今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

故郷の駅

2013-06-01 14:11:54 | 自分

山陰線の無人駅の

21時過ぎの駅。

山を削ってできたその駅は

背後に崖がそそり立ち

前方には小さな町と海が広がる。

駅舎もプラットホームも

町も海も

遠い思い出のようにほの暗く

学生かばんを下げて

乗り降りした

40年前へとスリップしていく。

しばし高校生の私と向かい合う。

互いの間に横たわる

曲がったり

凸凹がありながらも

確かにつながっている

一筋のレールをたどりながら…。

混じりあった過去と今を

濃密な静寂を

スピーカーの声と

オレンジの色の電車が割いていく。

銀色のボタンを押して

今に乗り込む。

あの頃のように

乗り遅れまいと…。

けれど

朝でもなく

友と一緒でもなく

誰もいないほの暗いホームにて…。

街へだけでなく

過去へも運んでくれる

故郷の夜の駅。

Photo Photo_2

トベラ〈トベラ科〉               御来屋の海岸の夕景

copyright Maoko Nakamura


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6 コメント

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ちょうど40年前の高校2年の夏休み、実家の九州から... (Tom)
2013-06-01 23:48:22
ちょうど40年前の高校2年の夏休み、実家の九州から京都の大学に行っていた兄のもとへ1週間かけて山陰路を海岸線に沿って自転車で走ったのを思い出しました。

長い登り道を自転車をこぎ、峠に上がるとそこから眺望できる山陰の海岸線そして青海原。・・幻想的に綺麗でした。毎日・・ひたすらその日の目的地のYouth Hostelにつく事だけを想いながらペダルをこきました。

東京の大学に進学後、夏の帰省には時折のんびりと山陰線周りで帰ったのも懐かしいです。

願わくば、もうひとたびこの目で山陰の海岸線を見たいものです。
ありがとう。
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★Tomさん (maoko)
2013-06-02 10:40:19
★Tomさん

コメントをありがとうございます。
九州から京都まで自転車で行かれたのですか。すごいですね。
きっと私の故郷の付近も通られたことと思います。
海岸には堤防ができたり、テトラポットが増えたりはしていますが
鄙びた感じはあまり変わらないかもしれません(笑)。

私も高校卒業後、東京の大学へ行きました。
同じような時期に東京で学生生活を送っていたのですね。

列車もローカル線は昔と同じ雰囲気です。
未だに自動改札というものもありません。
ちなみに鳥取県はセブンイレブンもスターバックスもない唯一の県とか(笑)。
ぜひまた山陰へお越しくださいね~。
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無人駅。 (grass)
2013-06-02 20:00:00
無人駅。
新幹線の新花巻駅から在来線の釜石線に乗り換え、遠野へ向う途中には、無人駅が多いです。
東北に限らず千葉にもそんな駅が。
人がいなくても、その駅の存在意義はとても大きいと感じています。
人の思いがつまっているようで。
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★grassさん (maoko)
2013-06-03 11:48:44
★grassさん

無人駅には独特の雰囲気がありますよね。
特に夜の無人駅は…。

私が利用していた駅はとても小さな駅ですが
高校のときはここから毎日学校に通いました。
今は大人は車で通勤する人がほとんどですが
学生たちはこの列車で通っています。
私も実家へは車で帰りますが
たまには列車で移動するのもいいなと思いました。
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初めまして! (canzone)
2013-06-05 00:43:07
初めまして!
  昨年より、穏やかで温かい詩のブログを読ませて頂いております。
いつも懐かしい大山や日本海、故郷の地名、心ときめく美しい花々を楽しませて頂いております。
 
  懐かしい駅、思い出の一杯詰まった駅、町名は変わっても、名前は残った駅、小学校の頃は、改札口の木扉に乗っかり、ギーバタン、ギーバタンで遊び、高校、お勤めと、毎日慌ただしく通った駅。結婚し、故郷を離れ、子供が出来てからの、年に二回の里帰り。
  母がその度に、駅まで見送ってくれた駅、改札を出たすぐの、木のベンチが、他の姉妹もそろっての、全員集合の、記念写真の場となりました。子供たちは大人になり、母も年老いて、みんなが集合する事も無くなり、何年か前から、その記念写真も途絶えてしまいました。
  でも、時折、一人で駅に降り立った時、そのベンチを見ると、母が寂しさを隠しながらも、笑顔で、列車が見えなくなるまで手を振って、見送ってくれた、私の大切な心の場所でもあります。
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★canzone さん (maoko)
2013-06-05 10:32:17
★canzone さん

初めまして。
コメントをありがとうごございます。

ご様子が目に浮かぶようでした。
生活の一部として当たり前のように通過していた駅。
でも振り返った時、たくさんの大切な思い出が…。
出会いや別れを繰り返しながら
通りながら少しずつ大人になっていく場所でもあったのですね。
いつまでもあってほしいと願うばかりです。

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