報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「成田空港の旅」 2

2023-07-26 16:26:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日12時40分 天候:晴 東京都台東区上野 京成上野駅→京成線12AE09列車1号車内]

 改札口を通過して、ホームに向かう。
 私達が乗る京成スカイライナーは全席指定であり、乗車券の他にライナー券を購入しなければならない。
 尚、今時流行りのネットで購入するチケットレスサービスも、この列車では行われている。
 但し、チケットレスなのはライナー券だけ。
 乗車券は別途購入しなければならず、逆を言えば、その乗車券で改札口を通過するわけである。
 もちろん、ICカードでもOKなので、それで通過した。

 

 愛原「これが京成スカイライナーだ。新幹線的なスタイルだな。これで最高時速160キロだそうだ」
 高橋「ほお……160ですか……」
 パール「いい勝負ですね……」
 愛原「おい、暴走族、走り屋。電車と勝負しようとするなよ?」
 高橋「な、何言ってんスか、先生……」
 パール「きょ、今日は御嬢様のお見送りでございます」
 愛原「早く乗ろう」

 リサがいるので、予約は先頭車にした。

 

 愛原「リサと絵恋さんは、こっちの席。高橋とパールは、こっちの席な」

 私はスマホの画面を見ながら、座席番号を確認した。
 私の席は1番前にある。
 そこの窓側に1人で座ると、一人旅気分である。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。お待たせしています。この電車は、成田スカイアクセス線経由、スカイライナー、成田空港行きです。停車駅は日暮里、空港第2ビル(成田第2・第3ターミナル)、終点、成田空港(成田第1ターミナル)です。この電車は、全て指定席です。乗車券の他に、スカイライナー券が必要です。【中略】この先、揺れますので、ご注意ください〕
〔「本日は京成電鉄をご利用頂きまして、誠にありがとうございます。成田スカイアクセス線経由、スカイライナー43号、成田空港行きです。座席は全席指定です。次の日暮里駅からも、大勢のお客様がご乗車してございます。空いている座席の上には荷物など置かぬよう、お願い致します。お待たせ致しました。まもなく、発車致します」〕

 京成上野駅の時点では、まだ乗客は半分ほどしか乗っていない。
 正月休みは今日で終わりなので、各交通機関はUターン客で混雑すると思われる。
 ホームから発車メロディと発車ベルの音が聞こえて来た。
 先に短い発車メロディが鳴った後、ベルが鳴る感じ。
 そして、ドアが閉まる。
 それから、電車がスーッと走り出した。
 ポイントの通過がある為か、電車がガクンと揺れる。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。お待たせしました。この電車は、成田スカイアクセス線経由、スカイライナー、成田空港行きです。座席は、全て指定席です。また、デッキ、サービスコーナーを含めて全車両禁煙です。次は日暮里、日暮里に停車します〕

 日暮里駅までは、地下トンネルを走行する。
 地下鉄で上野御徒町駅まで移動し、一瞬地上に出るものの、また地下道に下り、そこから地下駅の京成上野駅を目指す。
 京成上野駅を出ても、次の日暮里駅までは地下なので、地上にいる鬼の男の目には留まらない。
 そういう思惑であった。
 だが、善場主任の話によると、どうやらそれは杞憂であったようだ。
 そいつ本人は、光が丘で人間の女達を『食べて』いたようだから。
 ややもすると、同じ都営大江戸線沿線だっただけに、私の計画が裏目に出るところであったかもしれない。
 そう思うと、やっと京成スカイライナーに乗れたことで、ホッとできた。
 できれば、日暮里駅も通過してもらいたいものだな。

 

 リサ「おっ。この電車、コンセントがある。ちょっと充電しよう」

 私の後ろに座るリサは、バッグの中からスマホの充電器を取り出した。
 それで、座席下のコンセントに差す。

 絵恋「リサさん、今日の下はショーパンなのね……」
 リサ「ヘタすると、鬼の男と戦うことになるかもしれないから、動きやすい服装にしてきた」
 絵恋「それ、スカートじゃダメだったの?」
 リサ「うん。やっぱりスカートじゃ動きにくい。何で?」
 絵恋「私がコンセントを差す時に、リサさんのパンツが見れないじゃないのよぉ~」
 リサ「オマエはオッサンかw」
 愛原「んー?俺も40過ぎのオッサンだが、何か用か?」
 リサ「あっ、先生はわたしのスカートの中、覗いていいからね?」
 愛原「つったってお前、ショーパンじゃねーかよ?」
 リサ「……ちょっと着替えてくる」
 愛原「いや、別にいいよ、わざわざ!そんな……」

 リサの行動にも困ることが今でもある。
 これも鬼型のBOWだからだろうか。

[同日12時45分 天候:晴 東京都荒川区西日暮里 京成日暮里駅]

 電車は地上に出ると、JR線の上を高架で横断する。
 そして、そのまま高架ホームへと進入した。
 誤乗を防ぐ為、下りホームはスカイライナー系列車専用ホームとその他一般電車専用ホームとで別れている。
 線路は同じなのだが、ホームが左右で違う。
 一般電車は左側のドアが開き、スカイライナー系は右側が開くようになっている。
 当然この電車は、右側のドアが開いた。

 愛原「おー、混んで来た」

 どうやら、この電車は満席らしい。
 乗り換えが便利な日暮里駅からの方が乗客が多いくらいだという。

 リサ「せ、先生!?」

 リサが何かに驚いて席を立とうした時だった。
 スマホを充電する為に、リサは座席のテーブルを出して、そこにスマホと充電器を置いていたのだが、リサが慌てて立った為に、体がそれに当たり、スマホと充電器を床に落としてしまった。

 愛原「どうした?」

 私が振り向こうとした時だった。

 女性「すいません」

 空いていた私の隣の席に、女性客が1人座って来た。
 どうやら、本当に満席らしい。

 愛原「あ、いや、失礼」

 私はすぐに体を退かした。
 一体、リサは何に驚いたのだろう?
 まさか、鬼の男が乗って来たとでも言うのだろうか?
 途中停車駅ということもあり、電車はすぐに発車した。
 あとはもう、地下線を走行することはない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “私立探偵 愛原学” 「成田... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「空港... »

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事