インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

忍び寄る者

2011-05-18 05:21:50 | カスタネダ『呪術の実践』 !
ついに近場で「草原を走る」修行を適する場所を発見したので、走ってみた。満月の夜、ソフトアイで、急斜面もあるこぼこした道をせっせと走った。近場でこんな場所があるとは、「呪術師にでもなれ」ということなのか、と「内的対話」が少し働く。視点をぼかすわけであるが、もともとあんまり見えないわけで、眼球の移動もさせてみた。靴が泥だらけになり、それでも走り終えた後は気分爽快であった。

  さて、不吉な前兆もあったことだし、真剣に『沈黙の力』を読んでいると、「忍び寄りの術」なるものが、呪術師の一番の関心ごとであるようだ(『呪術の実践』では五つの関心事の「内的沈黙」をより具体的に説明しているものか。『呪術と夢見』を読んでから読むべきかもしれぬ。まったく、カスタネダの本を読む順序がでたらめだが、内容は首尾一貫している。『時の輪』には要点だけピックアップされている)。内密の行動が要求されるようだ。

 まとめるに、我々の行動は、まったく型にはまっている。その型を打ち壊すような振る舞いは絶大で、それは集合点に変化を生じさせるようだ。呪術師は、集合点の振動を「見る」ことができるし、集合点を「移動させる」ことができる、とする。しかしそれは、「体系的なやり方で、しかも上手に導かれて実行される」とあるので、やはりナワールの教えが必要か。

 ともかく、集合点の移動には「忍び寄り」をまず学ぶ必要があるようだ(その後で「意志」を学ぶ)。四つの段階があり、

          ①非情さ  (苛酷さ、粗暴であってはならない)

          ②狡猾さ  (残酷、冷酷であってはならない)

          ③忍耐   (怠慢であってはならない)

          ④やさしさ (愚かさであってはならない)
 
 戦士はまず自分自身に「忍び寄る」わけで、これがあらゆるものの基礎になっているという。


  この「忍び寄り」には七つの原則があり、

       ①戦士は戦の場を選ぶ→ 周囲の状況を知らぬまま戦うことはない。
       ②不要なものはすべて捨て去る→ 物事を複雑にしてはならない。常にシンプルに。
       ③すべての戦いに命を賭ける→ 全神経をそこに集中させる。
       ④リラックスして自己を捨てる→ 恐れない。導く力が道を開き、力を貸してくれる。
       ⑤難関に直面したらとりあえず退却する→ 何かほかのことに時間を費やす。
       ⑥戦士は時間を凝縮する→ 戦いにおいては、その一瞬に命がかかっている。
       ⑦忍び寄る者は決して自ら一番前に出るな→ 戦士は常に背後から現場をうかがっている。

 かくして、効果として、

  自分を決して深刻に考えたりしないことを学ぶ(自分自身を笑うことを学ぶ)。⇒ 小暴君とかはそうではない。

  限りない忍耐力を持つことを学ぶ(絶対に急がない。いらいらもしない)。

  限りない即興の能力を身につけることを学ぶ。

  
  …というわけである。そして女は生まれながら「忍び寄る者」でそのようにふるまえるという(男は餌食に近いのかもしれない)。