インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

カスタネダの翻訳について

2012-07-16 05:41:32 | カスタネダ『呪術の実践』 !
  『未知の次元』(訳者;名谷一郎、監修;青木保)という絶版になった本(講談社学術文庫)をアマゾンで調達して読んでいると、「おやっ、どっかで見たことのあるような文章だ」が幾つか出てきている。それもそのはず、『時の輪』(訳者;北山耕平)と重なる部分があるからだ。

 後者は多分、カスタネダ・シリーズを読破した後、復習として読むのだろうが(マニア向けか?)、理解の仕方が違うので、心すべきことかもしれない。

 たとえば、『時の輪』p120では、

 戦士は自分がすでに死んだものと考えている。だから、彼にはなにひとつ失うものなどない。最悪のことは、すでに自分の身に起きたのだ。しかるゆえに頭は冴えわたり、心は落ち着いている。その行いや、あるいは言葉から判断するかぎり、彼がなにもかもを目撃しているのではないかと推測したりするような人間はまずいない。


 『未知の次元』p46では、

 (蛾のような化け物を見て)「戦士に説明できないものは、この世には存在しない。いいか、戦士は自分が死んだと考えているのだから、もはや失うものは何もないのだ。すでに最悪のことは起こってしまったのだ。だから、戦士は沈着、かつ冷静だ。その行為や言葉から判断して、戦士がすべてを目撃しているなどと思うものはいないだろう」

 …となっており、やはり文脈の中で理解する方が断然わかりやすい。大学の入試とかもそうだが、傍線部だけを訳すというのでは大抵意味が通じないわけで、かならずある程度のまとまりの文章を読んだ上で、翻訳(意訳?)するのが正しいのだろう。

 ということで、『時の輪』は万人のためにあるものではなく、カスタネダ(マニア)のためにあるものだといえよう(たぶん)。

 翻訳者も人間であるからして間違いがあり、真崎義博の『沈黙の力』でもp112の「呪術師には親指の法則がある…」というのは「rule of thumb」を直訳しているのだろうと推測し、慣用句で調べれば「経験則」があったりする。ただ『沈黙の力』は全体的には素晴らしい翻訳本であると思う。


 話変わって、尾道水道に化け物が現れた(あれは何だ?!)

 巨大アヒル、尾道に出現 広島の「海フェスタ」




何となく似ていますね(ヒヨコにすればよかったのに)

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