masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

ドライブコストをゼロにする魔術

2012年11月05日 | ガソリンスタンド

本日11月5日の燃料油脂新聞にも「業転格差5円超定着か」と載っている。


5円“超”です。

これ、特約店へ卸される時点で、です。
なので販売店に卸される時点では更に価格差は広がっている。

当店の場合、業転との価格差は大体常に10円前後あります。

・・・・・

販売店や特約店が直接不満を訴えると潰される。
※2011年08月11日 「訴えたら、即、潰される」

国によるヒアリングでの元売の回答は
「ブランド料について、特約店・販売店から不満の声があがっていることは認識しているものの、
安定供給・品質確保・POS・カード等販売システムの提供などの付加価値を提供するもので、
事業継続上不可欠」
との認識を示した。
※2011年09月16日「事業継続に不可欠」


業界内で解決できないのはもちろんのこと、国にも元売を指導する力はない(?)

・・・・・

10/19と10/26の業界紙「ぜんせき」で、「過疎地SSの現状(長野・木祖村の場合)」という記事が掲載されていました。

平成の大合併で塩尻市に編入された旧楢川地区には現在SSがない、いわゆる“無SS地域”だそうです。
編入以前は役所関係の入札も木曽の価格で出来ていたが、塩尻市になったことで、価格競争の激しい塩尻価格での対応を求められることになった。
元々販売量の少ないところで、価格だけが激戦地と同値では商売は成り立たない。
閉鎖は当然の結果。

木祖村側では旧楢川村のSSが閉鎖したことで、「給油に来てもらえるのでは」と期待したが、
結果は「最初の数ヶ月だけ少し販売量が増えたが、あとは元に戻った」そうで、
「(旧楢川村から)こちら(木祖村)へは車で5分だが、どうやら20分以上かけて塩尻方面へ買いに行っているようだ」と・・・・。

塩尻地域との価格差は数年前から10円以上あり、時として15円以上になることもあり
「15~20円の価格差は20分程度のドライブコストをゼロにする魔術を持っているようだ」
「若い世代であればまだしも、70歳を超えた老齢ドライバーには相当の負担になるだろうとの予想も大外れ」だそうです。

「長引く不況の中、人々は1円でも安く油を買いたいと思っているようだ」

*****

>「15~20円の価格差は20分程度のドライブコストをゼロにする」


過疎地ですらこれだもの、5分も車を走らせればセルフより安いフル(本社は他府県の広域業者)があるような地域では何をか言わんやでしょう。

(--。。。


・・・・・ここからは業界紙の記事をそのまま転載します・・・・・

「いまではこちらが真っ当に仕入れた時の価格プラス1円が塩尻地区の売値。
当然、できる限りの仕入れの工夫はしている。

だがそれでも販売量が違うし、掛売りが9割を占めるこちらでは塩尻周辺の価格に追従することは不可能」と打つ手なしの状況にある。
数年にわたって続く塩尻地区の競争が過疎の村に与える影響は想像以上に大きい。

塩尻地域の価格影響はガソリンだけにとどまらず、冬場の灯油にも現れている。

販売業者は
「最近の住宅では1戸400リットルの大きなホームタンクを設置している家が多くなってきた。
戸数が多くなれば配達でローリー1台分を売り切ることも可能。
奈良井の住民に、SSがなくなったから見積りを出してみたが、塩尻方面から売りに来る業者との格差は10円もあった。
それでは買ってもらえない。
1軒取られると両隣取られる。
地元のこちらは1軒だけ対応する事はできない。
1件対応すると云う事は全件対応対応せざるを得ないことを意味する。
しかし、それではこちらが食べていけない。
一部の業者ではあるが、彼らはどんどん我々の商圏を侵食している。
自由競争とはいうが、安値で乗り込み、ある意味で海賊行為だ」
と憤りを隠さない。

・・・・・転載終わり・・・・・



地元で生業としてやっている販売業者と、生活圏に関係なく完全な営利目的でやっている業者とでは商売のやり方が全然違う。
彼らには“付き合い”や“しがらみ”もないから「クール」に商売が出来る。

彼らが売るのは一定以上の販売量があるトコロだけ。
そして多分、“前日までに注文”等、条件も付くのではないでしょうか?
(例外もあるかも知れませんが、当地ではそうなので・・・)

ポリ1つでも「“電話を掛けたら”持って来てくれる」なんてことは、恐らくないハズです。

彼らのやり方は、「おいしいとこ取り」です。


地場で商売をしている業者には「地域へのエネルギー供給を担っている」という自負がある。
(・・・担っていたとか、ありました、という過去形になりつつあるかも?)

だから全体で赤字にならなければ「可」として(当時はそんな意識すら持たずにすんでいたと思うけど)ポリ1つのお客さんでも配達を請け負ってきた。

だけど・・・
規制緩和以降セルフや安値店の台頭で赤字になってしまいました。

でも、それだからといって以前から変わらず当店をご利用くださっているお宅(特に高齢者)に対して、「ポリ1つでは赤字だから」と、配達を断る事など出来るわけがありません。
(ただ、10年前には結構な軒数があった高齢家庭も、夫婦のうちどちらかが亡くなられたりすると子どもさんが引き取ったり施設に入ったりでだんだんと軒数は減り、今では数えるほどになりましたが・・・
そして、そうやって350円程の粗利でこうちゃんが配達に出ている30分~小1時間ほどの間に「オイル交換等」が入っても私には出来ないので「稼ぎ」を失うこともたまにあります^^;)



地域全体をみなければならない我々と、
ピンポイントで“おいしいとこ取り”が出来る彼ら。

しかも彼らに有利な仕切り格差。


自己資産を投入しながらも、小口配達先のことが気掛かりで店を閉める決断ができない地場業者は多いハズです。

・・・

<次回予告>
見栄っ張りの私がもっとも忌避したかった“ジリ貧”
まぁ誰だってジリ貧なんて嫌だろうけど、
それを不可避だとして受け入れた、こうちゃんの「思い」を書きます。