報恩坊の怪しい偽作家!

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“ユタと愉快な仲間たち” 「ユタの御受誡秘話」

2013-12-04 10:13:51 | 日記
[14:00.JR北与野駅高架下ファミレスの禁煙席 稲生ユウタ、威吹邪甲、藤谷春人]

 昼過ぎのファミレスは、修羅場が過ぎた後ということもあってか、どこかまったりとしていた。
「やあ、よく決心してくれたね」
 藤谷は、にこやかにユタに微笑みかけた。
「ええ。藤谷さんの執念には負けましたよ。顕正会員以上だ」
「いや、2人も御受誡なんて大歓喜だよ」
「ん?あ、いや、威吹はできませんよ」
「何で?」
「威吹は人間じゃないので」
「むしろ、仏敵扱いされる側だ」
 威吹は鼻を鳴らして言った。
「またまたぁ……。しかし、変わった格好してるね。その銀髪は地毛かい?」
「そうだが?」
「歌舞伎役者の卵か何か?」
「この時代では歌舞伎者扱いされるようだが、オレは妖狐だ」
「妖狐?だったら、耳は頭から生える“狐耳”だろうが。それはどう見ても、“エルフ耳”……」
「言ってる意味が分からんが、これはある程度妖力を抑えた状態の、いわば第一形態。妖力を解放すれば、お望み通りの姿になれるがな」
「またまたぁ……。その付け耳は……」
「触るなッ!!」
 威吹は藤谷の手に噛み付いた。
「いでっ!牙まで……!?」
「ウウウ……!」
 威吹は唸り声を上げて藤谷を睨みつけた。
「まあまあ。よーしよしよし……」
 ユタが威吹をなだめる。
「僕以外の人間には触られたくないみたいなんです」
「何だそりゃ……」
「とにかく、威吹の言ってることは本当です」
「まあいいや。じゃあ、取りあえず稲生君だけ御受誡するんだね?」
「御受誡……します」
「偉い!偉いぞ!よし。あと一杯飲んでから、出発しよう」
 藤谷は喜んで、ドリンクバーコーナーに向かった。

 その様子を見ていた店長は、
(あいつら、3時間粘ってんな……。でもそろそろ出るか?)
 で、今度は喫煙席を見る。
 喫煙席では……。
「あのさ、いい加減決心しないと、地獄界に行くこと間違い無しだって何回言えば分かるの?」
 4人席を埋める4人の男達。その窓側席には、気弱そうな青年の姿があった。
「キミのね家が貧乏なのも、受験に失敗したのも、過去世からの宿業で、このまま行けば……」
「中国が攻めてくるんだよ、中国が」

(まーた話が堂々巡りだ。しかも、5時間を粘ってて、まだ出そうにない……)
 と、店長は思った。

 会計を済ませて外に出るユタ達。
「ねぇ、ユタ。喫煙席の方で、ユタ達と似た会話をしていた連中がいたよ」
 と、威吹が言った。
「顕正会員も折伏してたのかな?」
 藤谷は駐車場に向かいながら笑った。
「なワケねーだろ。法華講員のいる所でよー。さ、乗った乗った」
「ベンツだ」
「型落ちの中古だけど、それでも200万はしたぞ。首都高はそっちか?」
「あの交差点を右です」
「よっしゃ」
             続く

コメント (1)    この記事についてブログを書く
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1 コメント

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実際のところは……。 (作者)
2013-12-04 10:48:53
 自分の場合は5時間どころの騒ぎじゃなかったな。常連じゃなかったら、追い出されてたかな?
 ネタ出しするのにちょうどいいファミレスなんだ、あそこ。
 で、私の場合は喫煙席で、私1人に対して4人だよ。いやあ、あれは卑怯でした。トチローさんw
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