報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「国家公務員特別研修センター到着」

2023-02-15 21:11:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月15日09時00分 天候:曇 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター]

 タクシーで現地に向かう。
 相変わらず外観が刑務所とか、或いは東京都北区にある国立印刷局の工場みたいだ。
 正門前にタクシーを止めてもらうが、当然それだけでは門扉は開かない。
 タクシーはここで降りて、通用口横のインターホンを押す。

 愛原「おはようございます。東京から参りました愛原です」

 すると、通用口の電子ロックが解除される音がした。

 愛原「失礼します」

 私達は通用口から中に入った。

 守衛長「やあ、おはようございます。愛原さん、これで何度目ですかね?」

 見覚えのある守衛長さんが、にこやかに出迎えてくれる。
 通用口から中に入ると、最初に守衛所があり、ここで入構手続きをしなくてはならない。
 この際、持ち込み禁止品を持ち込んでいないかのチェックが行われる。
 尚、ここにいる警備職員は、直接雇用の『守衛』であって、警備会社から派遣されてきた『警備員』ではない。

 愛原「さあ……何だかんだ言って、何度も来ているような気がします」

 私は肩を竦めた。
 守衛の警備服は、刑務所の刑務官に制服が似ているからか、高橋は居心地が悪そうだ。

 守衛A「守衛長!この人、拳銃を持っています!」
 高橋「しゃらぁーっ!」
 守衛長「大丈夫だ。この人達は銃の所持許可が出ている。ちゃんと許可証を提示してもらえ。……すいません、こいつまだ今年度入ったばかりの新人で……」
 愛原「あ、いえ、大丈夫です。私もショットガンを持ってまして……。これが、許可証です」
 守衛長「確かに。……こうやって、許可証を確認するんだ」
 守衛A「は、はい」
 守衛B「それでは、こちらに所定事項のご記入を」
 愛原「分かりました」

 リサの方はというと……。

 守衛C「お菓子ばっかり……」
 リサ「どこも怪しくないでしょ?」

 リサの方が怪しくないという不思議。

 守衛A「だから、何で伸縮式の警棒を持ってるんだ!?軽犯罪法違反だ!」
 高橋「しゃらぁーっ!」
 守衛A「ライターの火力も強過ぎる!没収だ!」
 高橋「だしゃぁーっ!」
 守衛B「ご記入ありがとうございます。えーと……手荷物検査が済んだ方にしか、入構証をお渡しできないのですが?」
 愛原「あー……結構です」
 リサ「ほっといて先に行こうね!」
 高橋「ま、待ってください!」
 守衛A「こら、待て!まだ手荷物検査は終わっていない!オイルライターの替えのボトルの持ち込み数が……」
 高橋「しゃららーっ!」
 愛原「だから余計な物持って行くなって言っただろうが!」

 高橋だけ、なかなか入構できそうになかった。

 善場「おはようございます。入構手続きはお済みですか?」

 そこへ善場主任がやってきた。

 愛原「高橋のせいで、なかなか入構できません」
 高橋「こいつがうるさいだけですよ!」
 守衛A「こら!まだ検査は終わってないぞ!マイナスドライバーも軽犯罪法違反だ!」
 善場「……取りあえず、持ち込み禁止の物は、守衛所で預かってもらいましょう」
 愛原「どうもすいませんねぇ……。このバカ!」
 高橋「いや、全部護身用に必要なものです!」
 愛原「公務員さん相手に、そんなのは通用しねぇ!」
 善場「その通りです。さすがは、愛原所長です」
 リサ「ジョーシキだよね?」
 高橋「うるせぇっ!」

 そして、どうにかこうにか、高橋も入構することができた。

 善場「まず先に、宿舎に荷物を置いてからにしましょう。宿舎までご案内します」
 愛原「ありがとうございます」

 構内の建物はいくつかに分かれている。
 以前利用した時は本館の宿泊所だったと思うが、今度は新館の方に案内された。

 善場「これがカードキーです。これを持っていてください」
 愛原「ありがとうございます」

 構内そのものは入構証で出入り可能なのだが、それとは別に宿泊施設の部屋のドアの鍵がいる。
 そして、ここではそれはホテルのようなカードキー式となっている。

 善場「3階の313号室です」
 愛原「313号室ですね。じゃ、ちょっと行ってきます」

 私達が階段で行こうとすると、何故か階段の手前には防火扉が閉じられていた。
 何だろう?消防点検中か?

 善場「あ、愛原所長。階段は防犯の為、使用できません。上階と下階の行き来は、エレベーターを使用してください」

 と、善場主任は階段横のエレベーターを指さした。
 バリアフリー対策が施されたエレベーターになっており、車椅子マークの付いたボタンもある。

〔上に参ります〕

 エレベーターに乗り込む。

 善場「私はここで待っています。準備ができましたら、下りて来てください」
 愛原「分かりました」

〔ドアが閉まります〕

 エレベーターには、地下階へ行くボタンもあった。
 だが、秘密の研究施設に向かう為か、地下階へのボタンは押しても点灯しなかった。

〔ランプの点灯しない階には、止まりません〕

 ボタンの下にカード読取機が付けられおり、そこにカードキーを当てないとボタンが反応しないシステムになっているのだろう。
 尚、部屋のカードキーでは反応しなかった。
 恐らく、それは善場主任が持っているのだろう。
 だから、下で待っているのだ。

〔ドアが開きます〕

 ピンポーン♪

〔3階です。下に参ります〕

 エレベーターが3階に到着する。
 人けの無い廊下を進み、途中に313号室があった。
 それをカードキーで開ける。
 中に入ると、本館の客室と似たような構造になっていた。
 両側に木製の2段ベッドが2つある、4人部屋である。
 ベッドに挟まれるようにして、畳が3畳敷かれている。
 その上に座卓があり、座布団が4枚置かれていた。
 窓の前にはテレビがある。
 ドアの横に洗面所はあったが、バスルームやトイレは無かった。
 ベッドは開放型寝台車みたいに、カーテンが付いている。
 そして、中は枕灯とコンセントがあった。

 愛原「まあ、こんなところか。荷物を置いたら、下に行こう。主任を待たせていると、申し訳ない」
 高橋「分かりました」

 私達は室内の様子を確認し、荷物を置くと、再び退室してエレベーターに向かった。

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