田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

札幌市内にはたくさんの川が流れていた!?

2022-06-29 09:56:45 | 講演・講義・フォーラム等

 札幌市内は豊平川の扇状地に立地しているため、その昔は多くの伏流水が市内を縦横に走っていたという。それらの “失われた川” を写真や資料と共に紹介していただくという興味深いお話を聴いた。

   

 6月25日(土)午後、札幌市資料館が主宰する札幌市制100周年記念講演と銘打った講演会に参加した。講演会は(株)アイビー地質情報室の宮坂省吾氏「札幌の川 失われた川を尋ねて」と題して講演された。宮坂氏は北大で地質学を専攻された後、関連の企業に就職され、研究員的なお仕事をされてきた方だと拝察した。

 宮坂氏によると、宮坂氏の先達である山田秀三という方が昭和40(1965)年に札幌市内中心部を流れていた5つの川をアイヌの古地図から復元したそうだ。アイヌは川のことをコトニ(窪んでいるところ)と呼んでいたことから、川の名の多くにコトニの名が付けられている。

その5つの川とは、①ポロコトニ(大きいコトニ川)、②ポンコトニ(小さいコトニ川)、③シンノㇱケコトニ(真ん中のコトニ川)、④チェプンペッ(魚が入る川)、⑤サクシュコトニ(サッポロ川の方を流れるコトニ川)の五つの河川である。

      

      ※ 現在の札幌市内の地図に、昔流れていた川を落とし込んだ図です。(宮坂氏提供)

 私が以前に学んだところ、札幌市内、特に北区や東区では多数の流れがあったと学んだが、今回宮坂氏は特に札幌市中央を流れていた5つの河川に注目してお話されたということである。

 現在、前記した5つの河川で残っているのは復元したことによって往時の姿を留めているのは北大構内を流れるサクㇱコトニ川だけではある。(一部ポロコトニも知事公館の庭で復元している)その他はことごとく姿を消してしまった。その理由について宮坂氏は一つひとつ説明してくれた。

 ①のポロコトニと、②のポンコトニは最も西側に位置し、ポロコトニは知事公館の庭(当時は知事公館ではなかった?)で湧出して庭を流れ、やがてポンコトニと合流して、コトニ川本流に流れていたという。ところがやがて湧出量が減り、やがて枯れたそうだ。現在、知事公館の庭にはその一部が残った形となっているが、流れは人工的に水を流して往時の姿を再現しているということだ。

 ③のシンノㇱケコトニは「真ん中のコトニ川」と称されるように、南6条目付近から石山通り沿いに北上し、火防線(現在の大通公園)を横断し、北大植物園に至った川だったという。大通公園にある「鯨の森」はその川跡だそうだ。当時市内では最も深かった川だというが、この川もやがて市街化によって埋め立てられ姿を消していったようだ。

 ④のチェプンペッは、現在の北大植物園の温室脇のメム(豊平川の伏流水が湧き出るところ)から水が湧きだし、ポロコトニと合流していたそうだ。チェプンペッの流れは植物園内に大きな池を造ったりしたが、やがて枯れていったという。園内にその形跡は残るものの、それは僅かな低地を呈しているといった感じである。

 最後に現代に息づく(?)⑤のサクシュコトニである。サクシュコトニは旧伊藤邸のメムに端を発し、旧偕楽園を通って北大構内に流れ込んでいた流れである。講演では言及されなかったがサクシュコトニもその先ではコトニ本流に合流していたと思われる。というのも、構内を流れサクシュコトニでサケが遡上する姿が見られたというのは有名な話だからだ。しかし、この流れも1952年には付近のメムが一斉に枯れ始め、流れが失われたそうだ。原因はやはり市街化によって地下水源が遮断されたことではないだろうか、と素人の私は考えた。(その点について宮坂氏は言及されなかったので…)

 その枯れた流れを2003年に北大構内の一角から人工的に水を流すことによって北大構内に蘇ったサクシュコトニの流れは現在、北大生や市民の憩いの場となっている。

   

   ※  講演する宮坂氏です。

 以上、宮坂氏は科学者らしく調査によって確定した事実を淡々と述べられた。ここに私が記した内容は必ずしも正確ではないかもしれない。宮坂氏のお話と提供いただいた資料をもとに、私なりに整理したものであることをお断りしておきたい。

 札幌の昔を知る、ということも興味深い作業である。  

※ 原稿を整理しているうちに、私は以前に宮坂氏のお話を拝聴していることが記録に残っていた。こちらのレポと併せてお読みいただくと、札幌の “失われた川” についてより理解が深まるかもしれない。興味のある方はこちらもご覧ください。⇒(2017/10/15投稿分)

 



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2 コメント

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Unknown (kumamotosetatwo)
2022-06-29 16:25:04
私が転勤で札幌に行った1979年頃に豊平川のカムバックサーモンを始めてました
毎年何匹遡上したと だんだん盛り上がってました。今は相当数になっているのでしょうね。
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?さんへ (田舎おじさん)
2022-07-10 21:54:43
 返信コメント遅れてしまい失礼しました。
 1979年ですかぁ…。かなり昔のことになりますねぇ。
 豊平川に鮭が遡上することは、今や秋の風物詩の一つになっているようです。
 春には鮭の稚魚を放流することがTVでよく放送されています。
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