[5月6日22:00.天候:曇 北海道オホーツク総合振興局東部 廃洋館跡]
ズ……ズズ……と何かが這い寄って来る音がする。
アリス:「誰!?」
まさかまだ生き残っているテロロボット?
井辺からの報告で、ボーカロイド達が緊急停止を勧告する歌を発信したことで、殆ど全てのバージョン4.0達が稼働を停止したり、戦意を喪失したりしたと聞くが……。
端末を見ると、『解析中』になっていた。
それが一瞬だけでも、『Emily』と表示されたのを見てアリスはホッとした。
アリス:「エミリー?エミリーなの?」
エミリー:「アリス……博士……」
エミリーは酷く損傷していた。
辛うじて両手はあったものの、両足はどちらも折れて配線が剥き出しになっており、赤黒いオイルが流れ出している。
左目も無くなっており、そこから配線がショートして火花が飛び散っていた。
アリス:「ちょっと、エミリー!大丈夫なの!?」
エミリー:「報告……します。これが……マルチタイプ……試作機……です。頭部のみ……確保……です。頭部から下は……爆発に……巻き込まれて……」
アリス:「分かったわ。頭部が無事なら、メモリーを解析できる。……タカオは?」
エミリー:「申し訳……ありません……。社長は……」
エミリーは敷島とは離れ離れになってしまって、安否は不明と報告したかったのだが、ついにエミリーも『多大な損傷による安全装置』が働いてしまった。
それで、緊急にシャットダウンしてしまったのである。
アリス:「タカオ……」
[5月7日05:23.天候:晴 同場所地下]
敷島:「う……」
敷島が目を覚ました時、そこは真っ暗な闇の中だった。
焦げ臭さが鼻を突き、おまけに油の臭いもする。
敷島:(最後に爆音みたいな音が聞こえたが、一体何があったってんだ……?)
体を動かそうとしたが、激痛が走って動かせない。
どうやら、あっちこっち体を痛めたらしい。
敷島:(死は免れたみたいだが……これじゃ、死んでるのと変わらんな……。いや、まさかここが死の世界とかってんじゃないだろうな?)
敷島は何とか声を上げる。
敷島:「……おい、誰か……?いないのか……?」
左手は全く動かなかったが、右手は何とか動かすことができた。
そして、何か金属のようなものに触れた。
???:「再起動シマス……」
敷島:「あ?」
何かロボットのような声がした。
どうも、バージョン4.0のような声に似ているが……。
???:「ゴ命令ヲ、オ申シ付ケクダサイ」
敷島:「ああ、そうかい。じゃ、外に向かって助けを呼んでくれ。多分これ……生き埋めになってるってオチだろ?もしお前が俺の為に動いてくれるってんなら……外に向かって助けを呼んでくれ」
???:「カシコマリマシタ」
[同日5月7日06:30.天候:晴 同場所・廃洋館跡]
NHKリポーター:「はい、こちら現場です。今、私は大爆発を起こした別荘の跡地に来ています。今も尚、焦げ臭い臭いが立ち込めており、今も行方不明者の捜索が行われています。行方不明となっているのは、埼玉県さいたま市大宮区の敷島孝夫さんで……」
現場にシンディが投入された。
シンディは神妙な顔で言った。
シンディ:「社長のデータは全て把握しています。私のスキャナーで、必ずや発見してみせましょう」
アリス:「お願いよ……」
シンディ:「はい。お任せください。私の存在価値を見出してくれた御方を、このまま行方不明にするわけには参りません」
シンディは焼け落ちた廃洋館の跡地に入り込んだ。
シンディ:「バージョン共の残骸ばかりが転がっています」
アリスはシンディの目(カメラ)から送られてくるシンディ視点の画像を端末を通して見ている。
アリス:「気をつけて。もしかしたら、まだ不発弾が残ってるかもしれない」
エミリーの情報で、この大爆発の原因は不発弾が何発も爆発したからだというのが判明した。
尚、持ち込んだのはKR団で、アジトの証拠隠滅の為に仕掛けていたということである(って、ショッカーかよ!)。
DSSアメリカの日本派遣隊は見事に偽情報に踊らされて平賀を捕らえてしまうという失態をしでかしていたが(更には銃火器の不正持ち込み、不正使用も日本の警察にバレた。はい、タイーホ)、大爆発の原因と不発弾の件については彼らが突き止めていたという功績はあった。
KR団の残党であった元幹部がアメリカに国外逃亡し、アメリカに再び新KR団を作ろうと画策していたということである。
で、逮捕して取り調べした結果がこの事件であった。
シンディ:「了解です」
と、そこへ1台の車がやってきた。
鳥柴を含むDCJ関係者である。
アリス:「鳥柴主任!平賀教授に付いていなくていいの?」
鳥柴:「はい。平賀教授にあってはケガが軽微なので、今日中に退院できるとのことです。で、奥様の平賀奈津子様がお迎えに来られるそうですので」
アリス:「なるほど。変な誤解されたくないもんね」
鳥柴:「ええ。警察には平賀教授とDSSアメリカは関係無いことも証言しておきましたので」
アリス:「アメリカでの活躍は分かったけど、日本に来ることは余計だったわね」
鳥柴:「逮捕した元KR団幹部の証言をそのまま鵜呑みにしたところは失敗でしたね。あくまでもシークレットサービスなんですから、その先は警察に任せればいいんです」
もっとも、アメリカでは民間の警備会社であっても、銃火器の装備はできるし、警察のような捜査権を持つこともできるという。
だが、捜査能力は公的機関としての警察に比べれば弱かったようだ。
鳥柴:「敷島社長は?」
アリス:「今、シンディに捜させてるわ。マルチタイプの能力を、ここは信じるしかない」
鳥柴:「そうですね。エミリーは現在、DCJ札幌支社の工場に保管しています」
アリス:「東京に移送するの?」
鳥柴:「いえ、あくまでもエミリーは平賀教授がオーナーですので、東北工科大学に移送して、そこで修理を行うとのことです」
アリス:「なるほど」
ボーカロイドが損傷した場合、商業的価値の観点からDCJが率先して修理をするが、マルチタイプの場合は学術的価値の観点から、工業系の研究機関が修理を行う。
シンディ:(あそこの一角……バージョン4.0がやたら固まってるみたいだけど……。まあ、いいか。あとは……)
シンディは次の場所へ行くべく、足を進めた。
が……。
シンディ:「!?」
ある反応が彼女のセンサーに掛かった。
それは……。
①敷島孝夫
➁初音ミク
③バージョン4.0-1333機
④KR団員
ズ……ズズ……と何かが這い寄って来る音がする。
アリス:「誰!?」
まさかまだ生き残っているテロロボット?
井辺からの報告で、ボーカロイド達が緊急停止を勧告する歌を発信したことで、殆ど全てのバージョン4.0達が稼働を停止したり、戦意を喪失したりしたと聞くが……。
端末を見ると、『解析中』になっていた。
それが一瞬だけでも、『Emily』と表示されたのを見てアリスはホッとした。
アリス:「エミリー?エミリーなの?」
エミリー:「アリス……博士……」
エミリーは酷く損傷していた。
辛うじて両手はあったものの、両足はどちらも折れて配線が剥き出しになっており、赤黒いオイルが流れ出している。
左目も無くなっており、そこから配線がショートして火花が飛び散っていた。
アリス:「ちょっと、エミリー!大丈夫なの!?」
エミリー:「報告……します。これが……マルチタイプ……試作機……です。頭部のみ……確保……です。頭部から下は……爆発に……巻き込まれて……」
アリス:「分かったわ。頭部が無事なら、メモリーを解析できる。……タカオは?」
エミリー:「申し訳……ありません……。社長は……」
エミリーは敷島とは離れ離れになってしまって、安否は不明と報告したかったのだが、ついにエミリーも『多大な損傷による安全装置』が働いてしまった。
それで、緊急にシャットダウンしてしまったのである。
アリス:「タカオ……」
[5月7日05:23.天候:晴 同場所地下]
敷島:「う……」
敷島が目を覚ました時、そこは真っ暗な闇の中だった。
焦げ臭さが鼻を突き、おまけに油の臭いもする。
敷島:(最後に爆音みたいな音が聞こえたが、一体何があったってんだ……?)
体を動かそうとしたが、激痛が走って動かせない。
どうやら、あっちこっち体を痛めたらしい。
敷島:(死は免れたみたいだが……これじゃ、死んでるのと変わらんな……。いや、まさかここが死の世界とかってんじゃないだろうな?)
敷島は何とか声を上げる。
敷島:「……おい、誰か……?いないのか……?」
左手は全く動かなかったが、右手は何とか動かすことができた。
そして、何か金属のようなものに触れた。
???:「再起動シマス……」
敷島:「あ?」
何かロボットのような声がした。
どうも、バージョン4.0のような声に似ているが……。
???:「ゴ命令ヲ、オ申シ付ケクダサイ」
敷島:「ああ、そうかい。じゃ、外に向かって助けを呼んでくれ。多分これ……生き埋めになってるってオチだろ?もしお前が俺の為に動いてくれるってんなら……外に向かって助けを呼んでくれ」
???:「カシコマリマシタ」
[同日5月7日06:30.天候:晴 同場所・廃洋館跡]
NHKリポーター:「はい、こちら現場です。今、私は大爆発を起こした別荘の跡地に来ています。今も尚、焦げ臭い臭いが立ち込めており、今も行方不明者の捜索が行われています。行方不明となっているのは、埼玉県さいたま市大宮区の敷島孝夫さんで……」
現場にシンディが投入された。
シンディは神妙な顔で言った。
シンディ:「社長のデータは全て把握しています。私のスキャナーで、必ずや発見してみせましょう」
アリス:「お願いよ……」
シンディ:「はい。お任せください。私の存在価値を見出してくれた御方を、このまま行方不明にするわけには参りません」
シンディは焼け落ちた廃洋館の跡地に入り込んだ。
シンディ:「バージョン共の残骸ばかりが転がっています」
アリスはシンディの目(カメラ)から送られてくるシンディ視点の画像を端末を通して見ている。
アリス:「気をつけて。もしかしたら、まだ不発弾が残ってるかもしれない」
エミリーの情報で、この大爆発の原因は不発弾が何発も爆発したからだというのが判明した。
尚、持ち込んだのはKR団で、アジトの証拠隠滅の為に仕掛けていたということである(って、ショッカーかよ!)。
DSSアメリカの日本派遣隊は見事に偽情報に踊らされて平賀を捕らえてしまうという失態をしでかしていたが(更には銃火器の不正持ち込み、不正使用も日本の警察にバレた。はい、タイーホ)、大爆発の原因と不発弾の件については彼らが突き止めていたという功績はあった。
KR団の残党であった元幹部がアメリカに国外逃亡し、アメリカに再び新KR団を作ろうと画策していたということである。
で、逮捕して取り調べした結果がこの事件であった。
シンディ:「了解です」
と、そこへ1台の車がやってきた。
鳥柴を含むDCJ関係者である。
アリス:「鳥柴主任!平賀教授に付いていなくていいの?」
鳥柴:「はい。平賀教授にあってはケガが軽微なので、今日中に退院できるとのことです。で、奥様の平賀奈津子様がお迎えに来られるそうですので」
アリス:「なるほど。変な誤解されたくないもんね」
鳥柴:「ええ。警察には平賀教授とDSSアメリカは関係無いことも証言しておきましたので」
アリス:「アメリカでの活躍は分かったけど、日本に来ることは余計だったわね」
鳥柴:「逮捕した元KR団幹部の証言をそのまま鵜呑みにしたところは失敗でしたね。あくまでもシークレットサービスなんですから、その先は警察に任せればいいんです」
もっとも、アメリカでは民間の警備会社であっても、銃火器の装備はできるし、警察のような捜査権を持つこともできるという。
だが、捜査能力は公的機関としての警察に比べれば弱かったようだ。
鳥柴:「敷島社長は?」
アリス:「今、シンディに捜させてるわ。マルチタイプの能力を、ここは信じるしかない」
鳥柴:「そうですね。エミリーは現在、DCJ札幌支社の工場に保管しています」
アリス:「東京に移送するの?」
鳥柴:「いえ、あくまでもエミリーは平賀教授がオーナーですので、東北工科大学に移送して、そこで修理を行うとのことです」
アリス:「なるほど」
ボーカロイドが損傷した場合、商業的価値の観点からDCJが率先して修理をするが、マルチタイプの場合は学術的価値の観点から、工業系の研究機関が修理を行う。
シンディ:(あそこの一角……バージョン4.0がやたら固まってるみたいだけど……。まあ、いいか。あとは……)
シンディは次の場所へ行くべく、足を進めた。
が……。
シンディ:「!?」
ある反応が彼女のセンサーに掛かった。
それは……。
①敷島孝夫
➁初音ミク
③バージョン4.0-1333機
④KR団員
おれ的には一番面白い展開かな?
でも、もうそろそろバッドエンドを引きそうな予感が・・・
早速の回答、ありがとうございます。
今回の選択肢はバッドエンドは無いので、ご安心ください。
それで行きましょう。