fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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俳句甲子園観戦記~2024東京大会

2024年06月22日 | 日記
       

 東京大会は、16日、第一、第二会場と2会場で行われました。
 私は第二会場をずっと観戦しました。

 出場は、開成高校、海城高校、東京家政学院、明治大学付中野高校(正式には高等学校)。
 開成、海城は常連の男子校。開成は、全国大会で何度も優勝していて「絶対王者」とまで言われたこともあります。
 中学から俳句部があり、卒業生は東大俳句会に多くいて、日頃の鍛錬、句作りの数ではたぶん追従を許さないでしょう。

 でもわからないよ~。と思いながら観ていたら、やっぱり。
 最後の最後、最終戦の大将戦まで勝者がどっちになるかわからない展開でした。

 優勝は、東京家政学院。開成を破りました。
 最優秀句は、東京家政の

 鬼薊投げて他郷の空を穿つ

 いい句だ。穿つという言葉が出るの、すごいと思います。鬼薊は外来種で、ひどい棘のある植物。今、ものすごい勢いで繁殖しています。審査員からは、「今世界で起きている出来事ともリンクする」との評でした。
 東京家政は、他にも「ゾンビ」「不死鳥」「腋臭」と、普通句材にならないような言葉を持ってきます。
 季語を乗り越えようという意気込み と評した審査員もいました。それゆえ、ちょっとこれはついていけないなという句もいくつかありました。「この蝌蚪には季感はないんです」と自分達の句に言う場面も。蝌蚪は、「かと」。おたまじゃくしのことです。家政学院からは他校に対して「ベタすぎませんか?」という意見の出る場面もありました。
 対する開成高校は、季語の本意を大事にしている。手堅い句をしっかり出してきます。ちゃんと詩情もあります。
彼らは、追われる身。その辛さを乗り越えて毎年出場し、破れたチームも、投句審査で勝ち上がり全国へ行くチャンスが残っています。きっと選ばれて、俳句甲子園を盛り上げてくれてることに敬意を表したいです。全国でもきっと頑張るでしょう。

 第一会場会場の優勝は、学習院女子。今回女子パワー炸裂でした。こちらも、海城のもう1チーム、立教池袋という常連男子校を突破。
 
 家政学院、頑張っていただきたい。それにしても全員俳句を初めて6か月というのには驚きました。
 明大付属中野は、全員一年生。他校に比べ、ディベートの訓練をしていないのでしょう。その1点の鑑賞点の差で敗れたケースがあり残念でした。ぜひ、来年リベンジしていただきたい。
 海城高校は、私が俳句甲子園を観戦しはじめてから、個人的にずっと応援している学校です。なんだろう、とても楽しんでいるのが伝わってくるんです。ただ、今回私が観戦した回では、その楽しんでいる感、読み手の記憶にとどまる句がなかった印象でした。ただのミーハーおばさんの戯れ言と思ってください(といっても、彼らがこれを見ることはないか笑)。

 こちらで、前半戦の優勝校(全国出場校)と、最優秀句を確認できます。赤をクリックすると、サイトに飛びます。 

 当日観戦し、私が好きだった句。
 
 のどけさに塔の傾くけはいかな  開成
 夜をつかむ赤子や蝌蚪の跳ねる指  東京家政  夜をつかむ赤子や蝌蚪のとび跳ねる  だといいのに・・。
 あおじろき雨の街灯蝌蚪の国   開成
 掌にどの蝌蚪もみなあたらしく  開成
 この闇の欠片のような蝌蚪を狩る  東京家政
 憂鬱な母を見捨てて蝌蚪を愛す  東京家政
 花薊風は遠きを来て強し   開成
 ひらがなをあざみもまとふみやこかな  東京家政


 審査員の先生の言葉としては、「幻想的なものを表現するなら、それを支えるリアリティがほしい」が、まさに! でした。
 
 この土日は後半の地方大会があります。私の出身校は、宮城の多賀城大会に出場、観に行きたい(行けないけど)。頑張ってください。
 
 
 

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