残念ながら標本がなかなか手に入らず、交尾器の比較研究が出来ないまま歳月が過ぎてしまいました。数年前待望の標本を研究仲間の方から借り受けることが出来、交尾器の詳細な比較検討をしました。その結果ミンダナオ島の亜種は、別の種で、かつ新種であることを確認しました。
亜種 mizunumai の分類学的地位は Tajuria mizunumai H.Hayashi,1978ミズヌマタカネフタオシジミ)へ変更となり、40年余りの時を経て新種として名乗ることが出来ました。
各種の図を下に掲げます。
1-2.ミズヌマタカネフタオシジミ、オス(ミンダナオ島)。3-4.ドミヌスタカネフタオシジミ、オス(パラワン島南部)。5-6.ドミヌスタカネフタオシジミ、オス(インドネシア、Belitung島)


ミズヌマタカネフタオシジミ、オス交尾器図(スケールは0.5㎜)


ドミヌスタカネフタオシジミ(パラワン島南部)、オス交尾器図(スケールは0.5㎜)


ドミヌスタカネフタオシジミ(インドネシア、Belitung島)、オス交尾器・顕微鏡写真

研究論文は日本蝶類学会の「Butterflies」75号に掲載されています。


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