報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「地獄の底へ」

2014-08-28 19:30:51 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月19日21:45.廃ホテル“シークルーズ”B3F コントロールセンター 敷島、アリス、キール、エミリー]

「あれ?あの緑のオッサン、どこ行った?」
 電気室で非常予備電源1基を起動させた4人は、残りの2基を起動させる為にコントロールセンターに戻って来た。
「復活して・どこかに・行ったのかも・しれません」
「ふーん……。まあいいや。とにかく、残りの2基を起動させよう」
「OK」
 アリスはキーボードを叩いて、非常予備電源の残り2基を起動させた。
「参事、エレベーターが動きました」
「よーし!あとは秘密の研究所に行くルートだ。さっきの緑のオッサンも、地下だって言ってた。怪しいルートは……何だこれ?」
 コントロールセンターにある図面は、防災センターにあるものと若干違っていた。
 どうやらホテル廃業後のものらしい。
 地上から上に大した違いは見られなかったが、地下に大きな変化があった。
 どうやらこのホテル、地下に駐車場を構えていたらしいが、この駐車場が廃業後は大きく変わっていた。
 端的に言えば、駐車場の表記が無い。
 その代わり、研究所の文字が見て取れた。
「……やっぱりそうか。アリス、ウィリーは地下に研究所を構えてたらしいぞ?」
「そのようね」
「えーと、ここに行くエレベーターは……。カジノの中かよ」
「カジノ!?」
「違法賭博行為でもやってたのか、このホテルはァ……」
 敷島は呆れた顔をした。
「ホールから行けるみたいだぞ」

[同日22:00.同ホテル エントランスホール→カジノ 敷島、アリス、キール、エミリー]

 プロムナードへのドアと同じく、舵輪型の取っ手を回してカジノの中に入る。
「何だ?予備電源全機稼働させたのに、真っ暗だぞ?」
「……ブレーカーが切れているようです。ここのブレーカーを入れませんと」
「どこだよ?」
「ここ・です」
「ん!?」
 ドアの横に配電盤があった。
「何だよ、ここか」
 敷島が何気なく配電盤の扉を開けると、
「チュチュチュチュ、ヂッ!」
「うわっ、びっくりした!」
 中からネズミが数匹飛び出してきた。
「大丈夫かな?電線、齧ってたりしないよな?」
 敷島は中にあるブレーカーのレバーを下に押し下げた。

 ガチャン!

「おっ、点いた」
 カジノだけに、電飾も派手だ。
 ネオンサインが眩しい。
「金持ちホテルは違うね。オペラハウス風のホールの次は、カジノと来たか。エレベーターはどこだ?」
「……あれね」
「よし」
 敷島はボタンを押してみた。
 案の定、うんともすんとも言わない。
 そこで今度は、ケンショーホワイトから分捕ったエレベーター・キーを差し込んで回した。
 すると、今度はボタンのランプが点灯し、エレベーターが動く音が聞こえた。
「よしよし」
 エレベーターのドアが開く。
「センターの図面によると、研究所は地下3階から地下5階の3層構造だ。このエレベーターだと、まずは地下3階ってとこらしいな」
 敷島は地下3階のボタンを押した。
 こうして、エレベーターは下へ下りて行った。
「いざ、地獄の底へ」

 エレベーターが地下3階に到着する。
 ドアが開くと、元々はVIP用の車寄せなどがあったのだろうが(防災センターの図面による)、それが今や無機質な壁に囲まれた通路になっていた。
「この先に研究所があるんだな」
 目的はウィリーの遺産を探し出すこと。
 そしてできれば、ルカが感染したウィルスの“ワクチン”を探し出すことである。
 重厚そうな鉄扉が見えてきた。
 ここまで来て、嫌な予感がした。
 その鉄扉の横にはカードリーダーがあり、赤と緑のランプがある。
 今、そのランプは赤になっていたからだ。
「くっ!開かない!」
「くそっ!ここまで来て……!」
「私が・こじ開けます」
 エミリーがドアノブを掴んだ。
 そして、エミリーがドアをこじ開けようとした時、

 ガチャッ!

 向こう側からドアが開いて、エミリーは勢い余って、ドアの向こうに倒れてしまった。
「だ、大丈夫か、エミリー!?」
「い、イエス……」
「何だって、いきなりドアが開いたんだ?」
 それは、向こう側から誰かが開けたからである。
 誰かと言うと……。
「た、たた、助けて……!」
 血まみれのケンショー・レッドだった。
「ロボットが……ロボットがぁぁぁ……!」
「あっ!?」
「参事、危ない!」
 今度はキールが敷島を庇った。
 廊下の向こうから、ライフルのようなものが発射された。
 もちろん、頑丈なキールはそれが数発被弾したくらいではビクともしない。
 ドアから先は急な左カーブになっており(地下駐車場のスロープだったからだろう)、曲がったすぐに先に発砲者がいたのは間違いなかった。
 体勢を立て直したエミリーと共に、相手と銃撃戦を行う。

 ボーンッ!

「排除・しました」
 エミリー達の方が上手だったようで、ケンショーレッドを撃ったロボットは爆発した。
「パパが……パパが殺されちゃうよぉぉぉ……!」
 レッドは血まみれの手で、敷島にカードを渡した。
「このカードキーを手に入れてから……あ、危なく………」
 ガクッと力尽きるレッド。
「参事、スキャンしたところ、ホテルにいたクリーチャーとも違うタイプです。バージョン・シリーズとも違うのですが、どちらかというとそれに近い存在です」
「なるほど。そうか。バージョン・シリーズなら、アリスが一喝してやればフリーズするんじゃないか?」
「アタシのこと、知ってる連中かしら……」
 子供の頃から、ウィリーの開発した無差別テロ・ロボットが遊び相手だったアリス。
 アリスの遊び相手になったロボットが、次の日には死傷者を大量に出して自爆していた。
「先を急ごう。施設はもっと奥だ」
「ええ」

 この先、立ちはだかってきたロボット達はクリーチャーのようなものではなかった。
 2足歩行だったり、キャスター移動式だったりと、色々なタイプがあったが、ほぼ間違いなく敷島達を攻撃してきた。
 つまり、アリスのことなど知らないわけである。
「やはり、孫娘にも引き渡すつもりは無かったようだな」
 そうして4人は、先ほどの鉄扉よりも更に重厚なドアの前に辿り着いた。

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