fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『みんなはアイスをなめている』安田夏菜作・黒須高嶺絵(講談社)

2021年01月03日 | 本の紹介
           

 おはなしSDGs シリーズの一作です。
 SDGs というのは、国連で決まった「持続可能な開発目標」のこと。世界中の国々、企業、人々があらゆる垣根を越えて協力し、よりよい未来をつくるための17の目標(ゴール)です。

 Sustainable Developmennt Goals  サステナブル デベロプメント ゴールズ 

 そのひとつひとつを、わかりやすく物語を通して伝えようという企画。
 安田さんが取り組んだゴールは、「貧困をなくそう」です。

 陸は母と妹の二人暮らし。父は失踪していません。母は介護施設で働いていますが、腰痛のため、正規の職員ではなくパート。給食費の支払いも滞っています。
 アパートの一室で、陸は妹と二人の食事のため、米を研ぎ、二人分500円で買い物をします。
 
 テレビで見る飢えた子のような状況ではありません。だったら、うちは貧しくないのか? 
 妹の誕生日が来て、500円の中から工面して、スーパーでショートケーキを買います。妹は喜びますが、食べている途中で泣き出しました。ひどい虫歯になっていたのです。歯医者さんに行かなくてはいけません。でも、陸は治療費が払えないと悩みます。

『向こう岸』で、貧困を正面から向き合って描いた安田さん。
 貧困家庭を支援する制度があるけれど、当事者がそれを把握していないケースがある。陸の家族も、その制度を知ることで、状況が変わってくるのではという展開が見られます。

 このシリーズは今年、続々と発売になるようです。ジェンダー平等の実現、安全な水とトイレを世界中になどなど。これら社会的なテーマを、現在活躍している児童文学作家さん達がどう描くか、(自分だったら、難しいなあと思いつつ)興味があります。
 
  読初の本でした。

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