fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

お知らせ・防備録。
記事の無断転用はお断りいたします

『榾明り』(高橋涼)ー文学の森

2015年12月20日 | 本の紹介
          

 弘前在住の『童子』同人高橋涼さんの初句集です。

 血まなこのせまり来たるやねぷたの夜  
 地獄絵を闇に見送るねぷたかな
 くさめして言ひたきことを忘れけり
 濃き薄き花の筏の流れゆく
 辻にきてぐらりとかしぐねぷたかな
 草引くや草引くほかは考へず
 香水のかすかに残る仏間かな
 冬晴や溺れるやうに窓ふいて
 誰も来ず何処へも行かず雪掻きぬ
 凍瀧やため息のごと日の射して
 湯の宿に雪庇育ちてにごり酒
 猫車出すによろけて鳥帰る
 エナメルの靴をおろして花粉症
 ちまき食ふ六十路の兄と弟と
 雪もよひ包丁研ぎの来るころと
 春荒れや明日干す魚の腹さいて 
 こどもの日集合写真きゅうくつな   高橋 涼 


 こんなにいっぱいあげてしまった。
 やっぱり、575っていいなと思わせてくれます。  

 青森は東北ですが、どこか他の県と違うなと感じています。
 かつて東北に大和朝廷は城を築き、役人を派遣していましたが、北限は秋田。なので青森は大和朝廷の支配下になかった、だから文化が独自なのだと聞いたことがあります。
 そして、北の国の血が混じっている(という言い方よくないかなあ)、男性はみなさんとても体格がよくて、女性もまたすらりとしているのです。これも秋田や岩手とは違うところ。
 涼さんも、もと体育の先生でらしたというだけあり、いつもすっと姿勢を正しくされている方。でも、俳句を作るときは、自分の世界にしっかり浸ります。月に一度は秋田句会にもいらっしゃるので、私がたまに秋田句会に出て、という形でごいっしょすることがあります。
 とても優しい方。そしてしっかりされている方。そんな涼さんの佇まいそのものという句集です。

最新の画像もっと見る