報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「かつて『仙台の奥座敷』と呼ばれた場所で」 2

2024-02-05 15:53:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月25日16時00分 天候:曇 宮城県仙台市青葉区作並元木 鷹泉閣岩松旅館・プール]

 愛原「あー、その……すいません。実は、公一伯父さんが実家の地下室に隠れてまして……」
 善場「地下室!?所長の御実家に地下室があったのですか!?」
 愛原「はい。以前、実家の地下に空洞があったなんてことがありましたよね?」
 善場「その空洞は塞がれたのでは?」
 愛原「あくまでも入口を塞いだだけで、空洞そのものは埋めていなかったんですよ。工事費がかなり掛かってしまう上、工事期間中はどこかに仮住まいしなければならなくなるとかで」
 善場「なるほど……」
 愛原「それを伯父がいつの間にか地下室に改築していて、自分の隠れ家にしてしまったそうなんです。伯父が指名手配といっても、非公表ですから、うちの両親はそんなこと知りませんし」
 善場「それは、そうですね……。もっと警察を説得して公表扱いにするべきでした」

 警察が受けなかったということは、警察的には容疑が固まっている状態ではないのだろう。
 しかし、バイオテロ取り締まりに特化しているBSAAやその日本支部の窓口になっているデイライトとしては、それだけでも拘束の対象になると。

 愛原「高野君のことは知りませんよ。そもそも、高野君はどこから出て来たんですか?」
 善場「目撃情報があったのですが、御存知ないですか?」
 愛原「無いですよ」
 善場「分かりました。これに関しては、これ以上の質問はやめておきます。今、BSAAが現場を封鎖して、地下室への潜入を行っている最中です」
 愛原「え?家の中に勝手に入ったんですか?」
 善場「? 所長の御実家からもアクセスできたんですか!?」

 しまった!ヤブヘビ!

 善場「困りますね。そういう情報は、早めに伝えて頂きませんと」
 愛原「す、すいません」
 善場「公一容疑者とも会ったのですね。どういったお話をされましたか?また、何か渡された物があれば、それの提出をお願いします」
 愛原「話の内容としては、主に日野博士についてですね。リサから血液を採取し、それを何かの薬品に混ぜて栗原蓮華に注入し、鬼化させた人物です」
 善場「それで、公一容疑者は何と?」
 愛原「知らないということでした。元アンブレラの人間であっても、幹部社員ではなかったからでしょう。リサの担任の坂上先生のお父さんと元同僚のようですが、やはり多くの情報を手にすることはできませんでした」
 善場「情報収集に当たって下さっているのですね。それはありがとうございます」
 愛原「いいえ、どうも……」
 善場「例の地下室のことですが、別の侵入ルートを確保しているので、所長の御実家無いに入ることはまずございません。ただ、地下室とどのルートが繋がっているのかだけ教えて頂けますか?」
 愛原「はい。エレベーターです。エレベーターそのものは、ごく普通のホームエレベーターです。これで実家の1階と行き来できます」
 善場「分かりました。その情報、BSAAに伝えておきましょう。本日は温泉旅館に1泊して、それから帰宅の予定ですね?」
 愛原「そうです。恐らく、明日の昼過ぎから午後くらいになると思います」
 善場「承知致しました。それまでには捜査を終えるよう、BSAAに伝えておきます」
 愛原「申し訳ありません」
 善場「それとこれは、所長方にとって朗報になると思われますが……。奥日光の栗原家の施設から所長方が拾得した金品のことです。インゴッドについては捜査中ですが、現金については特に事件性無しということが明らかになりました。また、栗原家の方で所有権の申し出が無かったので、所長方にお返しします」
 愛原「おおー!」

 これで4階にシャワールームが設置できるな!
 残った金は、高橋達にボーナスとしてあげよう。

 愛原「インゴットについては、まだ捜査中なのですか」
 善場「私も詳しくは分からないのですが、どうも海外から輸入したものらしいのです」
 愛原「いやいや、今時インゴットなんて海外製でしょう?」
 善場「そうなのですが、どうも出所が怪しいようで……」
 愛原「んん?」
 善場「この辺りは警察の管轄になるので、私共ではよく分からないのです。現金については返却されましたが、どういった経緯で『事件性無し』と判断したのか、教えてくれないのです。まあ、捜査情報の扱いに関してはお互い様なところがあるので、こちらも強くは言えないのですが」
 愛原「そうだったんですか」
 善場「とにかく、現金につきましては、来週中にお渡しできるかと思います。何せ大金ですので、直接事務所までお持ち致します」
 愛原「これはどうも、お手数お掛けします」

 事務所の金庫を用意しなくてはならないな。
 私は電話を切ると、すぐにプールに向かった。

 リサ「先生、おそーい!」
 愛原「悪い悪い!それほど重要な電話だったんだよ!」

 プールは長さ20mほどの横長のもの。
 そこにリサ達が水着姿で泳いでいた。
 高橋はオレンジと黒のサーフパンツであり、パールはビキニであるが、迷彩柄であった。
 リサはリサで、ホルターネックの虎柄ビキニを着ていた。
 ラムちゃんか!

 リサ「先生も早く泳ごうよ!」
 愛原「いやいや、俺は撮影係」
 リサ「何それ!」
 高橋「先生もサーフパンツ買ったじゃないスか!早くこっち来てくださいよ!」
 愛原「分かった分かった!」

 私もリサや高橋に誘われるようにしてプールの中に入った。

 愛原「夕食は18時からだ。それまでは、プールで楽しめるぞ!」
 リサ「おー!先生!ありがとー!!」

 リサはガシッと私に抱き着いた。

 愛原「うわっ、抱き着くな!」
 高橋「先生!やはりこいつの頭、マグナムで!」
 愛原「プールを赤く染める気か!」
 パール「仲いいですねぇ……」

 まあいい。
 来週には大金が手に入るんだ。
 少しくらい、リサのおフザケも大目に見てやろう。
 ただ、あまりこういう所で金の話はしない方がいいな。
 帰京してからでもいいだろう。

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