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三大学が統合することの意味

2021-10-17 17:38:51 | 講演・講義・フォーラム等

 一昨日、「小樽商科大学創立110周年記念シンポジウム」に参加してきた。シンポジウムのテーマは「新たな価値創造~北海道の未来へつなぐ挑戦」だったが、その底意には来年(2020年)4月に帯広畜産大学、北見工業大学、そして小樽商科大学の三大学が経営統合することを前提とし、統合による効果を活かした地域貢献の在り方について論じられたものと理解したのだが…。

 シンポジウムの構成は、第一部が基調講演で「変わらぬ経営理念、変る経営戦略」と題して石屋製菓代表取締役社長の石水創氏が講演された。

 続いて第二部はパネルディスカッションが行われ、次の方々が登壇しテーマの基づいたディスカッションが交わされた。登壇された方々は次のとおりである。

 ◇大西 希氏(鶴雅ホールディングス取締役副社長) ※小樽商大中核人材養成講座修了

 ◇海野泰彦氏(ファームデザインズ取締役会長) ※帯広畜産大学卒業

 ◇阪内順逸氏(オホーツクビール取締役製造責任者) ※北見工業大学卒業

 ◇塚原敏夫氏(上川大雪酒造取締役社長) ※小樽商科大学卒業

 ◇山崎雅夫氏(北海道経済部 観光振興監)

 コーディネーター 北川泰治氏(小樽商科大学教授)

   

 石水氏の講演の要旨は、現社長石水創氏は先代社長の石水勲氏を心底尊敬していることが伝わってきた。石水勲氏は二代目社長として「石屋製菓」を大きく発展させた人である。勲氏は「お菓子づくりは夢づくり」と標榜し、「イシヤチョコレートファクトリー(現白い恋人パーク)」を開館するとともに、銘菓「白い恋人」を大ヒットさせた。併せて、北海道初のプロスポーツサッカーチーム「コンサドーレ札幌」を誕生させた生みの親としても有名である。

 そんな勲氏が「白い恋人賞味期限改ざん問題」の責任を取って社長を退任した後、創氏はそれから少し間をおいた2013年、若干31歳で石屋製菓の社長に就任した。創氏は先代勲社長の志を受け継ぎながら、時代に即応した経営ビジョンを作成し、次のような行動指針を示して経営に当たっているという。その指針とは①共創、②顧客志向、③海外進出だそうだ。その指針のもとに石屋製菓は今着々と業績を伸ばしているそうだ。(但し、コロナ禍のために2010年は業績がマイナスに転じている)北海道発の菓子メーカーとして石屋製菓が今後ますます発展することを期待したいと思う。なお、創氏は小樽商科大学大学院を修了している。

   

※ 私が入場した時に参加者はまだまだ場内には少なかった。開会中は写真はNGだったので、開会前に一枚撮った。

 続いてパネルディスカッションである。まず注目すべきはパネラーの人選である。パネラー紹介の項の後に※印で学歴を示している。北海道経済部の山崎氏以外の方々は統合する三大学に関係する方ばかりである。私はここに今回のパネルディスカッションのねらいが隠されていると見た。つまりこのシンポジウム自体は小樽商科大学の創立110周年を記念するものであるが、主催する側の目はすでに来年4月以降を見据えた企画だと思われた。

 パネルディスカッションは、登壇者の企業の紹介、企業としての創意工夫、地域との連携、等々について語り合うものだった。私はその具体的内容についてメモし続けたが、そのことについてはここでは割愛したい。

 そのことより、シンポジウムテーマでいう「新たな価値創造」とは、三大学が統合することによって起こる統合効果や変化を期待しているということだろう。しかし、これまでそれぞれ独自の道を歩んできた三つの大学が一つにまとまるということは、簡単なことではないことは容易に想像される。統合が決定されるまではおそらく相当の議論が交わされたことに違いない。小樽、帯広、北見にある三大学が統合されるとは、大袈裟に言えば広い北海道内の遠く離れた地域の大学が一つになることを意味する。(三大学が統合すると言っても一つの大学になるのではなく、それぞれの大学はそのまま存続し、経営を統合するということで「北海道国立大学機構」として統一するということである。)幸い時代は距離の問題を克服するIT時代を迎えている。

 今回はおそらく国主導のもと、人口減少という時代を迎え、入学者の減少に対応する必要があるとの主張が反対論を押し切ったものと推測される。幸い今回の統合は、商学、農学、工学という実業系の単科大学が一つにまとまることによって、新しい価値が創造できる” はずとの理念が関係者の理解を得たのではないかと私は勝手に思っている。

 パネルディスカッションの最後に、鶴雅ホールディングスの大西副社長が「三大学が一緒になってガストロミーに取り組んでほしい」と要望された。私はガストロミーの言葉自体初耳だった。帰宅して調べたところ「食事・料理と文化の関係を考察する」ことだそうだ。三つの特色ある大学が連携することの意味を見出すうえで貴重な提言ではないかと思えた。事程左様に三大学の関係者がこの問題に積極的に関わることによって、きっと新たなサムシング(Something)が生まれてくるような気がする。そのような “期待感” をもって三大学の統合を見守りたい。                           



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