インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『小説家の経営術』 ~破綻しないために~

2013-02-23 18:33:59 | 実用書
   
小説家の経営術 (経営者新書)
西川三郎
幻冬舎メディアコンサルティング


 昨夜は、泡盛を飲みすぎて苦しんだ。新しい小説を書くに当たり、面白い本を発見したので、今、読んでいるところだ。

 著者は、小説家であり、技術系派遣会社の経営者という異色の経歴をもち、その観点から、小説執筆法と、経営方法が非常に似ているので、応用できる、というわけである。

 なるほど、「優れた経営者は、結末からストーリーを描く」。作家でもプロとアマチュアの分水嶺はそこにあり、作家志願者は、結末が曖昧なままスタートする。「ストーリーが描ければ、独自性が生まれる」。ユニクロとかは、「おしゃれで安価で品質の良い衣類」を提供している。

  企業にとって、最も大切なのは「テーマ」。 同様に、小説でも最も重要なのはテーマであり、それが作家が「ストーリーを描く動機」ともいえる。経営したり、書いていて分からなくなったら、原点にあったテーマを取り戻す。しかも、起承転結の「転」があるから、会社も小説も、成長できる。ストーリーは、構成要素であるキャラクターが自律的に動き出すのが理想…。

 なるほど、それならば「人生」というのも同じかもしれない。結末は、「都会のアパートで無縁仏」になるか、「田舎で家族とまったりと暮らす」か…。無限に立ち向かう呪術師となって「最後の旅に出る」のか…。

 さて、「小説家」だけでなく、「経営者」に必要な発想は、次の5つである。

 ① ストーリーの初期設定<テーマ>  主人公を動かすために、必要となる条件。

   ・テーマ  主人公の行動の核となる姿勢やあり方。
   ・ビジョン 主人公の目標、そのイメージ。
   ・貫通行動 主人公の一貫する行動規範。
   ・枷    主人公の行動に対する制約。

 ② オリジナリティをつくる<独自性> 
  主人公の全体像が決まれば、その行動の実態が見えてくる。行動にはある種の独自性が求められる。
  行動の独自性とは、主人公の独自性であり、企業経営で考えれば、ビジネスの独自性にもつながる。

   ・オリジナリティ  主人公の特徴や優位性。
   ・舞台       主人公や登場人物が行動する場所、世界に対する意識。
   ・モチーフ     主人公の動機、行動するための題材。



 ③ ストーリーを構成する<起承転結>
  主人公の行動が見えてくると、ストーリーは動き始める。しかし無計画な動きはすぐに破綻する。そのために必要なのが、構成。

  起; ストーリーの導入部(主人公、舞台、モチーフの決定)
  
  承; ストーリーの発展部(展開への準備)
  
  転; ストーリーの展開部(テーマの発現・強化)
  
  結; ストーリーの結論部(ビジョンの実現)


 ④ より細部を描く<想像力>
  ストーリーの概要を描くことは、事業計画や経営戦略でも行われるが、この「経営=小説」手法で、もっとも際立つのがこの点である。
  細部の緻密な配慮がなければ、人を見極めることも、動かすこともできない。

  ・登場人物       人を見極め配置する。
  ・キャラクターの設定  すべての人物を立体的にイメージする。

 ⑤ キャラクターを育てる<人材育成>
  ポテンシャルのある人材は、磨き方次第で自主的に行動を起こし、新しいストーリーを紡ぎ始める。

 …といった具合である。

 物語の構成がでたらめであれば、読者は安心して読むことができないし、お客・取引先は安心して付き合うことができない。

 さて、の書かんとする「新しい小説」であるが、

 ビジョンが一貫した小説にするならば、「ミステリー小説」などが一番であろう。吾輩が目指している小説はといえば…、

 内的対話をして自我意識が暴れている主人公→ 内的沈黙が保たれ、見る者になる(目が輝いています)

 …ということになるのであろうが、最初の段階で、主人公は「人間的成長への道を間違えていた」ということか。

 人間は誰しも、今の「知覚の限界」を超えたいと思っている。もっと凄い体験をしたいのだ。

 そのために麻薬に手を出したりするのであるが、一時的でしかない。夢見で、得体の知れない世界を体験したら、「ちょっと待てよ、こんな世界が存在するのなら、生き方を変えてみようか」、とか思うのだが、現実はがっちりとシステムが固められてある。

 「見る者になる」というエンディングは、読後のカタルシスとしては良いのかもしれない。リアリティはともかく(現実問題、吾輩は人間を輝く卵として見たことがない)。

 癒せるかどうかは、最初の設定次第だろう。見ることを目指すキャラクターが、勝手にそのように動いてくれるように仕向けるのだ。

 さあ、物語を練ろう!  

 『無限の本質』でも詩や物語が進められているのだわい(小説の原点は、詩です)


 物語を語ることは、自分たちの知覚の限界を探らせ斥候役を送ることになるばかりでなく、完璧さへ、力へ、精霊へと至る道でもあるのだ。