二重人格だと思われている人ほど、自分はそうおもっていないようだ。
辞める彼女が言った。
「せっかく教えても、二人も途中でやめてしまって私、悲しいです」
あんたがどなったから、ビビッてやめたんやろ～！！
と心の中で叫んでしまった。
あくまでも私自身のことではない。
冷たい視線で私を睨むのは営業のオヤジ。
あまりにも私が病院へ行き過ぎるからだそうだ。
そして具合が悪くて休みがち。
これも社長が甘いからだというが、私の身体は一度癌に蝕まれて今復活中だから、しょうがないのに、病気一つしたことのない人にはわからないのだろう。
しかし、業者がくるところっと態度を変えて、人のいい営業部長の顔になる。
私は今も、体内時計がくるっているのか眠くてしょうがない。
その割に夜は2時過ぎまで眠れない。
とても疲れているが、あしたまた、病院へ行くために、頑張って今日仕事をしている。
もう一人、あからさまに二重人格をさらけ出したのが、今度辞める女子。
引継ぎ中に怒鳴り散らし、新人を２人も辞めさせた人を見たのは初めてだ。
しかし、いま引き継いでいるのは私の友達。
仕事もできるが教わり上手。
そのため4時間で、あらかたのことを覚えていた。
辞めるほうの女子は怒鳴る機会を失い、牙をとられたライオンのように大人しかった。
これからどうなるかわからないが、今までよりよくも悪くもならないような気がする。
でも仕事は続く、切れ間なく。
