おはなしSDGs シリーズの一作です。
SDGs というのは、国連で決まった「持続可能な開発目標」のこと。世界中の国々、企業、人々があらゆる垣根を越えて協力し、よりよい未来をつくるための17の目標(ゴール)です。
Sustainable Developmennt Goals サステナブル デベロプメント ゴールズ
そのひとつひとつを、わかりやすく物語を通して伝えようという企画。
安田さんが取り組んだゴールは、「貧困をなくそう」です。
陸は母と妹の二人暮らし。父は失踪していません。母は介護施設で働いていますが、腰痛のため、正規の職員ではなくパート。給食費の支払いも滞っています。
アパートの一室で、陸は妹と二人の食事のため、米を研ぎ、二人分500円で買い物をします。
テレビで見る飢えた子のような状況ではありません。だったら、うちは貧しくないのか?
妹の誕生日が来て、500円の中から工面して、スーパーでショートケーキを買います。妹は喜びますが、食べている途中で泣き出しました。ひどい虫歯になっていたのです。歯医者さんに行かなくてはいけません。でも、陸は治療費が払えないと悩みます。
『向こう岸』で、貧困を正面から向き合って描いた安田さん。
貧困家庭を支援する制度があるけれど、当事者がそれを把握していないケースがある。陸の家族も、その制度を知ることで、状況が変わってくるのではという展開が見られます。
このシリーズは今年、続々と発売になるようです。ジェンダー平等の実現、安全な水とトイレを世界中になどなど。これら社会的なテーマを、現在活躍している児童文学作家さん達がどう描くか、(自分だったら、難しいなあと思いつつ)興味があります。
読初の本でした。
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