報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサの能力戻り」

2023-10-05 15:56:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明 天候:不明 場所不明]

 気が付くとリサは、とある立体駐車場の中にいた。
 タワータイプの機械式立体駐車場ではなく、ショッピングモールの中にあるような自走式タイプの立体駐車場である。
 多くの駐車マスに車は止まっているが、何故か車の出入りはない。
 また、周りが明るいことから、ここは地下駐車場ではなく、地上の駐車場のようだ。
 その駐車場に、人の姿は無い。
 だが、通路の向こうに誰かがいるのが分かった。
 BOWの鋭い視力で目を凝らすと、そこにいたのは愛原だった。

 リサ「先生!」

 リサは愛原を大声で呼んだが、何故か愛原は振り返らない。

 リサ「先生、待ってよ!」

 リサは愛原の後ろを追った。
 BOWは脅威的な身体能力を持っているが、さすがに走るスピードまでズバ抜けて速いというわけではない。
 それでも、けして遅いスピードではないはずである。
 にも関わらず、普通に歩いているように見えるはずの愛原に、何故か追い付くことはできなかった。
 そうして開けた所に出たと思ったら、今度はそこは電車のホームだった。
 地上のホームだったが、やってきたのは、何故か東京モノレールに酷似した車両。
 しかし、全く放送が無く、行先表示も見当たらない為、このモノレールがどこに行くのか分からない。
 しかも、ホームには他に人は見かけかった。
 ドアが開くと、愛原が乗り込んで行く。
 リサも後に続いて乗り込もうとしたが、右腕を誰かにガッツリ掴まれた。

 リサ「!?」

 振り向くと、そこには自分と大して歳の変わらない少女が経っていた。
 しかし、その少女にリサは見覚えがあった。
 半袖の夏用のセーラー服を着用し、白い仮面を着けている。
 仮面は目の部分に横長の切れ目があるだけで、他に穴は開いていない。
 かつて、リサもその姿をしていたことがある。
 日本版リサ・トレヴァー。
 彼女はその『1番』であった。
 気が付くと、『1番』の周りには、他にも『3番』以降の日本版リサ・トレヴァー達がいた。
 唯一、男子の『10番』や成人女性の『6番』はセーラー服を着ていない。
 また、『12番』(現在は『0番』)たる善場もいなかった。
 因みに日本版リサ・トレヴァー達は、番号順でヒエラルキーが決まっているというわけではない。

 『1番』「その電車に乗っちゃダメだよ」
 『3番』「その電車は成仏する人が乗る電車だから」
 『4番』「私達は幽霊だから、“マンション”に戻らないといけないの」
 『10番』「自分だけシレッと人間に戻ろうとすんなよ」
 『7番』「それとも地獄に行く?」
 『8番』「化け物の行き着く先なんて、地獄しか無いもんね!」

 口々にリサに何か言って来る。

 リサ「うるさい!わたしはお前達とは違う!放せ!」

 リサは電撃を放とうとした。
 だが、電撃が出ない。

 『1番』「アンタに相応しいのは、電気よりも蟲だよ。日本式プラーガを使う『支配種』の化け物」
 リサ「何のことだ!?」

 そうこうしているうちに、電車のドアが閉まってしまう。

 リサ「! 先生!」

 電車が走り去って行く。
 リサは『1番』の手を振りほどき、ホームドアを飛び越えて軌道に飛び出した。
 ……はずだった。

 リサ「えっ!?」

 しかしそこに軌道は無く、ただ空間があるだけだった。
 真っ逆さまに落ちて行くリサ。

[1月18日06時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階リサの部屋]

 リサ「……はッ!」

 そこでリサは目が覚めた。
 枕元のスマホが目覚ましのアラームを鳴らしている。

 リサ「ゆ……夢だったのか……」

 目を覚ましたリサは、汗びっしょりだった。

 リサ「変な夢見たなぁ……」

 起き上がろうと、掛布団を退けた。

 リサ「!?」

 すると、右手にビッシリ蛆虫のようなものがこびり付いているのが見えた。
 リサが目を丸くすると、その蛆虫のようなものはリサの手の中にスッと消えて行った。

 リサ「本当に……『蟲使い』になったのかな?」

 取りあえず、起きてみることにした。
 寝汗もかいたので、シャワーでも使いたいと思った。

[同日06時30分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 シャワーを浴びてから、制服に着替える。
 それから、ダイニングに行くと、愛原達がいた。

 リサ「おはよう、先生」
 愛原「ああ……」

 何故か愛原はテンションが低い。

 リサ「どうかしたの?」
 愛原「いや……ちょっと変な夢をしたのと、激しい頭痛がしてな……」
 リサ「ええっ!?……昨夜、そんなに飲んだっけ?」
 愛原「いや、二日酔いじゃない。ほら、酒の臭いなんてしないだろ?」
 リサ「あー……うん。そうだね。じゃあ、なに?」
 愛原「分からん。三途の川の中州に建ってるマンションで、ポニーテールの可愛い管理人と話をした夢だ」
 リサ「そのポニテ女、誰!?」

 リサは『8番』を思い出した。
 あれはポニーテールにしていたはずだ。
 日本版リサ・トレヴァーの中には、リサが愛原のことが大好きなのを知って、奪ってやろうと言っていた者もいた。

 愛原「いや、知らないよ。どっかのアニメキャラかもしれん」
 リサ「はあ?」
 愛原「とにかく、ロキソニンは飲んで、少し頭痛は治まったから」

 リサは夢の内容を話した。
 すると、愛原は目を丸くした。

 愛原「立体駐車場か。実は俺の夢にも出て来たんだ。そこには管理人室があって、そこにポニーテールの可愛い管理人がいたんだ。リサも彼女と会ったかい?」
 リサ「ううん。そこで先生を見かけて、後を追ったらモノレールの駅に着いただけ」
 愛原「東京モノレールなんて1回くらいしか乗ってなかったと思うけど、よく夢の中に出て来たな?」
 リサ「まあね。未だに日本版リサ・トレヴァーの亡霊達がいるんだね」
 愛原「あいつらが死んで、もう何年も経つのに、まだ閻魔大王の裁きを受けてないのか。夢の中の俺は、モノレールに乗ってどこまで行ったんだ?羽田か?浜松町か?」
 リサ「放送も行先表示も無かったから、どこ行きだったのか分かんなかった」
 愛原「三途の川の渡り方には3つある。善人は立派な橋を渡り、軽罪人は浅瀬で流れの緩やかな場所に入って渡り、重罪人は深瀬で急流な所を直接渡らせられるのだそうだ」
 高橋「ということは、それを橋どころか、モノレールで渡れる先生は超善人のVIP待遇ってことですね!さすがです!」
 愛原「いや、どうだろう?むしろ、地獄の特急券だったかもしれんぞ?まあ、東京モノレールには特急も急行も無いが。快速はあるけど、特に特別券を買う必要は無いし」
 パール「まあ、夢の中の話ですから」
 愛原「まあ、そうだな」
 パール「リサさん、学校用のブルマは乾いてますから、お忘れにならないようにお願いします」
 リサ「おっと!そうだった!今日は体育があるんだった!」
 愛原「まさか、スカートの下には何も穿いてないのか?」
 リサ「いや、パンツくらい穿いてるよ!」

 とはいえ、リサは一瞬、スカートの上から下着を確認した。
 もちろん、ノーパンなんてことはなく、ちゃんとショーツは穿いていた。

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