報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「南里の秘密のアジト」

2014-09-08 17:42:16 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月8日19:00.宮城県柴田郡川崎町郊外 林道沿いの廃倉庫 マリオ&ルイージ]

「ココガ目標地点ノヨウデス、アニキ」
「ヨシ。定時連絡ダ」
 2人のバージョン5.0アレンジ機は、昔、南里志郎がマッド・サイエンティスト時代に使用していたという秘密の研究所に到着した。
 ルイージが林道入口で待っている平賀に無線を送る。
「コチらマリオ。只今、目標ポイントに到着」
 しかし、すぐに応答が無かった。
「コチらマリオ。平賀副理事、応答願イマス」
{「アア、コチラSR-771.ジャックだ」}
 何故か平賀達の護衛に付いているセキュリティ・ロボットが応答する。
{「平賀副理事ト平賀主査ハ、只今、財団支部マタハ警察ト交信中ダ。定時連絡デ良イカ?」}
「ソノ通リ。現時点マデニ、何カ新シイ情報ハ?」
{「無イ。施設ニ関スル新情報無シ、テロリストに対スル手掛カリモ無シ。皆無ダ」}
 するとルイージが、
「サテ!コノ新展開、我々ノ出番ダト思イマスケド!?」
 テンション高く、廃倉庫入口の鉄扉の前に向かう。
{「待テ!マダ副理事カラノ突入許可ハ出テイナイ!」}
 セキュリティ・ロボットが制止する。
 しかしマリオも、
「イイカラ任セテオキナッテ。ルイージはコソコソ人ノ後ろヲ付ケ狙ッタリ、探シ回ッタリスルノガ大ノ得意ナンデネ」
「聞コエテルゾ、アニキ!」
「フッ……」
 マリオも鉄扉の前に立つ。
「ソウイエバ、コノ前モ七海チャンノ尻ヲ追ッテ、支部事務所マデ行ッタンダッテ?モウドコノ控室ヲ使用シテイルノカモ知ッテルワケ?」
 するとルイージは、パッと後ろを振り向いた。
「アト1歩ノ所ダッタンデスガ、寸デノ所デ、データ・スクランブルを掛ケラレテシマイ……ッテ、ストーカー扱イハヤメナサイ!」
「自白シタナ。ヨシヨシ。ジャ、吐イテスッキリシタトコロで、突入シヨウ」
 マリオは平賀太一からもらった鍵を使って、鉄扉を開錠した。

 廃屋内に突入する。
 当然ながら中は真っ暗である。
 しかしそこはバージョン・シリーズ。
 暗闇でも暗視カメラで難無く突き進むことができる。……できるのだが、あえてライトを点けて進む。
 実はこの兄弟機の目は、同時に撮影記録もされているので、少しでも鮮明な画像を残す為である。
「何カ出ソウナ雰囲気ダナ……」
 マリオの呟きに、
「シッ!テロリストに気ヅカレテシマイマス。静カニ歩イテ。ナルベク、物音ヲ立テナイヨウニ……」
「オウ」
 各所をスキャンしながら進む兄弟機。
 主にルイージは壁や天井をスキャンしながら進んでいたのだが、それが思わぬハプニングを呼んだ。
「オワッ!?」

 ドンガラガッシャーン!

「何ヤッテンダ、オ前!」
 通路に転がっていた一斗缶に気づかず、躓いて派手に転んだルイージだった。
 幸いその一斗缶が爆発したり、何か液体が漏れ出したということはなかったが……。
 無論、ルイージ自身も転倒くらいで損傷するわけがない。
 すぐに起き上がった。
「物音立てテルナッテ言ッタノ、オ前ダヨナ?」
「カ……カノ、ホメロスでスラ、時ニ居眠リナサルと言イマス……」
「……トニカク、先へ進ムゾ」
 先に進むと、ドアが2つあった。
 どちらも施錠されている。
 1つは緑と赤のランプが点いており、赤いランプが付いていた。
 どうやら所謂マグネット式と呼ばれるヤツで、どこかから遠隔で開錠しなければならない装置のようだ。
 もう1つのドアも赤と緑のランプがあり、こちらも赤いランプが点灯していて施錠されている。
 しかしその下にはスイッチ盤があり、四隅をネジで固定されていた。
 データによれば、この中に暗証番号を入力して鍵を開けるシステムが入っているらしい。
「コチラヲ先ニ開ケタ方ガ良サソウダ。ルイージ、ドライバークレ」
「ハイヨ。……ッテ、アレ?」
「ドウシタ?早ク寄越セ」
「ア……アレ?オ……オカシイナ……」
「オイ。モシカシテ、忘レテ来タンジャナイダロウナ?」
「イ、イヤ、ソンナハズハ……。確カニコノ建物ニ入ル時ニハ、アッタハズ……」
「……ソウイエバオ前、サッキ派手ニ転ンデタヨナ?ソノ時ニ落トシタンジャナイノカ?」
「ア……!」
「二度手間ダナ。マア、探シニ行コウ」

 確かに二度手間である。
 戻ると、さっきの一斗缶が転がっていた。
「オ前ガ転ンダノハ、コノ辺リダッタナ」
「サイデス」
 マリオは一斗缶付近をスキャンした。
 すると、アイテムを発見。
「アッタ!」
 ドライバーを発見した。
「ヤッパリ落トシタンジャナイカ」
「ス、スイマセン……」

 それより気づいたのは、あっちこっちに実弾火薬が落ちていることだ。
 発砲済みの薬莢もあれば、未使用の弾薬もある。
 南里が使用していた時からあったものなのか、それともやはりテロ組織がここを使用しているのかは明らかではない。
 マリオはさっきのドアの所に戻って、ネジを外した。
 中には暗証番号を入力するテンキーが入っていた。
 無論、番号は平賀から聞いて知っている。

 ピーン!
 カチッ。

「ヨシ。開イタゾ」
「ドンナ新展開ガ待ッテイルデショウネ!」
 兄弟機はドアを開けて、中に入った。
 中は制御室があった。
「サッキノ電子ロックト言イ、ドウヤラコノ建物ノ電源ハ生キテイルラシイ」
 マリオは制御室内にある端末を操作した。
 するとさすがにメイン電源は廃屋ということもあって死んでいるが、非常予備電源は生きているようだ。
 しかもその発電機の燃料は意外にも半分以上ある。
「ツイ最近ココヲ使用シテイタ者ガ居る……モシクハ居タトイウノハ濃厚ダナ」
「アニキ。ココデ施設内ノ電子ロックヲ全テ解除デキソウデス」
「スルト、コノ隣ノドアモカ?」
「ハイ。即時、ロックヲ解除シマス」
 ルイージは端末のキーボードを叩いた。
「……ハイ、コレデ基本全テノドアロックガ解除サレマシタ」
「ヨーシ。……ン?施設内ノ監視映像ガ録画サレテルゾ?」
「見テミマショウ」
 ルイージは端末を操作する。
 最初のモニタに映し出されたのは、この建物の外……マリオ達が入ってきた所とは別の出入口。
 どうやら、車寄せみたいな場所があるらしい。
 そこから慌てて出発するトラックがあった。
「コレ!サッキのトラックじャナイカ!?」
 どうやら運転手だけでなく、他に何人かの人間がいたようだが……。
「アレハ!」
 運転手も死んでしまったが、その前にトラックに乗り遅れた人間達は、別の者に殺されていた。
「バージョン4.0デスヨ、アニキ!?」
 マリオ達とは一世代型落ちの同型機である。
「ドウイウコトダ?4.0ガ、テロリスト達ヲ始末シテイル?」
「4.0ハ、テロリスト達ノ仲間デハナイトイウコトデスカ?」
 だが、その4.0も映像に映る人間達を殺した後は自爆した。
 マリオ達が首を傾げていると、映像が変わった。
「今度ハ館内ノ映像デスネ」
 どこかの廊下だった。
 しかし、ここで不可思議現象が映し出されていた。
「!!!」
 誰も何もいないのに、廊下に置かれているラックなどの物が破壊された。
「ポルターガイスト!?」
「シッ、黙ッテ!」
「ルイージ!」
「スグ映像ヲ切リ替エマス!」
 また別の映像に変わった。
 今度はどこかの室内。
 どうやらこの建物、エレベーターが1機あるようだ。
 そのエレベーターから、銃を持った人間が1人慌てて降りて来た。
「オッ、生キ残リ。持チ物ヤ恰好カラシテ、テロリストの可能性高シ。……デ、何ガ起コルンダ」
「ダカラ黙ッテッテ!」
 すると何かの気配を感じたのが、映像のテロリストが銃を室内に向ける。
 が、テーブルが見えない何かによってちゃぶ台返しのようになった後、テロリストは片足を掴まれた。
「オワッ!?」
「何ダ何ダ!?」
「映像越シデハ、スキャン不能!見エナイ何カガ、テロリストを襲ッテイマス!」
 テロリストは片足を掴まれて振り回された後、頭を噛み千切られたか何かした。
「ウワッ、エグっ……!」
「テイウカ、アニキ!今、被害者サン、何カ落トシマシタヨ!ネェ!何カ落トシマシタヨネ!?」
 そう話している間に被害者は、カメラのある天井に叩き付けられた。
 それでカメラは故障し、映像はそこで終わっていた。
「コレハ、衝撃映像ダナ……」
「テレビデモ放送禁止デショウネ……。エグ過ギテ。シカシ今、絶対何カ落トシマシタヨ。何カノ、メモリー媒体ノヨウナ気ガシマス。モシカシタラ、テロ組織の全容解明ニ繋がるカモデス」
「ヨシ。ソレヲ回収シヨウ。アノ映像ノ部屋ヲ探スンダ」
「了解、アニキ」
「シッカシ、アノ見エナイ何カッテノハ何ダッタンダ?」
「ステルス機能付キ……デスカネ?」
「ステルス機能ッテノハ、レーダーデ補足デキナイコトヲ言ウンダ。目ニ見エナイトイウコトジャ無いト思ウゼ」
「スキャンニ掛カレバ、イインデスケドネ」
「トニカク、隣ノ部屋ニ行ッテミヨウ」
「ハイ」

 この兄弟機を待ち受けるものとは、一体何なのだろうか。

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