田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

ネット時代だから活字を!

2015-04-25 18:39:00 | 講演・講義・フォーラム等
 いかにも新聞社が主催のシンポジウムのテーマである。先にレポートした水谷修氏に、書評サイトHONZ社長の成毛眞氏、女優で作家の中江有里氏を加えたパネルディスカッションに耳を傾けた。 

 4月18日(土)午後、かでるホールにて読売新聞が主催する「談論風発の集い」というシンポジウムに参加する機会を得た。シンポジウムは水谷氏と成毛氏の講演の後、「ネット時代だから活字を!」をテーマに上記三人によるパネルディスカッションが行われた。
 それぞれが活字に関わることをテーマに活動されていることから(それで水谷氏は無理して自分を作家と自称したのかもしれない)、それぞれ活字についての思いを語った。

 三人の発言の中で非常に印象深かったのは、三人が三人とも幼少のころから活字に親しむ環境の中で育ったということだった。

 成毛氏は札幌育ちなのだが、近所の書店において漫画以外はツケで購入することを許されていたということだ。

 中江氏は大阪の出身だが、親が飲食店を経営していて発行翌日の新聞を家に持ってきてくれていたが、中江氏が発行当日の新聞を読みたいと希望すると、中江氏のために新聞購読の手配をしてくれたという。

 また、水谷氏は山形県の山奥の田舎で育ったそうだが、図書館から本を借りて読むしか楽しみがなかった環境だったそうだ。
 というように活字に親しむ習慣化のためには幼少時の環境がおおいに影響があるということだろうか?図書館などで「ブックスタート」という事業を展開している例を耳にするが、やはりそのことを裏付けているようにも思われる。

 さて、その他の発言で印象に残った各氏の言葉を紹介すると、
【成毛氏】
 ◇本を読むことより、本を選ぶことの方が難しい。(「書評サイトの活用を!」と氏は言わなかったが…)
 ◇テレビが日本を壊しつつある。(ex. 敬語の使い方 時間的制約からくる「ようするに」文化)
 ◇小説家、特に冒険系の作家が稿料で生活できにくい状況にある。今後は、ネット上に発信し、その後に単行本化するなどメディアミックスを志向していく必要がある。

               


【中江氏】
 ◇活字~読んでみて「分からない」ことを、時間をおいて再読できる有為性。
 ◇自分と合わない人が興味深い ⇒ その人を調べることから学べる。

               


【水谷氏】
 ◇作家が印税で生活していくことが難しい時代。仏国では図書館が作家に謝礼を出す制度があり、日本も参考にすべき。
 ◇夜回りで出会う子どもたちは言葉で傷付けられている。「頑張れ」「考えろ」は禁句。「ありがとう」「いいんだよ」「ごめんね」の言葉が大切(これって、活字と関わりある?)

               


 三人の話をうかがって、自分の活字との関わりを振り返ってみた。確かに以前に比べて、ネットに関わる時間は増えてきたが、活字と接する時間は減少しているように感ずる。
 これが若い人になると、もっと極端なのかもしれない。
 新聞を読まない若者も増加の一途だとも聞く。
 時代の趨勢に抗い、活字メディア再生の道はあるのだろうか?