まいぱん日記

身近なあれこれ、植物のことなど

『森は生きている』のパトスネージニクはマツユキソウではなく、雪割草(ミスミソウ)

2014年04月03日 | ロシア

今日のスノードロップです。間のびしてますね。



前にパトスネージニクは
 1 スノードロップ(和名 マツユキソウ) 
 2 雪どけ直後に一斉に咲き出す草花  の意味があります。
と書いたのですが、上の画像の、わが家のスノードロップは正確には「マツユキソウ」ではありません。
「マツユキソウ」は英語でコモン・スノードロップと呼ばれている、学名ガランツス・ニヴァリス(Galanthus nivalis)という種類につけられた和名です。

ここに植えてあるのは、比較的乾燥に強く、扱いやすので日本に流通しているガランツス・エルウィジー(Galanthus elwesii)という種類で、和名はオオマツユキソウです。

『森は生きている』のパトスネージニクは、4月にロシアの森で咲いて、「茎にはやわらかい毛が生えていて、ビロードのようで、花びらは水晶のよう」な花。なんでしょう?

これでパトスネージニクは終わりにしたいので、一挙に結論にいきましょう。
4月になると雪の残る森で摘んで小さな花束にして街角で売られていた雪割草こと、ミスミソウだと私は考えます。
やわらかそうな毛が茎をおおっているでしょう?



これは窓辺に置いたので、間のびしてますが、ねっ、やっぱり茎にやわらかな毛が生えているでしょう?



雪割草は意味からしてパトスネージニクと同じです。
それに「ユキワリソウ」の名をもつのはサクラソウ科のサクラソウ属の高山植物であること、
通称として春先に咲くイチリンソウやニリンソウなどのイチゲ類やショウジョウバカマ、そしてミスミソウなどが、雪の降り積もるいろいろな土地で雪割草と呼ばれていることもパトスネージニクと似てます。
国はちがっても、雪の降り積もる冬が終わって春を待ちかねる気持ちは同じだからでしょうね。
      (「雪割草と呼ばれる花たち」http://www5e.biglobe.ne.jp/~lycoris/yukiwarisou.html       

日本で『森は生きている』の花がスノードロップというのは今や常識のようになってしまったのですが、驚いたことに、早春花の花売りを禁止されたロシアのアニメや絵本でもパトスネージニクは植物名そのままのスノードロップになってしまっていることをインターネットで知りました。
今のロシアも自然から遠ざかっているのですね。

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7 コメント

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雪割草 (こまこ)
2014-04-07 18:35:31
雪割草はミスミソウだという発見は、とても興味深いですね。写真でもミスミソウの茎に毛がきれいに生えているのがみてとれます。花が咲いたらまた、写真をUPしてくださいね。
いまのロシアではパトスネージニクをスノードロップと思われているというのには驚きました。地方の言い伝え、民俗風習が失われつつあるんですね。しかたないとはいえ、寂しいなあ。
今、実です (まいぱんまま)
2014-04-08 09:51:00
花をのせないで、葉だけのせる―はないですね。花はもう終わって、今うなだれている花茎を見たら、金平糖のような実ができかかっていました。あとでUPしますね。
やっぱり・・・ (こころ)
2019-02-28 17:50:07
雪割草・マツユキソウで検索してここに来ました。
そうしたら、私の疑問通りの話が書かれていて、
やっぱり思ったとおりだったと思いました。

私が昔聞いた(読んだ)話のイメージと、
スノードロップではあまりに印象が違いすぎてがっかりしていたのです。
こんな「ごっつい」というか「しっかりした」花では・・
やはり、楚々としたたおやかな?まぁ、はかなげな花でイメージしていて
頭の中に浮かんだ文字は「雪割草」だったのです。
もしかしたら、昔読んだ本には「雪割草」と書かれていたのかもしれません。
私は雪割草という花を知らないのですから。
どうも、有難うございました。
思った通りの事が書かれていて大変嬉しかったです。
Unknown (雪割草がぴったり)
2019-03-01 10:07:18
こころさん、コメントをありがとうございます。
「森は生きている」の花がスノードロップとされているのは、原文がポトスネージニクという言葉で、それは雪割草のように春先に咲く、いくつかの花をあらわしているのですが、スノードロップの植物名でもあるからです。それで日本語の訳者の湯浅さんはスノードロップの和名のマツユキソウ(待雪草)としたのです。きれいな名前なので、すっかり日本では劇になじんでしまいました。
でもお話をよく読むと、その花の説明は茎に毛が生えているなどスノードロップとはちがいます。ミスミソウだと私は思います。ちょうど日本でもミスミソウは通称で雪割草と呼ばれています。
言葉の使われ方からもロシアのポトスネージニクと日本の雪割草はそっくり。
そんなことで、訳語は雪割草でぴったりって、私は思っています。
ミスミソウは5センチくらいの茎に花をつけますが、ロシアではみんながそれを森に摘みに行って両手の指のなかにおさまりきれないくらいたくさん摘んで、花束を作りました。
それでだんだんなくなってきて、今ではつむのは禁止されてます。
↑ わたしです (まいぱんまま)
2019-03-01 22:00:02
名前の欄にタイトルを書いてしまいました。
丁寧なお返事有難うございます (こころ)
2019-03-07 15:29:43
あまりに色々な事にお詳しいのには感心しました。
このような「細かい」?事に気づいて書いてくださる方は少なく
疑問が解けて嬉しい思いです。

再度原作の内容を確認しましたら「くきにはやわらかい毛が生えていて、ビロードのようだし」と書かれてますね。

この違いのことを、私のブログに引用しても構わないでしょうか?
よろしければ、書かせていただきたいのです。

尚、ちょっとお伺いしたいのですが、ロシアに詳しい理由をお教え頂ければと思いました。
どうも、有難うございました。

どうぞ使ってください (まいぱんまま)
2019-03-08 00:50:04
ロシアの植物のことに興味があって、それに調べることが好きなんです。
ずーっと前から『森は生きている』の「まつゆきそう」のことは気になっていました。お話しの中のことなんだからまつゆきそうでもいいんじゃないのと思っているうちに、インターネットでは「まま娘が大晦日に森に摘みに行かされるのはスノードロップである」が定説になってしまっていますね。

ちょうどこれからがロシアではポトスネージニクの季節ですね。どうぞ、よかったら、使ってください。

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