[3月16日11:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル]
エレーナ:「誰がコミックリリーフだ!」
あんただよ。
オーナー:「どうしたんだい?急に大声で」
エレーナ:「あっ、すいません!魔法のことで……」
オーナー:「まあいいや。今日のチェックアウト業務終わりだね。お疲れさん。もう上がっていいよ」
エレーナ:「はい、お疲れさまでした」
エレーナは都内の廉価なビジネスホテルで、住み込みで働いている。
大きな町の小さな店に住み込みで働きながら魔法の修行をする。
これは女魔法使いの基本中の基本である。
エレーナ:「いや、とあるアニメのパクリ設定だから」
クロ:「エレーナ、いちいちナレーションに突っ込まなくてもええニャ?」
因みに使い魔(ファミリア)が黒猫という点もベタな法則。
ここではホテルのマスコットという感じだが。
エレーナ:「うるさいな」
クロ:「一眠りして、配達の仕事かニャ?」
エレーナ:「今日はお届け物は無かったでしょ?今日は明け番だから、ちょっとシャワーだけ浴びて出掛けてくるわ」
クロ:「あいよ」
エレーナは地下1階へ下りた。
表向きは機械室があるだけということになっているのだが、実はエレーナが寝泊まりする部屋も作っている。
もちろん立ち入り禁止なので、普段はエレベーターも地下1階へは行かない設定になっている。
クロ:「それではエレーナがシャワーを使っている間、ちょっと御紹介しますニャ。わっちは黒猫のクロでありんす。冒頭に登場したんは、飼い主のエレーナ・M・マーロン。ウクライナのキエフ出身で……」
エレーナ:「いいから、オマエも体洗え」
クロ:「フニャーッ!?」
エレーナ、クロの首根っこを掴んで一緒にシャワールームに連れ込んだ。
クロ:「何するニャ!?わっちは今、読者の皆様に御紹介を……!」
エレーナ:「いや、誰もクロに興味無ェし」
クロ:「トチロ〜さんは猫好きニャ!また猫増えてるんニャ!」
エレーナ:「いや、だからそういうのいいから。ほら、おとなしく洗われろ」
クロ:「動物虐待ーっ!」
エレーナ:「あーあ……。私もベタ過ぎる黒猫じゃなくて、イリーナ師みたいにドラゴンを使い魔にできたらなぁ……」
クロ:「フニャ!?」
エレーナはシャワーを浴びて着替えると、再び地上に戻った。
エレーナ:「ちょっと出掛けて来ます!」
オーナー:「ああ、行ってらっしゃい」
オーナーは普通の初老の人間だが、魔道師達のことをよく知っており、ダンテ門内でも“協力者”の扱いになっている(軍隊における軍人ではなく、軍属みたいなもの)。
ホテルの外に出る。
エレーナ:「何だか変な空だねぇ……」
クロ:「午後から雨だニャ」
エレーナ:「雨か。まあ、ローブがあれば大丈夫か」
魔道師のローブは防水になっており、レインコートの代わりを十分に果たすことができる。
エレーナは普段から帽子を被っている為。普段はフードを被ることは無い。
エレーナ:「帽子と言っても、とんがり帽子ではないですよ?そこまでベタ過ぎやしませんよ?」
クロ:「ニャから、ナレーションに突っ込むニャって……」
キャサリン:「おや、エレーナ。お出かけかい?」
エレーナ:「キャシー。今日は明けで、そのままオフだから」
キャサリンもダンテ一門の魔道師で、ポーリン組に所属していた。
だからエレーナの先輩に当たるわけだが、エレーナが入門する直前に免許皆伝によって独立した為、今は同門の士というだけの繋がりでしか無い。
弟子を取れるほどの階級にいるが、今はいない。
ホテルに併設されたレストランを経営している。
ポーリン組は魔法薬を開発・製造するジャンルである。
キャサリンはそこで得た知識を駆使し、魔法薬を薬膳として創作料理に使うアイディアを出した。
その実験場として、このレストランがある。
エレーナ:「また飴玉作って、中高生に配布する仕事はしないの?」
キャサリン:「やだねぇ!天丼は2回までだよ」
キャサリンは魔法の力で若い姿を保っているが、実際はエレーナの何倍も長く生きている老魔女である(それでもかつての師匠のポーリンよりも年下である)。
上下関係には厳しい魔女の世界のはずだが、後輩であるエレーナがフレンドリーなのは、キャサリンがそうさせているだけだ。
元の老魔女に戻った時以外は、フレンドリーに接してくれと。
エレーナ:「稲生氏の学校に配った時は、さすがにマズったね。稲生氏の学校で、キャシーの活動が『学校の七不思議』扱いされたもんね」
キャサリン:「怪談話の正体なんて、こんなもんさ。数十年前まではまだ私も血の気が多くてね、さすがに無礼な男の子を痛めつけてやったりもしたけど、まさかそれが稲生君達が追って来ることになろうとはね。稲生君はまだ見習いなのに、もう使い魔を持っているのかい?」
エレーナ:「妖狐の威吹のこと?なーんかねぇ、成り行きでそうなったみたいよ〜?」
キャサリン:「狐……それも妖狐を使い魔にするなんて、とんだ素質のコが入ったものね」
エレーナ:「全く。ウチなんかただの黒猫なのに」
クロ:「フニャ!?」
キャサリン:「ああ、そうそう。エレーナも行くでしょ?魔王城の舞踏会」
エレーナ:「4月1日に行われるアレですね。行きますよ」
キャサリン:「ほぼ間違い無く、イリーナ組も来ると思うわ」
エレーナ:「でしょうねぇ……」
キャサリン:「それじゃ」
エレーナ:「ういっス」
エレーナはキャサリンと別れて、新大橋通り(都道50号線)に出た。
クロ:「キャサリン師に、その舞踏会の為の買い出しに行くことがバレたみたいニャ?」
エレーナ:「別に内緒にするものでもないけど、しっかり見透かされたね。魔法を使った形跡は無いから、ただの年の功か……」
クロ:「或いは、それすらエレーナに気づかせないほどの魔法かニャ?」
エレーナ:「なるほど。いくらマスター(一人前)に認定されたといっても、まだまだあの人達から見ればヒヨっこなんだなぁ……」
エレーナはそう呟いて、都営地下鉄の森下駅に向かった。
エレーナ:「御徒町周辺で全部揃えられるはずだから。アンタはバッグの中に入ってて。日本の地下鉄、動物そのまんまはNGだから」
クロ:「OKニャ」
地下鉄に限らず全部の公共交通機関において、日本では動物は体が一部でも外に出ないよう、キャリーに入れることが義務付けられている。
もちろん、そのキャリーの大きさも最大サイズが決められている。
詳細においては【WEBで確認!】。
エレーナ:「誰がコミックリリーフだ!」
あんただよ。
オーナー:「どうしたんだい?急に大声で」
エレーナ:「あっ、すいません!魔法のことで……」
オーナー:「まあいいや。今日のチェックアウト業務終わりだね。お疲れさん。もう上がっていいよ」
エレーナ:「はい、お疲れさまでした」
エレーナは都内の廉価なビジネスホテルで、住み込みで働いている。
大きな町の小さな店に住み込みで働きながら魔法の修行をする。
これは女魔法使いの基本中の基本である。
エレーナ:「いや、とあるアニメのパクリ設定だから」
クロ:「エレーナ、いちいちナレーションに突っ込まなくてもええニャ?」
因みに使い魔(ファミリア)が黒猫という点もベタな法則。
ここではホテルのマスコットという感じだが。
エレーナ:「うるさいな」
クロ:「一眠りして、配達の仕事かニャ?」
エレーナ:「今日はお届け物は無かったでしょ?今日は明け番だから、ちょっとシャワーだけ浴びて出掛けてくるわ」
クロ:「あいよ」
エレーナは地下1階へ下りた。
表向きは機械室があるだけということになっているのだが、実はエレーナが寝泊まりする部屋も作っている。
もちろん立ち入り禁止なので、普段はエレベーターも地下1階へは行かない設定になっている。
クロ:「それではエレーナがシャワーを使っている間、ちょっと御紹介しますニャ。わっちは黒猫のクロでありんす。冒頭に登場したんは、飼い主のエレーナ・M・マーロン。ウクライナのキエフ出身で……」
エレーナ:「いいから、オマエも体洗え」
クロ:「フニャーッ!?」
エレーナ、クロの首根っこを掴んで一緒にシャワールームに連れ込んだ。
クロ:「何するニャ!?わっちは今、読者の皆様に御紹介を……!」
エレーナ:「いや、誰もクロに興味無ェし」
クロ:「トチロ〜さんは猫好きニャ!また猫増えてるんニャ!」
エレーナ:「いや、だからそういうのいいから。ほら、おとなしく洗われろ」
クロ:「動物虐待ーっ!」
エレーナ:「あーあ……。私もベタ過ぎる黒猫じゃなくて、イリーナ師みたいにドラゴンを使い魔にできたらなぁ……」
クロ:「フニャ!?」
エレーナはシャワーを浴びて着替えると、再び地上に戻った。
エレーナ:「ちょっと出掛けて来ます!」
オーナー:「ああ、行ってらっしゃい」
オーナーは普通の初老の人間だが、魔道師達のことをよく知っており、ダンテ門内でも“協力者”の扱いになっている(軍隊における軍人ではなく、軍属みたいなもの)。
ホテルの外に出る。
エレーナ:「何だか変な空だねぇ……」
クロ:「午後から雨だニャ」
エレーナ:「雨か。まあ、ローブがあれば大丈夫か」
魔道師のローブは防水になっており、レインコートの代わりを十分に果たすことができる。
エレーナは普段から帽子を被っている為。普段はフードを被ることは無い。
エレーナ:「帽子と言っても、とんがり帽子ではないですよ?そこまでベタ過ぎやしませんよ?」
クロ:「ニャから、ナレーションに突っ込むニャって……」
キャサリン:「おや、エレーナ。お出かけかい?」
エレーナ:「キャシー。今日は明けで、そのままオフだから」
キャサリンもダンテ一門の魔道師で、ポーリン組に所属していた。
だからエレーナの先輩に当たるわけだが、エレーナが入門する直前に免許皆伝によって独立した為、今は同門の士というだけの繋がりでしか無い。
弟子を取れるほどの階級にいるが、今はいない。
ホテルに併設されたレストランを経営している。
ポーリン組は魔法薬を開発・製造するジャンルである。
キャサリンはそこで得た知識を駆使し、魔法薬を薬膳として創作料理に使うアイディアを出した。
その実験場として、このレストランがある。
エレーナ:「また飴玉作って、中高生に配布する仕事はしないの?」
キャサリン:「やだねぇ!天丼は2回までだよ」
キャサリンは魔法の力で若い姿を保っているが、実際はエレーナの何倍も長く生きている老魔女である(それでもかつての師匠のポーリンよりも年下である)。
上下関係には厳しい魔女の世界のはずだが、後輩であるエレーナがフレンドリーなのは、キャサリンがそうさせているだけだ。
元の老魔女に戻った時以外は、フレンドリーに接してくれと。
エレーナ:「稲生氏の学校に配った時は、さすがにマズったね。稲生氏の学校で、キャシーの活動が『学校の七不思議』扱いされたもんね」
キャサリン:「怪談話の正体なんて、こんなもんさ。数十年前まではまだ私も血の気が多くてね、さすがに無礼な男の子を痛めつけてやったりもしたけど、まさかそれが稲生君達が追って来ることになろうとはね。稲生君はまだ見習いなのに、もう使い魔を持っているのかい?」
エレーナ:「妖狐の威吹のこと?なーんかねぇ、成り行きでそうなったみたいよ〜?」
キャサリン:「狐……それも妖狐を使い魔にするなんて、とんだ素質のコが入ったものね」
エレーナ:「全く。ウチなんかただの黒猫なのに」
クロ:「フニャ!?」
キャサリン:「ああ、そうそう。エレーナも行くでしょ?魔王城の舞踏会」
エレーナ:「4月1日に行われるアレですね。行きますよ」
キャサリン:「ほぼ間違い無く、イリーナ組も来ると思うわ」
エレーナ:「でしょうねぇ……」
キャサリン:「それじゃ」
エレーナ:「ういっス」
エレーナはキャサリンと別れて、新大橋通り(都道50号線)に出た。
クロ:「キャサリン師に、その舞踏会の為の買い出しに行くことがバレたみたいニャ?」
エレーナ:「別に内緒にするものでもないけど、しっかり見透かされたね。魔法を使った形跡は無いから、ただの年の功か……」
クロ:「或いは、それすらエレーナに気づかせないほどの魔法かニャ?」
エレーナ:「なるほど。いくらマスター(一人前)に認定されたといっても、まだまだあの人達から見ればヒヨっこなんだなぁ……」
エレーナはそう呟いて、都営地下鉄の森下駅に向かった。
エレーナ:「御徒町周辺で全部揃えられるはずだから。アンタはバッグの中に入ってて。日本の地下鉄、動物そのまんまはNGだから」
クロ:「OKニャ」
地下鉄に限らず全部の公共交通機関において、日本では動物は体が一部でも外に出ないよう、キャリーに入れることが義務付けられている。
もちろん、そのキャリーの大きさも最大サイズが決められている。
詳細においては【WEBで確認!】。
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