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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道師の闇」

2016-12-27 11:03:20 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月25日20:00.天候:雪 長野県北部 マリアの屋敷]

 稲生:「えー、それでは皆さん、宴もたけなわではございますが、まもなく今年のパーティも終了となります。最後に、我らが無二の大師匠、ダンテ先生から講話を賜りたいと存じます。ダンテ先生、よろしくお願いします!」

 司会のノリが既に顕正会の総幹部会風になっていることに気がつかない、元顕正会員の稲生。

 ダンテ:「今年のパーティも大変に盛り上がりました。新弟子の皆さん方は再びそれぞれの師匠の元で修行を再開することになるけれども、けしておろそかにしてはなりません。そこで、その新弟子を迎えている組の師匠達に申し上げたいことがある。というのは、師匠というのは弟子を教導するのが役目である。無論、新弟子の自主性を尊重するという方針に異議並びに疑義を挟むつもりは無いけれども、もっとマシな指導をするように。それと……」
 イリーナ:「うーむ……何かすっかり信用されとらんなぁ……」
 ポーリン:「オマエのせいだろ」
 イリーナ:「いやいやいや、昨晩姉さんの弟子が暴走したことに先生はお怒りなのよ」
 ポーリン:「普段の態度が悪いのはオマエの方だろう!」
 ダンテ:「……ウォッホン!!」
 イリーナ:「あ……」
 ポーリン:「あ……」
 ダンテ:「……であるからして、特に私が注意申し上げたいのは……」
 アナスタシア:(おもしろ師匠姉妹が約2名……w)

 15分ほどダンテの話が続いた。

 ダンテ:「……そういうわけであるから、今後ともより一層、精進して頂きたいものであります。それでは」
 稲生:「ありがとうございました。特別顧問のミシェル先生は……」
 ミシェル:「…………」(無言で両手でバツ印を作る)
 稲生:「それでは只今を持ちまして、第383回クリスマス・パーティを終了致します。ご苦労様でした!」

 だから何故にノリが顕正会の総幹部会……。

[同日21:00.天候:曇 マリアの屋敷]

 稲生:「お、雪やんだ」

 稲生達は最後の来客を送り出して屋敷に戻った。
 パーティ会場はメイド人形達が大急ぎで片付けを行っている。

 稲生:「長野の冬は寒いですねぇ……」
 マリア:「スコットランドの冬ほどじゃないさ。それよりパーティの司会、とても良かったよ」
 稲生:「ありがとうございます」
 マリア:「この分だと、また来年もやらされるな」
 稲生:「はは、僕で良ければ……」
 マリア:「来年は『未成年の飲酒は厳禁とす』という規則が作られそうだ」
 稲生:「フランスの法律では、何歳から飲酒OKでしたっけねぇ……。日本と違って、だいぶ低年齢でOKだったような……」
 マリア:「いやいや、ここは日本なんだから、日本の法律に従えって」
 稲生:「それもそうですね」
 イリーナ:「稲生君、マリア、ご苦労さま」
 稲生:「あっ、先生」
 イリーナ:「あとの片づけは人形達がやってくれるから、もう休んでいいよ」
 稲生:「ありがとうございます」
 イリーナ:「稲生君、年末年始の帰省はいつからだったっけ?」
 稲生:「はい。29日から4日までです」
 イリーナ:「そう。もう少し、ゆっくりしてきてもいいんだよ」
 稲生:「えっ?でも、もう往復の乗車券は買っちゃいましたし……」

 因みにマリアの分もある。

 稲生:「先生も御一緒して頂けると、両親も大喜びなんですけどね」
 イリーナ:「この歳になると、もう年末年始で浮かれることも無いんだよ。ま、年寄りはここで留守番してるさ。行こうと思えば魔界にも行けるし、ま、私のことは気にせずに行っといで」

 イリーナは目を細めて言った。

[同日23:00.天候:曇 マリアの屋敷]

 稲生は久しぶりに湯船に浸かった。
 パーティの最中はゆっくりできず、自室に備え付けのシャワーだけだった。
 そこから上がると、外でダニエラが待ち構えていた。

 稲生:「あれ?どうしたの?」
 ダニエラ:「…………」

 ダニエラは手に小さな水晶球を持っていた。

 稲生:「えっ?大食堂のテーブルの下に落ちていたの?……誰かの忘れ物かな?分かったよ。僕が届けてくる」

 稲生は水晶球を受け取ると、西側のイリーナとマリアの居住区に向かった。

 稲生:「あー、でも、先生達寝ちゃったかなぁ……」

 そう思いつつ、西側1階のリビングルームに行く。

 稲生:(あっ、先生いた)

 意外なことに、部屋の中からイリーナの声が聞こえた。
 いつも寝ているイメージのイリーナだが、夜遅くまで起きているのだろうか?
 いつもなら気軽に入って行く稲生だが、この時ばかりは何故か入ってはいけないような気がした。
 しょうがないので、イリーナが何を喋っているのか聞いてみることにした。
 イリーナは誰かと電話しているかのような喋り方をしていた。

 イリーナ:「お前は知り過ぎた……!」

 威圧感のある声だった。

 イリーナ:「知らずにいればいいものを、なぜ調べて回るのだ……!」

 そしてイリーナは千枚通しというか、アイスピックのようなものを水晶球に突き刺した。
 それがズブズブと水晶球の中に入って行く。

 イリーナ:「七不思議を全て知った者には死を!それが昔からの理(ことわり)!」

 そしてイリーナは満足そうな、サディスティックな笑みを浮かべた。

 イリーナ:「呪い針を打ち込んだ。脳にまで食い込み、絶対に外れることの無い魔法の針だ……!」

 イリーナは冷たく笑う。

 イリーナ:「何故だって?……言ったはず。お前は知り過ぎた。だから、生かしておくわけにはいかぬ……!」
 稲生:(な、何かヤバい!)

 稲生が慌ててこの場を離れようとした時だった。

 イリーナ:「……ユウタ君、何も逃げなくてもいいのよ。あなたは、こっち側の者なんだから」
 稲生:「えっ……!?」
 イリーナ:「こっちへいらっしゃい」

 稲生は部屋の中に入った。

 イリーナ:「で、何の用でここに来たの?」
 稲生:「あ、あの……ダニエラさんがこれを食堂で拾いまして……」
 イリーナ:「ああ。誰かの忘れ物ね。後で捜しておくわ。預かるよ」
 稲生:「すいません」
 イリーナ:「さっきのことなんだけどね……。まあ、こんな活動してると、色々とあるわけよ。魔法の秘密を探ろうだとか、まあ、色々。中には一般人に知られるとマズいものもあるから、口封じをすることもある」
 稲生:「そんな……!」
 イリーナ:「まあ、普通に生活してる分には何も無いから。偶然知ってしまうなんて、そんなこと……。故意に調べて回ったりしているヤツだね。もちろん、稲生君は見習とはいえ魔道師なんだから、むしろどんどん知っていいのよ?知識は悪じゃない」
 稲生:「はあ……」
 イリーナ:「そういうわけだから、今夜はもうお休みなさいな」
 稲生:「はい……」

 これ以上何か言うと、自分まで何かされると感じた稲生は素直に引き下がるしか無いと思った。
 それを見送ったイリーナは、魔道書を見た。

 イリーナ:(素質のある者には2つのパターンがある……か。1つは魔道師の存在に気づいてその秘密を探ろうとする者。もう1つはそうする前に、グランドマスターに発見されて弟子入りされる者……。稲生君は後者、か……)
 

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