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北海道は “脱炭素” の先進地になり得るのか?

2022-01-24 16:59:23 | 講演・講義・フォーラム等

 昨日の投稿で駐日デンマーク大使館のエネルギー担当官である高橋叶氏より、北海道とデンマークは地理的条件が酷似しており、再生エネルギーを生産できるポテンシャル(潜在能力)を秘めていると指摘されたが、果たして北海道は “脱炭素” の先進地になり得るのか?次の講演を聴きながら考察してみた。

   

 1月21日(金)午後、(公財)北海道国際交流・協力総合センター(HIECC)が主催する北方圏講座「北欧に学ぶ環境にやさしい地域づくり~北海道の脱炭素社会の姿を考える~」のオンライン講座の2本目の講演は北海道環境財団の事務局次長である久保田学氏「北海道における脱炭素と持続可能な地域づくり」と題して講演された。

 久保田氏はまず北海道の地域特性を下図のようにまとめて提示された。

   

 そして北海道の強みを活用し、弱み・懸案を克服した上で「脱炭素の先進地となり得る可能性がある」とされた。

 しかし、実態はどうであるか?続いて久保田氏が示したのは、北海道は寒いために光熱費がかかり、そのエネルギー代金として約4,000億円が道外に流失していると指摘した。また、過疎化の進展によって公共交通が衰退し、最も CO2の排出量が少ない鉄道の撤退が続いている点も指摘した。

 一方で、北海道の再エネ生産のポテンシャルは風力発電を中心として道内エネルギー需要の16倍以上の潜在量があるという。(NPO環境エネルギー政策研究所の白書より)ところが現状を平成29年度の統計で見ると、北海道の全エネルギーの88%はガス発電を含んだ化石燃料の発電によって賄われている。水力を含めた再エネでの発電はわずか12%なのである。再エネを推進する側からみると道まだまだ遠しの感である。

        

※ 講師の北海道環境財団の大久保学氏です。

 ただ、手をこまねいているばかりではない。道内各地ではさまざまな取り組みが見られている。道内を車で走るとずいぶん風車のある風景が増えてきた。昨年道南地方を巡った時には特に檜山地方でその数が顕著だった。また最近では鹿追町のバイオマス発電が注目されている。さらには、発電ではなく雪氷冷熱の利用も北海道各地で試みられている。

 しかし、と久保田氏は躊躇する。例えば釧路地方で大規模な太陽光発電、あるいはバイオマス発電に取り組んでいる例だが、両者ともに本州資本の発電だという。つまり発電した利潤が本州へ流出しているという事実があるという。さらにはバイオマス発電において海外から燃焼資源を輸入している現実もあるという。あるいは、風力発電の拡大は猛禽類などの被害の増大という問題もあると指摘する。

 久保田氏の立場は、省エネ発電を推進する側ではなく、あくまで省エネ発電に対する功罪を研究する立場なのであろう。いろいろな立場、思惑が渦巻く現況にある日本、そして北海道であることは理解できた。しかし、世界の趨勢は “脱炭素” であることにもはや議論の余地はないと思われる。問題は功罪をいかに調整し、世論を形成していくか?ではないだろうか。その役割を担うのは???

   

※ 再エネを推進する側は、"脱炭素"の先進地・北海道の図を描くのだが…。

 現況では再エネのエースは “風力” と目されている。その “風力” において国内で最もポテンシャルが高いと目される北海道が “脱炭素” の先進地として脚光を浴びる日が近いことを道民の一人として望みたいと思っているのだが…。                 



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