田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

あたり前の暮らしを求めて

2011-11-04 23:20:35 | 講演・講義・フォーラム等
 脚本家であり、演出家であり、劇作家でもある倉本聰氏は言う。「今の日本は岐路に立っている」と…。彼の代表作「北の国から」のベースに流れていた思潮を私たちは今改めて考えるべきときを迎えていると思った…。

        
 
 旅から帰った翌日(11月29日)、北海道心臓協会の市民フォーラムで倉本聰氏のお話を聴く機会に恵まれました。
 倉本氏とともに旭山動物園長の坂東元氏の「命を見つめる」というお話も感銘深く伺うことができたのですが、ここでは倉本氏のお話だけに絞ってレポートしたいと思います。

 倉本氏の演題はタイトルにある「あたり前の暮らしを求めて」というテーマでのお話でした。
 倉本氏は、今の日本は社会が複雑化・高度化したことによって「あたり前」が忘れられていると冒頭に述べられました。人間が生きていく上で最も大切な酸素や水を大切にするというあたり前のことがおろそかにされているのではないか、と倉本氏は説きます。
 人間の際限のない欲望が森林を次々と砂漠に変え、必要以上の電気を産み出さねばならない状況を作っていると…。

 倉本氏に言わせれば、戦後の日本は生きる上での座標軸を失ってしまったと指摘します。
 倉本氏はそうした認識の中で、「北の国から」の主人公黒坂五郎を生きる上での座標軸をしっかり持った人として描いたということです。

 ここまで書いてきて、私は18年前のことを思い出していました。それは倉本氏の作・演出による富良野塾の公演「谷は眠っていた」を観劇したとき、出演者に語らせている言葉があります。
 そこには倉本氏の思いが凝縮されているように思い、その言葉を紹介することにします。

   あなたは 文明に麻痺していませんか

   車と足はどっちが大事ですか
   石油と水はどっちが大事ですか
   知識と知恵はどっちが大事ですか
   理屈と行動はどっちが大事ですか
   批評と創造はどっちが大事ですか

   あなたは感動を忘れていませんか
   あたなは結局何のかのと云いながら
   わが世の春を謳歌していませんか

 18年前の言葉とはとても思えません。今の私たちに鋭く問いかけている言葉だと思います。
 今思い返してみると、倉本氏は一貫して際限のない欲望に囚われ、文明に麻痺してしまっている現代人に警告を発し続けていたのです。

 講演の最後に、倉本氏は私たちに次のような言葉を投げかけました。
 今の日本は岐路に立っている。
 あなたたちはこれからも現在の生活レベルを維持しようと欲するのか。
 それとも生活レベルを落とすことを受け入れるのか。

 このことが現在の原発問題を考える上で、まず自らに問うべき問題であると…。
 倉本氏の答えは言わずもがなです。
 さて、私は?

※ 拙ブログは政治的な問題には深入りしないことを前提としています。したがって、ずるいと指摘されるかもしれせんが、敢えて私は自らの態度は公表しないことにします。(ゴメンナサイ)