Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

階段VSエレベーター:後篇

2014-08-11 00:30:00 | コラム
映画に登場する階段とエレベーターを特集する企画、今宵はその第二夜「エレベーター篇」。


閉所恐怖症というわけではないけれど、あの空間、そして、あの「なんともいえない」時間経過は、あんまり好きじゃない。
外が見えるタイプならばね、いつまでも乗っていられると思うが。

だから、デパートなどでは基本的にエスカレーターを利用する。
だがエレベーター同様、エスカレーターだって動かしているのは機械。アクシデントがないとはいい切れないところがあり、「ふたつの意味で」身体のためにも階段がいちばんいいのだろうね。

前述したように、エレベーターは機械で動くからアクシデントの可能性もある。
さらにいえば、ドアーが開くまで中の状態が分からないことから想像力をかき立てられるところがある。

この二点をうまく突いたのが、以下の10本の映画である。


(1)『死刑台のエレベーター』(58)

完全犯罪が、エレベーターの停止によって崩れていくさまをクールに描く。

50年以上も前に創られたのに、これを超える「エレベーターを使った映画」は現れていない。

ちなみに2010年に日本版が制作されたが、冗談のような映画になっていた。

(2)『殺しのドレス』(80)

なんもいえねぇぜ。




(3)『インファナル・アフェア』(2002)

エレベーターでなにが起こっているのか―観せなくとも想像が出来る、哀しい哀しい結末だ。

(4)『ソナチネ』(93)

高橋!

このヒトコトで始まる、他者を巻き込んだ銃撃戦。

密室だから逃げることは出来ず、「なんなら最初に殺してくれ!」と叫びたくなる怖さがある。

(5)『スピード』(94)

爆弾を仕掛けられたエレベーター。
「つかみ」としてもよく出来た冒頭だが、この一件をきちんと描くことが「相関関係を説明すること」と直結していて見事。

(6)『ゾンビ』(78…トップ画像)

ドアーが開いたら、ワーーーっと攻めてくる。

逃げ場なし。やっぱり「すぐに殺してくれ!」と思う。

(7)『ターミネーター2』(91)

新型のターミネーターがどういう特色を持っているのか、このアクションで分かり易く提示してくれる。




(8)『タワーリング・インフェルノ』(74)

いろんな不運が重なって、事故は2倍3倍の規模に。

それでも超高層ビルへの憧れって、なぜか消えないものなんだよね…。

(9)『ダイハード』(88)

しかしこの映画の主人公は、アクシデントに見舞われてもエレベーターを味方につけた。

さすがマクレーン!!

(10)『ドライヴ』(2011)

新世代の監督、ニコラス・ウィンディング・レフンはエレベーターの使いかたも洒落ている!

詳しくは書かないが、ぜひ自分の目で確かめてみてね。

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明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(87)』

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階段VSエレベーター:前篇

2014-08-10 04:23:31 | コラム
多少の「やせがまん」はあるが・・・
酷暑の日でも雨の日でも台風の日でも雪の日でも、チャリの運転そのものはたいして苦とは思わない。

繰り返す、多少の「やせがまん」はあるんだよ。


毎日の、苦―それは、運転を終えたあとに訪れる。

そこそこ質のいいチャリに乗っているため、自転車駐車場には置きたくない。
だから一台はベランダ、もう一台は玄関前に置いている。
つまりエレベーターなしの団地5階まで、チャリを運ばなければならない。

長距離移動を終えたばかりの火照った身体には、これが堪えるのだった。

アルミフレームだから、ママチャリに比べたら軽いけど。
それにこれは、有酸素運動である。
身体にはいいにちがいない。
だから苦しくても、身体にいいんだから! このあとビール呑めるんだから!! 思いっきり自慰出来るんだから!!! と自分を励まして懸命に上るのだ。


ところで階段もエレベーターも、使いようによっては映画に絶大な効果をもたらす。
2日にわたって、そんな「技あり!」の映画を選出してみよう。

今宵は、階段篇。

映画と階段―その筆頭は、なんといってもオデッサのシーンで有名な『戦艦ポチョムキン』(25)だろう。
クラシック過ぎると思うので、これだけは除外しておきたい。


(1)『ミラーズ・クロッシング』(90)

ギャングのボスを狙うふたりの殺し屋が、マシンガンを持ちながらゆっくりと階段を上がる。

コーエン兄弟らしい移動撮影によって、とても印象に残るシーンとなっている。

(2)『エクソシスト』(73)

神父がダイブする、あの「いわくつき」の階段。

(3)『蒲田行進曲』(82)

銀ちゃん! のためなら、格好よく階段落ちをキメるぜ!!

関係ないが自分にとって、「初」松坂慶子の作品。
じつをいうと、あんまり魅力的だとは思えなかったのだ。

(4)『アンタッチャブル』(87)

エイゼンシュタインに敬意を表して。

この映像設計は、「やっぱり」すごいと思う。




(5)『逃亡者』(93)

追われるものと、追うものと。

(6)『ロッキー2』(76)

このシーン、第一作目だと思っているひとが多いけど、ちがうよ。




(7)『その男、凶暴につき』(89)

妹と寝た男を、刑事のたけしが蹴り落とす。

(8)『風と共に去りぬ』(39)

転落して流産してしまう展開、ショックだった。

(9)『めまい』(58)

いわゆる「めまい」ショットで捉える、らせん階段。

(10)『フレンチ・コネクション』(71)

犯人を追いつめて、下から銃撃。
象徴的なシーンだから、そのままポスターにもなった。

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『階段VSエレベーター:後篇』

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にっぽん男優列伝(239)寺尾聰

2014-08-09 00:30:00 | コラム
47年5月18日生まれ・現在67歳。
横浜出身。

公式サイト


後期の黒澤映画に連続出演を果たした寺尾聰(てらお・あきら)さん。
うちの父親は「なぜ、このひとが?」と、ずっと疑問を抱いていたそうです。
「いた」というか、現在もそう思っているみたいですね。

そのくらい、三船の存在は大きかった―ともいえると思うのですけれど、では自分はどう捉えたかというと、父親から何度も何度もそう聞いたから、、、というのもあるのでしょう、『乱』(85)の一文字太郎孝虎に違和感を覚えたことはたしかです。
しかし、つづく『夢』(90)の「私」は、ひじょうに自然でした。
この映画を観て、黒澤がなぜ寺尾さんを起用したのか、なんとなく、なんとなくではありますが、分かったような気がしました。

とはいえ。
自分の世代では「ぎりぎり」ではありますが、俳優としてより、まずミュージシャンとして有名ですよね。




<経歴>

父親は俳優の宇野重吉。
リンクした動画でも言及されていますが、たしかに歳を取る毎に似てきたような気がします。

60年代前半―。
いくつかのバンドにベーシストとして参加、音楽業界ではそこそこ知られる存在になった68年、『黒部の太陽』で映画俳優デビューを飾る。

これがきっかけで石原軍団の一員になりました。
音楽を始める前から俳優業への興味は持っていたようで、ほんとうは父親が主宰する劇団民藝に「研修生として」入団したかったそうです。
しかし「たとえ研修生だったとしても、周りには七光りに映る」と父親は拒否、その代わり裕次郎を紹介されたのだとか。

『愛の化石』(70)、『甦える大地』(71)、『同胞』(75)、『サチコの幸』(76)、『分校日記 イーハトーブの赤い屋根』(78)、『迷走地図』(83)など映画出演もつづけましたが、このころは主にテレビドラマ―『大都会』(76、日本テレビ)、『西部警察』(79~82、テレビ朝日)―で活躍。

また、山田洋次の『寅さん』シリーズに「まったく異なるキャラクター」として・・・

観光係員役の『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(76)、
巡査役の『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(77)、
一男役の『男はつらいよ 寅次郎の休日』(90)、

・・・3度出演した珍しいキャリアを持っています。

81年、誰もが知っている『ルビーの指環』が大ヒットを記録。
現在の自分だって歌詞を丸ごと覚えていますもの、すごいことだと思います。

80年代なかごろに石原軍団を脱退、そして85年に黒澤に起用されて『乱』に出演。
『夢』(90)、『まあだだよ』(93)、さらに黒澤の脚本をもとにした『雨あがる』(2000)でも主演を務めました。

そのほかの出演作に・・・
『テイク・イット・イージー』(86)、『星の牧場』(87)、『ロックよ、静かに流れよ』(88)、
『新宿欲望探偵』(94)、『失楽園』(97)、『キャッツ・アイ』(97)、
『サトラレ』(2001)、『日本の黒い夏─冤罪』(2001)、『東京マリーゴールド』(2001)、『阿弥陀堂だより』(2002)、『半落ち』(2003)、『亡国のイージス』(2005)、『博士の愛した数式』(2006)、『魂萌え!』(2007)、『さまよう刃』(2009)。

とくに『半落ち』や『さまよう刃』のような、社会を撃つタイプの野心的な映画に意欲的で、個人的な評価をいえば、黒澤作品に出ていたころの寺尾さんより、現在の寺尾さんのほうが俳優としては好きですね~。


次回のにっぽん男優列伝は、寺島進さんから。

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にっぽん男優列伝(238)鶴見辰吾

2014-08-08 05:29:48 | コラム
64年12月29日生まれ・現在49歳。
東京出身。

公式ブログ…チャリ屋さんみたい笑


先日の筒井道隆もそうでしたが・・・
頭に「つ」のつくひとは自転車好きが多いのでしょうか、本日の主役・鶴見辰吾(つるみ・しんご)さんも、ある意味では「俳優として」より「チャリダーとして」有名です。

知識も、持っているものも超一流。

素晴らしい。
素晴らしい・・・のだけれども、それ以上に感心してしまうのが、このひとの息の長さです。

青春スターのような存在だった80年代を経過し、ここで消えるかと思いきや静かに浮上、(映像的に)いいツラを獲得し現在に至る。
「チョイ」悪なキャラクターを演じることが多いから、健康的で爽やかな自転車のイメージがなく、かえって新鮮に映りましたし。

戦略ではなく「たまたま」こうなったのでしょう、ほんとう、人生って分からないものです。


※伊藤かずえ!




<経歴>

77年―12歳のとき、テレビドラマ『竹の子すくすく』(テレビ朝日)で俳優デビューを飾る。
片平なぎさの弟役ですが、弟の幼年時代を描く回想シーンでは「一瞬だけ」鶴見さんの実弟(鶴見祐一)も登場しています。

79年―『3年B組金八先生 第一シーズン』(TBS)で優等生の宮沢保を好演し話題となる。
浅井雪乃(杉田かおる)を妊娠させてしまう、あの青年ですね。

翌年の80年、相米監督の快作『翔んだカップル』(80)で映画俳優デビュー。
共演は薬師丸ひろ子で、ふたりの初々しい演技が見ものです。

以降も映画/テレビのこだわりなくキャリアを重ね、とくに84年に制作されたテレビドラマ『スクール☆ウォーズ』(TBS)における謎の男・名村直役は、鶴見さんにとっての代表作といっていいでしょう。

松村雄基とのからみ、いちいち面白かったです。


映画のキャリアに限定してみましょう。

『潮騒』(85)、再び相米組に参加した『台風クラブ』(85…傑作!)、『いとしのエリー』(87)、『226』(89)、『一杯のかけそば』(92)、『ヒーローインタビュー』(94)。

出演作が途切れることはないですが、80年代後半~90年代前半は、はっきりいって「スカスカ」でした。

風向きが変わり始めたのが、95年の『GONIN』から。
暴力団幹部を活き活きと演じ、あぁやっぱりこのひとには、こういうキャラクターがいちばんだよなぁ!! とうれしくなったのを覚えています。

『アタシはジュース』(96)、『GONIN2』(96)、『月とキャベツ』(96)、
『鮫肌男と桃尻女』(99)、『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(99)、『フリーズ・ミー』(2000)…。

『月とキャベツ』以外は、一般的に「ふつうではない」とされているキャラクターです。
うん、それでこそ鶴見さんは輝く。

しかし近年は演技に幅が出来て、前科者以外・笑 のキャラクターも演じるようになりました。

『ローレライ』(2005)、『ノン子36歳(家事手伝い)』(2008)、『春色のスープ』(2008)、『ネコナデ』(2009)、『ランデブー!』(2010)、『東京島』(2010)、『極道兵器』(2011)、『はやぶさ/HAYABUSA』(2011)、『アントキノイノチ』(2011)、『マイウェイ 12,000キロの真実』(2011)、『私の叔父さん』(2012)、『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』(2012)、『黄金を抱いて翔べ』(2012)。

ぜんっぜん面白くなかった『ストロベリーナイト』(2013)、面白過ぎて時間を忘れた『舟を編む』(2013)、オムニバスだから飽きることはなかった『埼玉家族』(2013)、
最新の特撮技術なのに(なぜか)古く感じた『キカイダー REBOOT』(2014)などなど、アタリハズレはあるものの、鶴見さんの演技は悪くないです。

最新作は、『わたしのハワイの歩きかた』(2014)。

予想ですが・・・
10年以内に、自転車を扱った映画を撮ると思います。

もし撮るのであれば、趣味のレベルを超えた一級品に仕上げてくださいね。

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いつかギラギラする日

2014-08-07 00:30:00 | コラム
生まれ故郷の館林が今夏の最高気温を出したということで、複数の友人から祝福の? メールが届いた。

39.5度。

なかなかの記録である。

館林で暮らしていたころ、まぁ比較対象がなかったから、、、というのもあるが、そこまで暑かったという印象はない。
夏というのは、こんなもんでしょ? みたいな。

じつはいまでもそうで、東京のほうが「なんとなく」暑い気がしている。

館林は、カラッとした「自然な」暑さ。
東京の暑さはカラッとしておらず、自然ではない人工的なものを感じるのだった。

ともあれ。
そんなところで育ったものだから、暑さに強いと思われがちである。

まぁ弱くはないが、強くもない。
ビールばっかり呑み、氷ばっかり齧って、早く夏が終わらないかなぁ、、、などと思っている。

いや、ここまでの酷暑でなければ、いくらでもつづいてもらって構わないのだが。


そんなわけで今宵は、映画のなかで描かれた「暑さ」を10パターン選出してみた。

不快指数100の暑さもあれば、さっぱり爽快な暑さもある。
もちろん後者のほうが過ごし易いけれど、ほとんどのドラマは「前者ゆえに」生まれるのであった。


(1)『野良犬』(49…トップ画像)

暑~~い夏の日に、若い刑事はピストルを盗まれた。

(2)『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)

暑さと怒りが交差して、クライマックスの悲劇は起こった。

※予告とあるが、予告じゃないよね




(3)『評決のとき』(96)

米国南部は暑いと聞くが、それでも登場人物たちは汗をかき過ぎなんじゃないのか・・・と、ちょっとだけ思った。

(4)『砂の器』(74)

捜査を邪魔するかのような暑さ。
なぜ刑事さんって、スーツ着用が基本なのかね。

(5)『恐怖の報酬』(53)

暑さが貧しさと直結している描写が素晴らしい。

(6)『羅生門』(50)

黒澤映画には、寒さはあまり似合わない。

(7)『青いパパイヤの香り』(93)

ベトナムは湿気が多そうだが、この映画の暑さは「さっぱり」している(ように見える)。

(8)『フォーリング・ダウン』(93)

暑さの所為で、イライラは増幅する。

(9)『あの夏、いちばん静かな海。』(91)

黒澤と同様、北野武も夏が似合う。

(10)『アラビアのロレンス』(62)

そりゃ砂漠だもの、暑いでしょう。
ただロレンスのキャラクターが「のほほん」としているからか、灼熱という感じはない。


※ときどき、カラオケで歌います




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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(238)鶴見辰吾』

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