家にじっとしていると、またメソメソしてしまいそうなので、買い物に出かけた。
特に必要なものがあったわけではないが、なんとなく人ごみに紛れていたかった。
ポケーッと歩いていると・・・
「〇〇さん、〇〇さんじゃない?」
と声をかけられた。
向こうはちゃんと名前を知っているが私のほうで覚えがない。
「失礼ですが・・・・・」
「XXで一緒だった△△です」
ああ、そうだ。
以前、少し働いたことのある地元の会社の人だった。
地元に住んでいるのに一度もあったことがなかった。
もう〇十年も会っていないのでわからなかったが、よくみると面影がある。
当時はまだうら若き乙女(?)だったので、その会社の会長から、自分の孫にと縁談を持ち込まれたことがあった。
付き合っているひとがいたのでお断りをしたのだが、その後、会長は息子の代で、事業に失敗し、財産も何もかにもなくしてしまったらしい。
縁談を断ってよかった、などと思ってしまった。
それから、ちょっと立ち話をして、久しぶりに懐かしく、なんだかほんわりした気分になった。