学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

現代の教育思潮の過ち

2007-02-25 | 教育
現代は変化の激しい時代だから,
知識を覚えたとしても,すぐに陳腐化する。
だから,知識そのものを覚える教育よりも
知識を得る方法とか,知識を活用できる力を
身につけさせるべきだという教育観から
現在の教育が行われている。

このことは,文部科学省の学習指導要領にしても
あるいは,それを批判するいろいろなメソッドにしても
おおむね一致した見解であるかのように思われる。

でも,この教育観自体に誤りはないのだろうか。
知識の中には,陳腐化するものと陳腐化しないものがある。
陳腐化しない知識とは,
歴史の淘汰を経て,陳腐化していない知識である。
すなわち,古典とよばれるものである。

現代のような知識の陳腐化がはやいといわれる時代にこそ,
陳腐化しない知識,すなわち古典的知識をしっかりと学び,
現代という時代に対処するためのゆるがないバックボーン,
すなわち教養をしっかりと身につけさせるべきなのである。

もしも,戦後教育が,
その優れた実践の蓄積にもかかわらず
何らかの不足があるとすれば,
それは,古典を重視してこなかったことにこそ
求められるべきであろう。

この教養にくらべれば,
現在もてはやされている凡百の教育論など
まったく取るに足りないものなのである。
それらこそ,実は,陳腐化する知識に他ならないのである。

「生きる力」とか「心の教育」とか,
「批判的思考力」とか「金融教育」とか,
「コミュニケーション能力」とか,
目新しく内容が不確かで,
おそらく100年の寿命もないような用語を並べ立てるよりも,
古文や漢文,古典的英文にでも目を向けたほうが
よっぽど価値があるであろう。
そのほうが,
生きていくための指針を得るには
有益なのである。