fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『みちのく妖怪ツアー ワークショップ編』佐々木ひとみ・野泉マヤ・堀米薫作/東京モノノケ絵(新日本出版社)

2020年07月22日 | 日記
 みちのく妖怪ツアーシリーズ、第三弾が出ました!!
             
 
 第二弾が、古民家ステイ編
 そして、このたびはワークショップ編です。
 子ども達は、それぞれ東北6県に家族で出かけ、そこから子どもだけのワークショップに参加するという設定。
 案内役は、おなじみ四角美佳さん。
 そして、構成もおなじみ、東北6県それぞれが舞台の6編です。
 
 1巻、2巻を読んでいると、うーん、今回も怖いだろうな。子ども達、大丈夫かなという気持ち。そしてその予想は
裏切られることなく、怖い展開になります。
 読んでいて思うのは、取材力と料理力。作者の出身県だとわかるのですが、そうではない県も書かれているわけです。それなのに、すんでらしたのか? と思ってしまいます。
 ワークショップですから、県の名産が出てきて、それが怖い話と直結! 
 でもでも、でもです。今回、ラストが~~~。
 このシリーズ、最初から3巻構成だったのかしら? と思う、1,2巻も一緒に着地しているんです。お見事!!

 アンソロジーは、これまで私も何冊か出していますが、だいたい作者の個性が作品に投影されます。この作者のこの作品、うんうん。と。それはそれでいいのですが、このシリーズは、違います。作者の3人をよく存じ上げていますが、全体のまとまりに重きを置き、けっして作者が出ていません。力量だなと思いました。

 最後に作者三人の言葉をご紹介。
 私たちが暮らす東北は、海の幸・山の幸の宝庫であると同時に、妖怪の宝庫でもあります。全国にその名を知られた妖怪から、地元でさえ知る人の少ない妖怪まで、多彩な妖怪が棲んでいます。
 自然災害や大飢饉など、数々の困難を乗り越えてきた東北の人々にとって妖怪は、いつの時代も、怖いものであると同時に、心の拠り所となる大切な存在でもありました。そして、今もなおこの値では、人と妖怪が共存し続けています。それぞれの土地の歴史や自然、人々の思いが反映された、「土地の魂」ともいえる「みちのくの妖怪たち」を全国の子どもたちに紹介したい。そんな思いから、この本は生まれました。
 
 今、東北のみならず国全体の暮らしが厄災に脅かされています。さまざまなつながりが分断されつつある今、それぞれの「土地の魂」が大切のあものをつなぎとめる力となってくれること、そして私たちが紡いだ東北の物語が疲弊した子どもたちの心を癒す何かしらの栄養になってくれることを願ってやみません。


 泣けます。
 ぜひ、お読みください。
 

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