報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 「北海道決戦終了」

2017-06-26 12:30:04 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月6日21:00.天候:曇 北海道札幌市&オホーツク総合振興局東部]

 NHKキャスター:「……何度もお伝えしておりますように、今日午後6時頃、北海道札幌市内において、特殊作業用ロボットのほぼ全てが暴走するという事件がありました。現在はほぼ鎮静化しているということですが、鎮静化と同時に北海道オホーツク総合振興局東部付近において、原因不明の大爆発が起きたという事件が発生しており、地元当局では……」

 NHKリポーターA:「はい、こちら札幌市の繁華街ススキノ付近です!ご覧頂けますでしょうか?道路上に散乱する部品、これは爆発した暴走ロボットの残骸です。現場付近は今も尚、立ち入りが禁止されており、被害については……」

 NHKリポーターB:「はい、えー、こちらが謎の大爆発をしたとされる現場付近です。こちらにはかつて広大な森林が広がっていたのですが、最近では別荘地として開発され、大きな洋館が建っていた場所です。しかしご覧のように、今は木々は爆風によって凪ぎ払われたり、或いは今も炎上している状態です。森林の中央部に建っていたとされる別荘の様子はここからでは確認することはできませんが、恐らく状況的にはかなり絶望的なものであると思われます。以上、現場から中継でお伝えしました」

 DSSパイロット:「鳥柴主任!これ以上は近づけません!森林火災が酷くて……!」

 ヘリコプターでKR団のアジトがあった洋館へ接近したDCJのメンバー達。
 DSSとはデイライト・セキュリティ・サービスの略で、デイライト・コーポレーショングループ直営の警備会社のことである。
 本場アメリカでは単なる警備業務だけではなく、シークレットサービスや警察のスワット隊のような仕事も行っている。
 日本では国内の警備業法に基づいて、本当に単なる警備業務しかやっていない……のは表向きで、こうやってDCJ所有のヘリの操縦まで行っている。
 因みに研究所や工場内のセキュリティロボットの操作、監視もDSSで行っている。

 アリス:「何とかタカオ達を助け出すのよ!」
 鳥柴:「ですがアリスさん!こっちまで危険な状態なんです!ここはせめて火災が鎮火してからでも遅くは無いと思います!」
 アリス:「Shit!まさかこんなことになるなんて……!」

 札幌市内ではどうかというと……。

 井辺:「本当に助かりました。ご協力ありがとうございます」

 井辺は地元のケーブルテレビ局の担当者に礼を言った。
 井辺と初音ミク以外のボーカロイド達は、ケーブルテレビ局にいた。
 ボーカロイドが送る歌に電気信号を込め、これで暴走中のバージョン4.0を一気に全機止めるという作戦の為だ。
 キー局などからは断られたが、たまたま巡音ルカの歌を放送していたケーブルテレビ局が番組を中断してでもその話に乗ってくれたのだった。
 もっとも、外は番組を中断しなければならないほどの状態ではあったのだが。

 担当者:「いや、まさか、本当に効果があるなんてねぇ!」

 ここのケーブルテレビ局はインターネット接続事業もやっていて、ボーカロイドの歌をケーブルテレビだけでなく、インターネットでも配信したのだが、それが更なる効果を生んだらしい。
 東京決戦の時はラジオ局に支援を依頼して、ラジオの電波に乗せて発信したのだが、今回はケーブルテレビとインターネット配信である。
 ネット接続も行っているバージョン・シリーズのこと、それに乗って流れて来たボーカロイドの『緊急停止依頼』はよく効いたものと思われる。

 担当者:「是非是非、この事を当社のCMに使わせてください!」
 井辺:「ええ、どうぞ。ご自由にお使いください。協力して頂いた御礼です」

 バージョン・シリーズの信用は著しく下がったが、ボーカロイドの方は著しく上昇したと言えるか。

 で、その頃、シンディは……。

 シンディ:「オラッ!さっさとトラックに乗り込め!モタモタすんな!」

 アリスに緊急に造ってもらった電気鞭を振るいながら、生き残ったバージョン4.0軍団を警察のトラックに乗せていた。
 ボーカロイド達からの電気信号を受け、更には最上位機種のシンディを目の前にして、既に攻撃力を失った武装ロボットはすごすごと従わざるを得なかった。

 シンディ:「これで全部でございます」
 警察官A:「よーし、出発!」
 警察官B:「あんたも来てくれ。また暴れ出されたら困る」
 シンディ:「分かりました」

 シンディもトラックの荷台に乗り込んだ。
 シンディに破壊されたり、自爆した個体の残骸がまだ残っている中、警察のトラックが出発した。

[同日同時刻 天候:曇 北海道オホーツク総合振興局東部 廃洋館]

 エミリー:「こ……壊れて……たまるか……!」

 エミリーは土の中から這い出た。
 左手には頭部だけとなったマザーの生首を手にしている。
 大事な証拠品だ。
 バージョン1000に乗ったマザーとその取り巻きたるバージョン4.0と戦っている間、壁を破壊したら、その中からゴロゴロと何かが飛び出て来た。
 それが不発弾だったことは、爆発してから気づいた。
 銃弾には強いマルチタイプだが、爆弾ともなるとなかなかそう簡単には……。
 特に今回の不発弾は、1発や2発だけではなかったようだ。
 バージョン1000や周辺の4.0はその爆発で破壊され、必然的にそこに乗っていたマザーも大ダメージを受けることになった。

 エミリー:「この事を……伝えないと……!」

 エミリーは這いずって、とにかく人の気配のする方に向かって行った。

 NHKリポーター:「速報です!現場から数名が救助されたもようです!1人は東北工科大学教授の平賀太一さんと思われます!」

 平賀はDSSアメリカの隊員達によって外に連れ出されていた為、大きなケガはせずに済んだようだ。
 だが、不発弾の爆発による爆風で乗せられていたトラックが横転した為、そのケガだった。
 で、本来ならここから平賀を連れ出すはずの隊員達だったが、警察により、銃火器の不正持ち込み、使用がバレてしまった。

 アリス:「ガンサバイバーごっこはアメリカでやれ!このクソ野郎ども!!」
 DSSアメリカ:「くそ……!お前達の為にやってたんだぞ……!」
 アリス:「大きなお世話だ、この野郎!」

 警察官同伴で病院に連行されるDSSアメリカ隊員達に怒鳴りつけるアリス。

 鳥柴:「平賀教授!大丈夫ですか!?」
 平賀:「あてててて……。エラい目に遭った……。自分以外に、敷島さんは?」
 鳥柴:「あいにくまだ発見されてません」
 平賀:「参ったな……」
 鳥柴:「アリスさん、取りあえず私は平賀教授に付き添います」
 アリス:「了解。私も早くダンナを見つけて合流するわ」

 アリスはそう言ったが、さすがに現場の状況を見て泣き出したくなった。

 アリス:「『不死身の敷島』の底力見せなさいよ……」

 その時、アリスの手持ちの端末に何か反応があった。

 アリス:「これは……!?」

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