[日付不明(恐らく7月4日)時刻不明 天候:晴または曇 JR埼京線上り最終電車(または回送電車)3号車]
大宮駅から駆け込み乗車した私達は気がつかなかったが、指扇(さしおうぎ)駅から乗った幸太郎君は見ていた。
指扇駅からも、数人の乗客が前の車両に乗り込んでいたことを。
そして指扇駅にこの電車が入線してきた際、前の車両には既に何人もの乗客が乗っていたことを。
何が言いたいかというと、もしこの電車に異常が発生していて、それに気づいた他の乗客がいたならば、彼らが先に何か行動をしているのではないかということだ。
たまたま最後尾に乗った私達は、そもそも車掌がいないことに気づいて前の車両に進むことにしたわけだが、それを知らない前の車両の乗客達が逆方向に向かって来ていてもおかしくはない。
だが、それなのにそんな乗客とは1度も会っていないのだ。
2号車で会った幸太郎君だって、異常には気付かなかったようなので、そもそも気づいていない可能性がある。
だが例えこの電車が、たまたま旧型車両を使用した通勤快速であったとしても、そろそろ時間的にはとっくに武蔵浦和駅に到着していても良いはずだ。
そんな感じは全くしないし、それに、まるでトンネルの中を走行しているかのように外が全く見えない状態である。
スマホは相変わらず圏外、そして時計も止まっている。
これが一体、何を意味しているものなのか……。
愛原:「……3号車には誰も乗っていないみたいだ」
私は車両間を繋ぐ通路の扉(貫通扉)の窓から3号車を覗いてみた。
高橋:「それじゃ、3号車には何の用も無いですね。とっとと行きましょう」
高橋は貫通扉の取っ手を握った。
高橋:「……マジで誰もいないですね」
愛原:「そうか」
私達は3号車の中に入った。
高橋:「ここには用が無いようです。とっとと4号車まで行きましょう」
愛原:「そうだな」
私達は4号車へ続く通路を歩いた。
愛原:「ん?」
その時だった。
3号車の一番4号車寄りのドアの前……左右のドアの真ん中辺りに、水たまりを見つけた。
まるで通路を塞ぐような形に広がっている。
愛原:「誰か水でもこぼしたのかな?」
高橋:「関係無いですよ。さっさと行きましょう」
高橋が先に立って、その水たまりに足を踏み入れようとした時だった。
高橋:「!?」
その水たまりの中から人の顔が現れた。
いや、ただの顔ではない。
透明なマネキンの顔……のようなもの、とでも言おうか。
その水たまりの所だけ、何だか深い池になっているかのように、その中から透明な人の頭が出て来た。
高橋:「な、何だコイツ!?」
高橋はその透明な頭を踏みつけた。
高橋:「何だ、テメェ!?」
その水たまりはだんだんと人の形になっていった。
但し、あくまでも透明な姿のままだ。
男か女かも分からない。
だが、左右に手足が生えて来たかと思うと、それで高橋を捕まえようとした。
高橋:「ナメんなよ!」
高橋は素晴らしい身体能力で、水の化け物の魔の手を掻い潜った。
愛原:「高橋君!一旦、退避だ!」
高橋:「逃げるんスか、先生!?」
愛原:「当たり前だ!早く来い!」
私は幸太郎君の手を取って、先ほど入って来た2号車へと戻った。
最後に高橋が戻って、私は思いっ切り貫通扉を閉めた。
直後、まるでバケツの水が掛かったかのようにバシャッとドアの窓ガラスに水の化け物がブチ当たった。
山根:「ひいっ!」
最悪このドアをブチ破ってきたり、隙間から入ってきて襲って来るかもと思ったが、その化け物はそこまではしてこなかった。
ただ、窓ガラス一杯に無念そうな、恨めしそうな顔を作ると、スーッと消えて行った。
愛原:「た……助かったのか?」
高橋:「分かりません!」
山根:「あぁ……ぅあ……!」
愛原:「大丈夫か、幸太郎君?どうやらヤツはここまでは来れないらしい。一先ず、安心だな」
高橋:「ですが先生、油断はできません。てか、何なんスか、あいつ?バイオハザード的な何か?」
愛原:「あんなの霧生市にはいなかったぞ」
まあ、例えここでゾンビが出て来たとしても、今の私達に戦える術は殆ど無いのだが……。
高橋:「どうします?ヤツは諦めたみたいっスけど、もう1回行ってみます?」
私は貫通扉の窓越しに3号車を見てみた。
見た感じ、さっきの化け物はいないように見える。
だが、どうも車内がビショビショになっているようだった。
私は意を決して、再び貫通扉を開けた。
そこで待ってましたとばかりにさっきの化け物がいきなり襲って……くるなんてことは無かった。
だが、3号車はビショビショに濡れていた。
まるで台風やゲリラ豪雨が降っているにも関わらず、窓を全開にして走った後のようだ。
それでも乾いていたり、元から濡れていなかった所もある。
愛原:「うーん……」
高橋:「先生、ご指示を」
愛原:「よ、よし。このまま進もう」
高橋:「先生……!」
愛原:「引き返したら引き返したで、何か却ってヤツがそっちで待ち受けいそうな気がするんだ」
高橋:「なるほど!さすがです!」
もちろんそれは私の勝手な妄想だ。
だが、さっきの化け物としては、本当に私達を取って食う気があったのか少し疑問もあったのだ。
あの水の化け物は、こんなに車内をビショビショにしてしまうくらいだ。
もしさっき本気で高橋を取って食う気があったのだとしたら、普通に手づかみなんかせず、そのまま覆い被さってしまえば良かったのではないか。
それをしなかったということは、私達をこのまま前に進ませない為に脅かしただけなのではないかと思ったのだ。
高橋:「じゃ、早速行きましょう」
愛原:「待て!」
私は高橋を止めた。
高橋:「何スか、先生?」
愛原:「さっきの水の化け物……お前が水たまりに足を入れたから襲って来たということも考えられる。だったら、水を避けて進んだ方がいいかもしれん」
山根:「で、でも、こうしてしてる間にも、また襲ってくるかもしれないよ……」
幸太郎君が不安そうな顔をして言った。
高橋:「そうですよ、先生。こればかりは俺、このガキに賛成です。一気に4号車まで走り抜けた方がいいですって。もし良かったら、俺が鉄砲玉になりますよ」
愛原:「いや、だからそれはダメだ」
どうする?私としては濡れている所を避けて、慎重に4号車へ向かう方が良いと思う。
が、確かにそんなグズグズして、今度は前後挟み撃ちにでもされたらバッドエンドだ。
そうならない為にも、水など気にせず、一気に走り抜けた方が良いのではないか。
か、消極的だが引き返すか?
①水たまりを避けて4号車に向かう。
➁一気に駆け抜けて4号車に向かう。
③やっぱり1号車に引き返す。
※バッドエンドがこのうち2つの上級コースですw
大宮駅から駆け込み乗車した私達は気がつかなかったが、指扇(さしおうぎ)駅から乗った幸太郎君は見ていた。
指扇駅からも、数人の乗客が前の車両に乗り込んでいたことを。
そして指扇駅にこの電車が入線してきた際、前の車両には既に何人もの乗客が乗っていたことを。
何が言いたいかというと、もしこの電車に異常が発生していて、それに気づいた他の乗客がいたならば、彼らが先に何か行動をしているのではないかということだ。
たまたま最後尾に乗った私達は、そもそも車掌がいないことに気づいて前の車両に進むことにしたわけだが、それを知らない前の車両の乗客達が逆方向に向かって来ていてもおかしくはない。
だが、それなのにそんな乗客とは1度も会っていないのだ。
2号車で会った幸太郎君だって、異常には気付かなかったようなので、そもそも気づいていない可能性がある。
だが例えこの電車が、たまたま旧型車両を使用した通勤快速であったとしても、そろそろ時間的にはとっくに武蔵浦和駅に到着していても良いはずだ。
そんな感じは全くしないし、それに、まるでトンネルの中を走行しているかのように外が全く見えない状態である。
スマホは相変わらず圏外、そして時計も止まっている。
これが一体、何を意味しているものなのか……。
愛原:「……3号車には誰も乗っていないみたいだ」
私は車両間を繋ぐ通路の扉(貫通扉)の窓から3号車を覗いてみた。
高橋:「それじゃ、3号車には何の用も無いですね。とっとと行きましょう」
高橋は貫通扉の取っ手を握った。
高橋:「……マジで誰もいないですね」
愛原:「そうか」
私達は3号車の中に入った。
高橋:「ここには用が無いようです。とっとと4号車まで行きましょう」
愛原:「そうだな」
私達は4号車へ続く通路を歩いた。
愛原:「ん?」
その時だった。
3号車の一番4号車寄りのドアの前……左右のドアの真ん中辺りに、水たまりを見つけた。
まるで通路を塞ぐような形に広がっている。
愛原:「誰か水でもこぼしたのかな?」
高橋:「関係無いですよ。さっさと行きましょう」
高橋が先に立って、その水たまりに足を踏み入れようとした時だった。
高橋:「!?」
その水たまりの中から人の顔が現れた。
いや、ただの顔ではない。
透明なマネキンの顔……のようなもの、とでも言おうか。
その水たまりの所だけ、何だか深い池になっているかのように、その中から透明な人の頭が出て来た。
高橋:「な、何だコイツ!?」
高橋はその透明な頭を踏みつけた。
高橋:「何だ、テメェ!?」
その水たまりはだんだんと人の形になっていった。
但し、あくまでも透明な姿のままだ。
男か女かも分からない。
だが、左右に手足が生えて来たかと思うと、それで高橋を捕まえようとした。
高橋:「ナメんなよ!」
高橋は素晴らしい身体能力で、水の化け物の魔の手を掻い潜った。
愛原:「高橋君!一旦、退避だ!」
高橋:「逃げるんスか、先生!?」
愛原:「当たり前だ!早く来い!」
私は幸太郎君の手を取って、先ほど入って来た2号車へと戻った。
最後に高橋が戻って、私は思いっ切り貫通扉を閉めた。
直後、まるでバケツの水が掛かったかのようにバシャッとドアの窓ガラスに水の化け物がブチ当たった。
山根:「ひいっ!」
最悪このドアをブチ破ってきたり、隙間から入ってきて襲って来るかもと思ったが、その化け物はそこまではしてこなかった。
ただ、窓ガラス一杯に無念そうな、恨めしそうな顔を作ると、スーッと消えて行った。
愛原:「た……助かったのか?」
高橋:「分かりません!」
山根:「あぁ……ぅあ……!」
愛原:「大丈夫か、幸太郎君?どうやらヤツはここまでは来れないらしい。一先ず、安心だな」
高橋:「ですが先生、油断はできません。てか、何なんスか、あいつ?バイオハザード的な何か?」
愛原:「あんなの霧生市にはいなかったぞ」
まあ、例えここでゾンビが出て来たとしても、今の私達に戦える術は殆ど無いのだが……。
高橋:「どうします?ヤツは諦めたみたいっスけど、もう1回行ってみます?」
私は貫通扉の窓越しに3号車を見てみた。
見た感じ、さっきの化け物はいないように見える。
だが、どうも車内がビショビショになっているようだった。
私は意を決して、再び貫通扉を開けた。
そこで待ってましたとばかりにさっきの化け物がいきなり襲って……くるなんてことは無かった。
だが、3号車はビショビショに濡れていた。
まるで台風やゲリラ豪雨が降っているにも関わらず、窓を全開にして走った後のようだ。
それでも乾いていたり、元から濡れていなかった所もある。
愛原:「うーん……」
高橋:「先生、ご指示を」
愛原:「よ、よし。このまま進もう」
高橋:「先生……!」
愛原:「引き返したら引き返したで、何か却ってヤツがそっちで待ち受けいそうな気がするんだ」
高橋:「なるほど!さすがです!」
もちろんそれは私の勝手な妄想だ。
だが、さっきの化け物としては、本当に私達を取って食う気があったのか少し疑問もあったのだ。
あの水の化け物は、こんなに車内をビショビショにしてしまうくらいだ。
もしさっき本気で高橋を取って食う気があったのだとしたら、普通に手づかみなんかせず、そのまま覆い被さってしまえば良かったのではないか。
それをしなかったということは、私達をこのまま前に進ませない為に脅かしただけなのではないかと思ったのだ。
高橋:「じゃ、早速行きましょう」
愛原:「待て!」
私は高橋を止めた。
高橋:「何スか、先生?」
愛原:「さっきの水の化け物……お前が水たまりに足を入れたから襲って来たということも考えられる。だったら、水を避けて進んだ方がいいかもしれん」
山根:「で、でも、こうしてしてる間にも、また襲ってくるかもしれないよ……」
幸太郎君が不安そうな顔をして言った。
高橋:「そうですよ、先生。こればかりは俺、このガキに賛成です。一気に4号車まで走り抜けた方がいいですって。もし良かったら、俺が鉄砲玉になりますよ」
愛原:「いや、だからそれはダメだ」
どうする?私としては濡れている所を避けて、慎重に4号車へ向かう方が良いと思う。
が、確かにそんなグズグズして、今度は前後挟み撃ちにでもされたらバッドエンドだ。
そうならない為にも、水など気にせず、一気に走り抜けた方が良いのではないか。
か、消極的だが引き返すか?
①水たまりを避けて4号車に向かう。
➁一気に駆け抜けて4号車に向かう。
③やっぱり1号車に引き返す。
※バッドエンドがこのうち2つの上級コースですw
水溜まりそのものが敵ではないかという私の判断によるものです。
なんかでも、今回は自信ないなぁ。