報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「雪降る八王子」

2022-02-04 17:09:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月22日17:39.天候:雪 東京都八王子市明神町 京王八王子駅→東横イン八王子駅北口]

 私達を乗せた“京王ライナー”は、順調に八王子に向かっていた。
 それは良いのだが……。

 リサ:「先生、雪降ってきたよ」

 後ろに座っていたリサがそう言った。

 愛原:「なに?」

 もうすっかり暗くなった車窓。
 そこから目を凝らして外を見ると、街灯に照らされて、ちらつく小雪が見えた。

 愛原:「マジか。八王子は雪降るんだなぁ」
 高橋:「まあ、高尾山もありますしねぇ……」

 積もりそうな感じはしないが……。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。次は京王八王子、京王八王子、終点です。出口は、右側です。京王をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔The next stop is Keio-hachioji.KO34.This is the last station this line.The doors are right side will open.Thank you for using the Keio line.〕

 地下ホームを起点に出発した“京王ライナー”だが、終点も地下ホームである。
 京王八王子駅は、通称『京八』と呼ばれている。
 京王線新宿駅と同様、京八もまた櫛形の頭端式ホーム。
 しかも、有効長がギリギリということもあり、入線速度は厳しく制限されている。
 地下トンネルに入ると、電車はゆっくりとした速度でホームに入る。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、京王八王子、終点、京王八王子です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。……」〕

 愛原:「それじゃ、降りるよ」

 ドアが開いて、私達は電車を降りた。
 地下にいるからか、外は雪が降っているだろうに、そんなに寒くは感じない。
 だが、地上に向かうと、確かに冷たい風が吹き込んで来るのが分かった。

 愛原:「こんなに寒いんじゃ、確かにラーメンでも食べたくなるなぁ」
 リサ:「ラーメン食べよ!ラーメン!」
 愛原:「まあまあ。まずは、ホテルに荷物を置いて行こう」

 駅を出る前に、ホームの駅名看板を撮影する。
 これは別に趣味ではなく、報告書に添付するもの。
 今は凛さんの同行・監視を任されているので、予定通りの電車に乗り、予定通りの駅で降りたことを証明する為のものだ。
 他にも、車内でリサと凛さんの写真も撮っている。
 JKらしく(……っと、凛さんはまだJCか)、2人はポーズを撮っていたが、デイライトに提出されると知っているのだろうか。
 駅を出て、JR八王子駅の方向に歩く。
 それから、宿泊先のホテルに向かう。
 その間にも、ラーメン店は何軒かあった。
 しかし、当然ながら、市内に出店しているラーメン店全てが『八王子ラーメン』を提供しているわけではない。
 どのラーメン店が八王子ラーメンを出しているのか、事前に情報を得なければならない。
 小雪が舞う中を進むが、やはり都心より寒く感じた。
 天気予報では都心は相変わらず曇だが、八王子は雪マークが付いている。
 小雪程度なので、積もることはないだろうが、しかし路面凍結には注意とのこと。

 愛原:「よし、着いた」

 ホテルは繁華街の中にあった。
 東横インの場合、立地条件が繁華街という所もまま存在する。
 隣近所が『夜のお店』ということだ。
 この例は埼玉の西川口でも見られる。
 ロビーはさすがに暖房が効いて暖かった。

 フロント係:「いらっしゃいませ」
 愛原:「ちょっと行って来る。ちょっと待ってて」
 リサ:「あい」
 高橋:「うス!」
 凛:「はい」

 私はフロントに行った。

 愛原:「4名で予約している愛原ですが」
 フロント係:「はい、愛原様ですね」

 会員証を渡し、女性スタッフが取り出した宿泊者カードに記入する。
 そして記入が終わると、フロント係の女性はカードキーを持って来た。

 フロント係:「ツイン2部屋、御用意させて頂きました」

 カードキーは人数分あった。
 軽く館内の説明を受けて、それから3人の所に戻る。

 愛原:「はい、お待たせ。まずは部屋に行こう」
 リサ:「わたし、先生と一緒の部屋~!」
 愛原:「おい!」
 高橋:「おい!」
 愛原:「さすがにそれはダメだって」
 リサ:「え~」

 私はリサではなく、高橋にカードキーを渡した。
 あとは……。

 愛原:「ほい、凛さん」
 凛:「ありがとうございます」
 愛原:「リサが変な行動をしないよう、見張っていてくれ」
 凛:「わ、分かりました。先輩のことですから、ダクトを通って、先生方の部屋に行くことは可能だと思いますが……」
 愛原:「それを阻止してくれればいい」
 凛:「わ、分かりました」
 リサ:「ぶー……」

 エレベーターに乗って、客室フロアへ向かう。
 繁華街にあるせいか、セキュリティはしっかりしている。
 エレベーターに乗る際、カード読取機にカードキーを当てないと、エレベーターが動かせない仕組みになっている。
 そしてエレベーターを降り、部屋に向かう。
 やはりというか、部屋は隣同士になっていた。

 高橋:「最近はカードキーですね」
 凛:「うちのホテルも、カードキーにしようかっていう話はあります」
 愛原:「あ、そうなの」

 ホテル天長園は、まだ普通の鍵だ。

 愛原:「それじゃ、荷物置いたらラーメン食いに行こう」
 リサ:「分かった」
 凛:「分かりました」

 私と高橋も、今宵の寝床に入る。

 高橋:「やっと着きましたねぇ」
 愛原:「ああ。オマエ、タバコ吸うだろ?机側で寝ろよ」
 高橋:「了解っス!」

 灰皿置き場が、机の上しか無いため。
 と言いつつ、私も今日の分の報告書を作成したいので、机の上にノートパソコンを置いた。
 これは帰ってきたら、使うことにする。

 高橋:「でも、どこの店がいいか、決まったんスか?」
 愛原:「こういう時は、フロントで聞く。ホテルは周辺情報に詳しいからな」
 高橋:「これも探偵の心得ですね!」

 高橋は手帳を取り出して、今の私の言葉をババッと書き込んだ。


 愛原:「それじゃ、行くぞ」
 高橋:「はいっ!」

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