田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 83 終の信託

2012-12-04 16:42:30 | 映画観賞・感想

 最近の映画では長丁場となる2時間24分が長く感ずることなく最後まで緊張感を持続させてくれた映画だった。これは脚本・監督の周防正行氏の力によるところが大きいのだろう。特に最後の検察官と被疑者が対峙する45分間は圧巻だった。 

               

 つい1週間ほど前のことだ。知人のH氏に尋ねられた。「今ならどの映画がお勧め?」と…。
 私は迷わず「今なら『終の信託』でしょう!」と答えた。そう勧めた本人が見ないわけにはいかない。ところが新聞の映画案内を見ると、「終の信託」はすでに一日に1回しか上映されておらず、しかも7日限りで終映と表示されていた。
 そこで慌てて今朝(4日)9時30分の上映開始に間に合うようにシネマフロンティアに出向いて観ることができたのだった。

          
          ※ 浜辺で語り合う江木(別所広司)と折井(草刈民代)です。

 ストーリーは女医の折井綾乃(草刈民代)と重度のぜんそくで入退院を繰り返す江木秦三(役所広司)が、医師と患者の関係を越えて恋愛感情が生まれる中、江木は自らが重篤に陥ったとき延命治療はしないでほしいと折井に依頼する。そして江木が心肺停止状態になったとき折井は江木との約束を果たしたのだが…。その処置に過誤があり殺人罪に問われてしまう。
 そして最後の場面、検察官(大沢たかお)と折井綾乃(草刈民代)の対決の45分間の場面の大沢の演技が圧巻だった。理詰めで攻める検察官役に大沢はぴったりはまったという感じであった。

          
          ※ 検察官室で対峙する検察官(大沢たかお)と折井(草刈民代)です。

 映画「終の信託」は10月27日公開というから、すでに相当数のファンが観ていてレビューも多数寄せられているがその評価もマチマチである。私としては画面に絶えず吸い寄せられ、緊張感が持続できたことからも秀作の一つに加えたいと思う。

 ところで映画の主題だった終末医療については私も他人事ではない世代に入ってきた。
 この映画の江木同様、私も回復の可能性がまったくなくなった段階での延命治療は無意味だと思っている。
 そのためにもそろそろリビングウィル(生前の意志)をはっきり伝えておくことが必要な時期に差し掛かってきたようだ。
 その際の“終の信託”はやはり医師ではなく、家族だろうなぁ…。