[7月17日10:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
朝食を終えた後で、再び魔界へ行く準備をした。
エレーナと共に、ホテルの地下室へ向かう。
マリア:「とんだ時間のロスをしてしまった。申し訳ない」
勇太:「しょうがないよ。生理だもの」
エレーナ:「良かったな、マリアンナ。これがクズ男だったら、『何でこんな時に生理になりやがるんだよォ!』ってキレるからよ?」
マリア:「そんなヤツは、今頃地獄に堕としている」
勇太:「怖い怖い」
地下室に着いて、魔法陣のある一角に向かう。
勇太:「でも魔女は、『生理中は魔法が使えない』って聞くけど、よく人形を動かせてたね?」
マリア:「あれは人形に、予め魔力をチャージさせておいたから。だから私が体調不良で魔力を送り込めなくても、ある程度は動けるんだ」
勇太:「それは凄い」
エレーナ:「『魔女は初潮で弟子入り、閉経して一人前』とは良く言ったものだぜ」
勇太:「半人前の期間、長くない?!」
マリア:「長いと思う」
エレーナ:「いや、多分……一人前になってからの方が長いと思うぜ?」
シーン……となる魔道士達。
そうするうちに、魔法陣の一角に到着する。
マリア:「と、とにかく魔界に行くぞ」
勇太:「う、うん」
魔法陣の上に乗る勇太とマリア。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ……」
エレーナ:「気をつけて行って来いよ」
勇太:「うん、色々とありがとう」
エレーナが聖水を振り掛けると、紫色の光が現れ、勇太達はそれに包まれた。
[魔界時間10:00.天候:晴 魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ南端村・魔界稲荷]
光による視界不良が無くなった時、2人は見覚えのある場所にいた。
さくら:「まあ、お帰りなさい」
そこは威吹の住む稲荷神社で、その住居の中の客間であった。
以前来た時、勇太とマリアはこの客間に滞在させてもらった。
で、紙に描いた魔法陣をここに保管させてもらっている。
勇太:「あ、さくらさん!すいません、掃除中でしたか!」
さくら:「いいのですよ」
さくらは威吹の人間の妻で、江戸時代からの想い人であった。
それがようやく実り、今や夫婦として暮らしている。
さくらは現在、この神社の禰宜である。
勇太:「マリア、早く靴脱いで!」
マリア:「あ、ああ」
因みにさくら、今は2人目の子を妊娠中である。
マリアの占いでは、2人目も女の子だそうだ。
長女の美狐は、妹ができると喜んでいた。
さくら:「このままお待ちください。今、威吹を呼んで来ますね」
勇太:「いえ、お構いなく。駅前の共和党事務所に行きますから」
さくら:「まあ、そうなのですか」
勇太:「魔法陣を預かっててくれて、ありがとうございました。こちら、御礼の菓子折りです」
さくら:「そんな、お気遣いなく……」
美狐:「あ、コンコンコン。洋菓子の甘々しい香り」
そこへ長女の美狐が登場する。
私服の作務衣を着ていた。
ピンク色に狐の刺繍が入った、かわいいデザインである。
さくら:「これ!はしたないわよ!」
勇太:「どうぞどうぞ。食べてください。では、僕達はこれで」
美狐:「ちょっと待って!村の中心部に行くのなら、また車を用意するから!」
マリア:「それは助かる」
美狐はパタパタと走り去って行った。
さくら:「慌ただしい娘で申し訳ありません」
勇太:「元気があって、いいじゃないですか」
さくら:「あのコ、『留学する』って聞かないんですよ」
勇太:「ハハハ、こっちの世界の学校は大変ですよ」
さくら:「ですよねぇ……」
勇太:「過去に鬼族のコが、『留学』した例はありますけどね」
さくら:「そうなのですか。大丈夫ですか?鬼にも人食いをする者がいますから、まかり間違ってそんなことをしたら……」
勇太:「そんな話は聞かなかったので、多分、大丈夫でしょう」
さくら:「威吹も人食い妖狐でしたし、美狐もたまに食人衝動が来てしまうのです。特に、満月の晩は要注意で……」
勇太:「因みに、それが今夜というオチは……?」
さくら:「いえ、昨日でした」
勇太:「あ、なんだ!」
妖狐達が村に出て暴れ出さないよう、日暮れまでには蔵に閉じこもり、翌朝まで出て来ない習慣というのができてしまった。
しばらくして人力車の準備ができたということで、勇太達は神社の外に向かった。
威吹:「まだ来てくれよ、勇太?」
威吹の見送りと共に、人力車に乗り込む勇太とマリアだった。
[同日10:30.天候:晴 アルカディアシティ南端村 魔界共和党南端村事務所]
坂吹:「それじゃ、ここで宜しいですね?」
勇太:「うん、ありがとう」
2人は人力車から降りた。
勇太:「威吹達によろしくね」
坂吹:「分かりました」
それから魔界共和党の事務所に入る。
坂本:「これはこれは稲生さん、いい時に来ました」
所長で共和党幹部の坂本が、そんなことを言ってきた。
勇太:「何かあったんですか?」
坂本:「実は今日から警戒レベルが引き上げられることになりまして、その……推薦人が2人から3人に増えてしまったのです」
勇太:「ええっ!?」
マリア:「そんなの横暴だ!」
勇太:「じゃあ、あと1人また推薦状をもらわないとダメなんですか?!」
坂本:「そういうことに……」
勇太:「“噂の委員会”が言ってたのは、こういうことだったのか」
危うくこのまま魔王城に行って、追い返されるところであった。
勇太:「あと1人、どうしよう……?」
坂本:「さすがにこれはあんまりだということで、最後の3人目にあっては、暫定措置として、『後援会幹部が代行しても良い』となっております。あくまでも暫定措置なので、いつまたそれも撤廃されるか分かりませんが……」
勇太:「後援会にしたって、そんな知り合いいないよ」
勇太が途方に暮れていると……。
坂本:「あの……これは内密にしておいて欲しいのですが……」
勇太:「何ですか?」
坂本:「後援会の幹部を1人、御紹介致します。政治献金を頂ければ……」
勇太:「また1万ゴッズですか?」
坂本:「さすが、お目が高い」
勇太:「分かりました。払いますよ」
坂本:「ありがとうございます」
マリア:「それで、あなたの知ってる後援会幹部というのは?」
坂本:「皆さん、6番街には行ったことがありますか?」
勇太:「6番街?」
マリア:「あの、アルカディアシティ随一の繁華街だろう?それがどうした?」
坂本:「あそこで店を経営している者に、後援会幹部がいるのです。その者を紹介します。その者を訪ねてみてください」
勇太:「分かりました。その人のこと、詳しく教えてもらえますか?」
思わぬアクシデントが発生してしまったが、どうやら回避できそうである。
急な出費は発生してしまったが。
朝食を終えた後で、再び魔界へ行く準備をした。
エレーナと共に、ホテルの地下室へ向かう。
マリア:「とんだ時間のロスをしてしまった。申し訳ない」
勇太:「しょうがないよ。生理だもの」
エレーナ:「良かったな、マリアンナ。これがクズ男だったら、『何でこんな時に生理になりやがるんだよォ!』ってキレるからよ?」
マリア:「そんなヤツは、今頃地獄に堕としている」
勇太:「怖い怖い」
地下室に着いて、魔法陣のある一角に向かう。
勇太:「でも魔女は、『生理中は魔法が使えない』って聞くけど、よく人形を動かせてたね?」
マリア:「あれは人形に、予め魔力をチャージさせておいたから。だから私が体調不良で魔力を送り込めなくても、ある程度は動けるんだ」
勇太:「それは凄い」
エレーナ:「『魔女は初潮で弟子入り、閉経して一人前』とは良く言ったものだぜ」
勇太:「半人前の期間、長くない?!」
マリア:「長いと思う」
エレーナ:「いや、多分……一人前になってからの方が長いと思うぜ?」
シーン……となる魔道士達。
そうするうちに、魔法陣の一角に到着する。
マリア:「と、とにかく魔界に行くぞ」
勇太:「う、うん」
魔法陣の上に乗る勇太とマリア。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ……」
エレーナ:「気をつけて行って来いよ」
勇太:「うん、色々とありがとう」
エレーナが聖水を振り掛けると、紫色の光が現れ、勇太達はそれに包まれた。
[魔界時間10:00.天候:晴 魔界王国アルカディア王都アルカディアシティ南端村・魔界稲荷]
光による視界不良が無くなった時、2人は見覚えのある場所にいた。
さくら:「まあ、お帰りなさい」
そこは威吹の住む稲荷神社で、その住居の中の客間であった。
以前来た時、勇太とマリアはこの客間に滞在させてもらった。
で、紙に描いた魔法陣をここに保管させてもらっている。
勇太:「あ、さくらさん!すいません、掃除中でしたか!」
さくら:「いいのですよ」
さくらは威吹の人間の妻で、江戸時代からの想い人であった。
それがようやく実り、今や夫婦として暮らしている。
さくらは現在、この神社の禰宜である。
勇太:「マリア、早く靴脱いで!」
マリア:「あ、ああ」
因みにさくら、今は2人目の子を妊娠中である。
マリアの占いでは、2人目も女の子だそうだ。
長女の美狐は、妹ができると喜んでいた。
さくら:「このままお待ちください。今、威吹を呼んで来ますね」
勇太:「いえ、お構いなく。駅前の共和党事務所に行きますから」
さくら:「まあ、そうなのですか」
勇太:「魔法陣を預かっててくれて、ありがとうございました。こちら、御礼の菓子折りです」
さくら:「そんな、お気遣いなく……」
美狐:「あ、コンコンコン。洋菓子の甘々しい香り」
そこへ長女の美狐が登場する。
私服の作務衣を着ていた。
ピンク色に狐の刺繍が入った、かわいいデザインである。
さくら:「これ!はしたないわよ!」
勇太:「どうぞどうぞ。食べてください。では、僕達はこれで」
美狐:「ちょっと待って!村の中心部に行くのなら、また車を用意するから!」
マリア:「それは助かる」
美狐はパタパタと走り去って行った。
さくら:「慌ただしい娘で申し訳ありません」
勇太:「元気があって、いいじゃないですか」
さくら:「あのコ、『留学する』って聞かないんですよ」
勇太:「ハハハ、こっちの世界の学校は大変ですよ」
さくら:「ですよねぇ……」
勇太:「過去に鬼族のコが、『留学』した例はありますけどね」
さくら:「そうなのですか。大丈夫ですか?鬼にも人食いをする者がいますから、まかり間違ってそんなことをしたら……」
勇太:「そんな話は聞かなかったので、多分、大丈夫でしょう」
さくら:「威吹も人食い妖狐でしたし、美狐もたまに食人衝動が来てしまうのです。特に、満月の晩は要注意で……」
勇太:「因みに、それが今夜というオチは……?」
さくら:「いえ、昨日でした」
勇太:「あ、なんだ!」
妖狐達が村に出て暴れ出さないよう、日暮れまでには蔵に閉じこもり、翌朝まで出て来ない習慣というのができてしまった。
しばらくして人力車の準備ができたということで、勇太達は神社の外に向かった。
威吹:「まだ来てくれよ、勇太?」
威吹の見送りと共に、人力車に乗り込む勇太とマリアだった。
[同日10:30.天候:晴 アルカディアシティ南端村 魔界共和党南端村事務所]
坂吹:「それじゃ、ここで宜しいですね?」
勇太:「うん、ありがとう」
2人は人力車から降りた。
勇太:「威吹達によろしくね」
坂吹:「分かりました」
それから魔界共和党の事務所に入る。
坂本:「これはこれは稲生さん、いい時に来ました」
所長で共和党幹部の坂本が、そんなことを言ってきた。
勇太:「何かあったんですか?」
坂本:「実は今日から警戒レベルが引き上げられることになりまして、その……推薦人が2人から3人に増えてしまったのです」
勇太:「ええっ!?」
マリア:「そんなの横暴だ!」
勇太:「じゃあ、あと1人また推薦状をもらわないとダメなんですか?!」
坂本:「そういうことに……」
勇太:「“噂の委員会”が言ってたのは、こういうことだったのか」
危うくこのまま魔王城に行って、追い返されるところであった。
勇太:「あと1人、どうしよう……?」
坂本:「さすがにこれはあんまりだということで、最後の3人目にあっては、暫定措置として、『後援会幹部が代行しても良い』となっております。あくまでも暫定措置なので、いつまたそれも撤廃されるか分かりませんが……」
勇太:「後援会にしたって、そんな知り合いいないよ」
勇太が途方に暮れていると……。
坂本:「あの……これは内密にしておいて欲しいのですが……」
勇太:「何ですか?」
坂本:「後援会の幹部を1人、御紹介致します。政治献金を頂ければ……」
勇太:「また1万ゴッズですか?」
坂本:「さすが、お目が高い」
勇太:「分かりました。払いますよ」
坂本:「ありがとうございます」
マリア:「それで、あなたの知ってる後援会幹部というのは?」
坂本:「皆さん、6番街には行ったことがありますか?」
勇太:「6番街?」
マリア:「あの、アルカディアシティ随一の繁華街だろう?それがどうした?」
坂本:「あそこで店を経営している者に、後援会幹部がいるのです。その者を紹介します。その者を訪ねてみてください」
勇太:「分かりました。その人のこと、詳しく教えてもらえますか?」
思わぬアクシデントが発生してしまったが、どうやら回避できそうである。
急な出費は発生してしまったが。
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