報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「月まで届け、不死の煙」

2019-10-01 20:58:29 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月28日14:13.天候:晴 静岡県富士市 JR富士駅]

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく富士、富士です。5番線に入ります。お出口は、左側です。富士から身延線、富士宮、身延方面はお乗り換えです。今度の普通列車、甲府行きは1番線から14時17分、その次の普通列車、西富士宮行きは1番線から14時33分です」〕

 稲生達を乗せた普通列車は西へ進む度に混んでくる。
 今は座席が満席になり、ドアの前や吊り革に掴まる乗客が発生するほど。
 しかし、富士駅での降車客は多いらしい。

 鈴木:「先輩、どうします?まるで乗り換えにダッシュしろと言わんばかりですが?」
 稲生:「恐らく身延線を端まで走る電車で、ロングシート車は無いだろうから、このまま乗り換えたいところだけど……」

 遠くまで行く電車なだけに、混雑の予想は避けられない。

 エレーナ:「その気持ちを踏みにじって申し訳ないのだが稲生氏、その次の電車にしてくれ」
 稲生:「もしかして、魔女として何か悪い予知が?」
 エレーナ:「いや、トイレに行きたいだけだw」
 稲生:「ああ、そう」
 鈴木:「まあ、俺もせっかくだから、創価学会の夢の跡でも探してみますよ」
 稲生:「富士駅は富士宮駅ほど無いと思うけどね」

 そんなことを話しているうちに3両編成の電車は、東海道本線下り本線ホームに入線した。

〔「ご乗車ありがとうございました。富士、富士です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。身延線、普通列車の甲府行きは、1番線から発車致します。5番線の電車は東海道本線下り、普通列車の島田行きです」〕

 稲生達は電車を降りた。
 確かに乗り換え客が階段をダッシュしている。

 エレーナ:「おーおー、御苦労なことだぜ」
 稲生:「大垣ダッシュを思い出すなぁ……」
 鈴木:「先輩の鉄旅苦労話って、大抵JR東海管内だったりしません?」
 稲生:「そうだったかなぁ……」

 因みにここはもうJR東海管内ゆえ、駅名看板がオレンジ色になっている。
 使い慣れたJR東日本とは違うことが分かる。

 エレーナ:「マリアンナも行こうぜ」
 マリア:「分かった」

 JR富士駅は橋上駅舎。
 トイレもホームの上にある。
 そこに魔女2人が行っている間、残された男性陣は……。

 稲生:「やっぱり、甲府行きは313系のセミクロスシートだ」
 鈴木:「だけど満席ですよ?これだけ乗っててたったの2両とはケチくさいなぁ……」
 稲生:「多分、混むのは富士宮駅までだけなんだろうね」
 鈴木:「ペンペン草が生えたのは大石寺ではなく、学会が去った後の鉄道施設ですよっと……」
 稲生:「富士駅にはあるかなぁ……」

 西富士宮駅までの複線化と、東海道線から身延線に入る線路の向きが変わったことが学会輸送の名残りである。

 稲生:「無いんじゃないか?」
 鈴木:「うーん……残念」
 稲生:「富士宮駅ならあるよ?それは僕も見た」
 鈴木:「そうですか。分かりました。ところで先輩は、どうしてエレーナがトイレに行ったか分かりますか?」
 稲生:「用足しでしょ?」
 鈴木:「エレーナの体臭が濃くなっていたので、恐らくナプキンを装着しに行ったのでしょう」
 稲生:「キミはどうしてそんなことにすぐ気づけるんだい?」
 鈴木:「特にコーカソイドは体臭が強いですからね」
 稲生:「それはまあ……そうかもしれないけど。僕はマリアさんの匂い、好き
 鈴木:「先輩はその体臭に鼻が慣れてしまったので、生理が近くなって体臭が強くなったくらいじゃ気づかないのかもしれませんね」
 稲生:「そうなのかなぁ……」
 鈴木:「因みに女性の場合、ああいう仲間関係に1人生理が近づいたのがいると、釣られて自分も多くなるそうですよ?」
 稲生:「マリアさんのことを言ってるの?マリアさんはこの前、生理が終わったばかりだからそれは無いよ」
 鈴木:「先輩も知ってるんですねぇ?」

 鈴木は更にエロ顔を強く見せた。

 稲生:「そりゃ1つ屋根の下で暮らしているもの……。エッチするまでになったとは言えない……
 鈴木:「やっぱり魔女も生理の前後で性欲に強弱とかあるんですか?」
 稲生:「それはあると思うな。でも、人間の女性とは違うからね?エレーナは俗っぽく振る舞っているだけで、実は相当な魔法の使い手だから、ナメると痛い目見るよ?」
 鈴木:「分かってますって」
 エレーナ:「男同士、エロ話に花咲かせているところ悪いが、普通に私は排泄しに行っただけだぜ?」
 稲生:「おわっ!?いつの間に!?」
 鈴木:「ええ〜、違うのぉ?」
 エレーナ:「……いや、鈴木、そこは稲生氏の反応が自然だからな?」
 稲生:「いや、申し訳ないね。もう少しゆっくりして来ても良かったんだよ?」
 エレーナ:「マリアンナが漏れそうだったから、さっさと済ませて譲ってやったぜ」
 稲生:「えっ、そんなに!?電車の中にもトイレあったのに……」
 エレーナ:「私達は日本の電車よく知らないから、そこは早めに教えてくれだぜ」
 稲生:「う、うん……って、鈴木君!そこでエロ妄想しない!!」
 鈴木:「(おもらし羞恥プレイ……)はっ!すいませんでした!」

[同日14:32.天候:晴 JR身延線3553M電車・先頭車内]

 稲生達は後続の身延線普通列車に乗り込んだ。
 しかしそれは東海道本線と同じ形式の、それもロングシートだった。
 最初から並んでいた為、ドア横の部分に座ることはできたのだが。

 稲生:「そう来たか……」
 エレーナ:「稲生氏。富士山は向こうか?」
 稲生:「そうだよ」
 エレーナ:「窓が大きいから景色がよく見えるぜ」
 稲生:「それは良かったね。……あ、マリアさん、こういう電車にもトイレはありますから、先に言わなくてすいませんでした」
 マリア:「いや、どうせ無いだろうと聞かなかった私も悪い」

 オールロングシートの車両には、トイレは無いものと思っていたマリア。
 車掌が肉声で案内していたと思うのだが、全ての日本語が聞き取れるわけではないらしい。

〔「お待たせ致しました。本日もJR身延線をご利用頂き、ありがとうございます。この電車は普通列車の西富士宮行きです。終点まで各駅に停車致します。途中の富士宮には14時51分、終点の西富士宮には14時55分の到着予定です。【中略】次は柚木、柚木です」〕

 甲府行きは終着駅まで直通ながらワンマン列車であったが、こちらは区間運転にも関わらず、ツーマンである。
 もちろんその逆もあるのだが、よく分からない。

 エレーナ:「富士宮の町でお別れだな?」
 稲生:「一応ね。僕達はバスに乗り換えて大石寺に前泊するけど、そこは信徒しか泊まれないから、マリアさん達はホテルに泊まってもらいます」
 マリア:「特例中の特例だよ。本当は私も付いて行かなきゃいけないか、或いは全力で阻止しなければならない」
 エレーナ:「稲生氏、脱走するなら今のうちだぜ?」
 稲生:「ええっ?」
 マリア:「さらっとうちの勇太を破門に導くようなこと言うなっ!」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “大魔道師の弟子” 「卯酉東... | トップ | gooメール始めました。 »

コメントを投稿

ユタと愉快な仲間たちシリーズ」カテゴリの最新記事