[9月13日11:30.天候:曇 栃木県日光市 東京中央学園栃木合宿所]
稲生:「いえ、やはりこのまま調査を続けましょう」
マリア:「そうするか」
稲生:「何か、このまま引き返したら引き返したらで危険な気がするんです」
というわけで稲生達は、合宿所に向かった。
駅前からタクシーに乗り、合宿所へ向かう。
合宿所は公道のバス停から、更に登った所にある。
タクシーならその道をスイスイ登って行けるというわけだ。
運転手:「こんな時期に合宿なんてありましたかね?」
稲生:「あー、いえいえ。僕、OBなんです。観光に来たついでに、ちょっと合宿所を見て行こうかと思いましてね」
運転手:「そうでしたか」
タクシーは門の前で止まった。
もちろん運転手の言う通り、こんな時期に合宿など行われているはずも無く、門は固く閉ざされていた。
運転手:「お戻りになるまで、待ちましょうか?」
稲生:「いえ。しばらくゆっくりしていくつもりなので、それは結構です」
ちゃっちゃっと終わらせられた場合、その選択肢は誤りということになるのだが……。
運転手:「それなら、領収証を。ここのお電話番号に掛けて頂ければ、お迎えに上がりますので」
稲生:「ああ、どうもすいません」
稲生達はタクシーを降りた。
稲生:「案の定、門が閉まってますね。せめて、大学生がサークル活動でもやっててくれないかなって思ったんですけど……」
マリア:「大学も普通に講義のある日だろう?任せてくれ」
マリアは裏門に回ると、そこの通用口に杖を当てた。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!……ア・ヴァ・カ・ムゥ!」
杖の先がポウッと光ると、通用口の鍵が開いた。
稲生:「さすがマリアさん」
マリア:「これだけ固く閉ざされていれば、中に誰もいないということでいいか?」
稲生:「そのはずですよ」
それでもなるべく物音を立てずに入口に進む。
マリア:「それにしても、この建物も結構古いな」
稲生:「元々はどこかの小学校だか中学校の分校だった所らしいんですよ。それが廃校になったのを東京中央学園が買い取って、合宿所として改築したものだそうです」
マリア:「なるほど。上野の校舎ほどじゃないけど、ここもそれなりに霊気が漂っている」
稲生:「やはりそうですか」
マリア:「もっとも、魔界の入口にあるってわけじゃないから、別に害のある悪霊や魔族がいるってわけじゃなさそうだな」
稲生:「それは良かったです。でも『3時の魔道師』は、何でこんな所に出入りしてるんですかね?」
マリア:「それをこれから調べるんだろう?」
稲生:「そうでした」
2人が合宿所の正面玄関に回った時だった。
マリア:「こ、これは……!」
まるで正面玄関を塞ぐように、魔法陣が描かれていた。
これは、あれだ。
魔法陣の中に入って聖水を振り掛け、どこかへ移動するタイプのものだ。
大抵、それは魔界へ行くものなのだが……。
稲生:「魔法陣がどうしてここに!?」
マリア:「『3時の魔道師』が実在する確率は、これでほぼ100%になったみたいだな」
稲生:「この魔法陣で、それは出入りしているということですね?」
マリア:「恐らく」
稲生:「行ってみましょう。幸い、聖水ならあります」
稲生は自分のローブの中から聖水の入った瓶を取り出した。
マリア:「魔法陣の中に入ったら、もう後戻りはできないぞ。準備はいいか?」
稲生:「はい!」
稲生とマリアはローブを着込み、杖を手にした。
そして魔法陣の中に入ると、聖水を振り掛けた。
案の定、そこから紫色の光が浮かび上がり、稲生達を包み込んだ。
[同日19:00.天候:曇 同合宿所]
稲生:「着いた!……って、ここは?」
辺りは真っ暗だった。
マリアは水晶球を取り出し、位置情報を確認した。
マリア:「あれ?全然変わって無いぞ」
稲生:「ええっ!?でも、真っ暗ですよ?」
マリア:「いや、やっぱり同じ場所だ。ほら……」
マリアは背後を指さした。
稲生:「あれ!?」
そこには合宿所があった。
そして、正面玄関も……。
マリア:「時間だけ移動したらしい」
稲生:「な、何で!?」
マリア:「分からないが、恐らく罠かもしれないな。その証拠に、あれを」
稲生:「!」
マリアが指さすと、正面玄関のドアが半開きになっていた。
マリア:「『3時の魔道師』が、私達に入って来いって言ってる」
稲生:「上等でしょう。僕には後輩2人を殺された恨みがあるんですから」
マリア:「あまり無茶はするなよ。まだ相手の正体が分かってない」
稲生:「分かってます」
2人は正面玄関から合宿所の中に入った。
稲生:「!」
マリア:「うっ……!」
そしてやはり案の定、玄関のドアが自動で閉まり、鍵が掛けられた。
マリア:「さ、どういう歓迎の準備して待っているか……」
中は当然ながら暗く、非常口誘導灯や消火栓の赤ランプくらいしか点灯していない。
マリア:「ユウタ。『3時の魔道師』を呼び出す方法とか聞いてない?」
稲生:「はい。その為の時計がこの合宿所のどこかにあって、その時計を3時に合わせると現れるとのことです」
マリア:「その時計の場所は?」
稲生:「そこまでは聞いてません。荒田君も知らないそうで……」
マリア:「この程度の秘密なら、何も殺すまでも無さそうだな。恐らく、その時計の秘密まで知ってしまったので殺されたんだと思う」
稲生:「そんな……」
マリア:「時計の特徴は?」
稲生:「それもちょっと……」
マリア:「だけど普通の人間が魔道師を呼び出せるくらいだから、それなりの魔力は帯びていそうだ」
マリアはローブの中からミク人形とハク人形を出した。
マリア:「この建物のどこかに、魔力を帯びた時計があるはずだ。それを探して」
ミク人形:「了解!」
ハク人形:「了解!」
稲生:「なるほど。その手がありましたか」
マリア:「上野高校ほどではないが、元学校ということもあって、結構広い建物だ。闇雲に探しても、時間の無駄だろう。なら、そういう時にこそ使い魔を使う」
稲生:「なるほど」
???:「そんなまだるっこしいことしなくても大丈夫ですよ……」
稲生:「わっ!?」
マリア:「誰だ!?」
いつの間にか2人の背後に回っていた者がいた。
それは人間ではない。
一体、誰だろう?
1:3時の魔道師
2:荒田譲治(情報提供者)の幽霊
3:菅原浩太(新聞部部長)の幽霊
4:想像もつかない
(※バッドエンドが1つだけあります)
稲生:「いえ、やはりこのまま調査を続けましょう」
マリア:「そうするか」
稲生:「何か、このまま引き返したら引き返したらで危険な気がするんです」
というわけで稲生達は、合宿所に向かった。
駅前からタクシーに乗り、合宿所へ向かう。
合宿所は公道のバス停から、更に登った所にある。
タクシーならその道をスイスイ登って行けるというわけだ。
運転手:「こんな時期に合宿なんてありましたかね?」
稲生:「あー、いえいえ。僕、OBなんです。観光に来たついでに、ちょっと合宿所を見て行こうかと思いましてね」
運転手:「そうでしたか」
タクシーは門の前で止まった。
もちろん運転手の言う通り、こんな時期に合宿など行われているはずも無く、門は固く閉ざされていた。
運転手:「お戻りになるまで、待ちましょうか?」
稲生:「いえ。しばらくゆっくりしていくつもりなので、それは結構です」
ちゃっちゃっと終わらせられた場合、その選択肢は誤りということになるのだが……。
運転手:「それなら、領収証を。ここのお電話番号に掛けて頂ければ、お迎えに上がりますので」
稲生:「ああ、どうもすいません」
稲生達はタクシーを降りた。
稲生:「案の定、門が閉まってますね。せめて、大学生がサークル活動でもやっててくれないかなって思ったんですけど……」
マリア:「大学も普通に講義のある日だろう?任せてくれ」
マリアは裏門に回ると、そこの通用口に杖を当てた。
マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!……ア・ヴァ・カ・ムゥ!」
杖の先がポウッと光ると、通用口の鍵が開いた。
稲生:「さすがマリアさん」
マリア:「これだけ固く閉ざされていれば、中に誰もいないということでいいか?」
稲生:「そのはずですよ」
それでもなるべく物音を立てずに入口に進む。
マリア:「それにしても、この建物も結構古いな」
稲生:「元々はどこかの小学校だか中学校の分校だった所らしいんですよ。それが廃校になったのを東京中央学園が買い取って、合宿所として改築したものだそうです」
マリア:「なるほど。上野の校舎ほどじゃないけど、ここもそれなりに霊気が漂っている」
稲生:「やはりそうですか」
マリア:「もっとも、魔界の入口にあるってわけじゃないから、別に害のある悪霊や魔族がいるってわけじゃなさそうだな」
稲生:「それは良かったです。でも『3時の魔道師』は、何でこんな所に出入りしてるんですかね?」
マリア:「それをこれから調べるんだろう?」
稲生:「そうでした」
2人が合宿所の正面玄関に回った時だった。
マリア:「こ、これは……!」
まるで正面玄関を塞ぐように、魔法陣が描かれていた。
これは、あれだ。
魔法陣の中に入って聖水を振り掛け、どこかへ移動するタイプのものだ。
大抵、それは魔界へ行くものなのだが……。
稲生:「魔法陣がどうしてここに!?」
マリア:「『3時の魔道師』が実在する確率は、これでほぼ100%になったみたいだな」
稲生:「この魔法陣で、それは出入りしているということですね?」
マリア:「恐らく」
稲生:「行ってみましょう。幸い、聖水ならあります」
稲生は自分のローブの中から聖水の入った瓶を取り出した。
マリア:「魔法陣の中に入ったら、もう後戻りはできないぞ。準備はいいか?」
稲生:「はい!」
稲生とマリアはローブを着込み、杖を手にした。
そして魔法陣の中に入ると、聖水を振り掛けた。
案の定、そこから紫色の光が浮かび上がり、稲生達を包み込んだ。
[同日19:00.天候:曇 同合宿所]
稲生:「着いた!……って、ここは?」
辺りは真っ暗だった。
マリアは水晶球を取り出し、位置情報を確認した。
マリア:「あれ?全然変わって無いぞ」
稲生:「ええっ!?でも、真っ暗ですよ?」
マリア:「いや、やっぱり同じ場所だ。ほら……」
マリアは背後を指さした。
稲生:「あれ!?」
そこには合宿所があった。
そして、正面玄関も……。
マリア:「時間だけ移動したらしい」
稲生:「な、何で!?」
マリア:「分からないが、恐らく罠かもしれないな。その証拠に、あれを」
稲生:「!」
マリアが指さすと、正面玄関のドアが半開きになっていた。
マリア:「『3時の魔道師』が、私達に入って来いって言ってる」
稲生:「上等でしょう。僕には後輩2人を殺された恨みがあるんですから」
マリア:「あまり無茶はするなよ。まだ相手の正体が分かってない」
稲生:「分かってます」
2人は正面玄関から合宿所の中に入った。
稲生:「!」
マリア:「うっ……!」
そしてやはり案の定、玄関のドアが自動で閉まり、鍵が掛けられた。
マリア:「さ、どういう歓迎の準備して待っているか……」
中は当然ながら暗く、非常口誘導灯や消火栓の赤ランプくらいしか点灯していない。
マリア:「ユウタ。『3時の魔道師』を呼び出す方法とか聞いてない?」
稲生:「はい。その為の時計がこの合宿所のどこかにあって、その時計を3時に合わせると現れるとのことです」
マリア:「その時計の場所は?」
稲生:「そこまでは聞いてません。荒田君も知らないそうで……」
マリア:「この程度の秘密なら、何も殺すまでも無さそうだな。恐らく、その時計の秘密まで知ってしまったので殺されたんだと思う」
稲生:「そんな……」
マリア:「時計の特徴は?」
稲生:「それもちょっと……」
マリア:「だけど普通の人間が魔道師を呼び出せるくらいだから、それなりの魔力は帯びていそうだ」
マリアはローブの中からミク人形とハク人形を出した。
マリア:「この建物のどこかに、魔力を帯びた時計があるはずだ。それを探して」
ミク人形:「了解!」
ハク人形:「了解!」
稲生:「なるほど。その手がありましたか」
マリア:「上野高校ほどではないが、元学校ということもあって、結構広い建物だ。闇雲に探しても、時間の無駄だろう。なら、そういう時にこそ使い魔を使う」
稲生:「なるほど」
???:「そんなまだるっこしいことしなくても大丈夫ですよ……」
稲生:「わっ!?」
マリア:「誰だ!?」
いつの間にか2人の背後に回っていた者がいた。
それは人間ではない。
一体、誰だろう?
1:3時の魔道師
2:荒田譲治(情報提供者)の幽霊
3:菅原浩太(新聞部部長)の幽霊
4:想像もつかない
(※バッドエンドが1つだけあります)
華の湯や足柄サービスエリアの宿泊施設等を運営する株式会社時之栖は、大石寺近くにもホテルを運営している。
恐らく知っている人は知っていると思うが、そのホテルのパンフレットを華の湯でも手に入れることができる。
そのパンフレットの観光案内に、大石寺が真っ先に一番大きく取り上げられているのが印象的だった。
説明文は中立的なものなのだが、大石寺が大きく取り上げられてるなんて、つい時之栖関係者に宗門の回し者がいるのかと思ったよ。