[8月25日12:00.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区 コロナワールド仙台]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
3日目は仙台市東部の郊外までやってきた。
最寄り駅から路線バスに揺られること約15分。
私達は目的の場所に着いた。
地元では『産業道路』と呼ばれる幹線道路。
それは片側三車線あり、頭上には仙台東部道路という高速道路も通っている(都市高速ではない)。
名前の通り、休日の今日も大型トラックの行き交う幹線道路だ。
恐らく夜は走り屋がかっ飛ばす道路なのだろうと推測する。
それで高橋は知っているのだろう。
この沿道に、大きなアミューズメント施設があることを。
実際に駐車場を覗いてみると、もしかしてもう高橋が到着しているのかと思うような走り屋仕様の車がチラホラ見かけた。
さすがに『宮城』や『仙台』などの地元ナンバーが多い。
リサ:「愛原先生、お腹空いた」
愛原:「ああ、分かった。温泉の前にお昼にしよう」
メインホールに入ると、そこから各施設に別れているようだ。
目的の大江戸温泉物語もある。
その前に、リサの大要望で昼食にすることにした。
リサにとっては空腹の度合いが過ぎると、私達も食事の対象となる。
愛原:「えーと……先に食券を買うタイプのようだな」
斉藤:「食券ですか?」
愛原:「そう。……ん?もしかして、斉藤さんは……?」
斉藤:「先に券を買うタイプの店は初めてです」
愛原:「そうなのか!」
そこはやはり大富豪の御嬢様なんだな。
愛原:「もしも東京中央学園の高等部に上がるつもりなら、覚えておいた方がいいよ。高等部の校舎には学食があって、そこも食券方式らしいから」
斉藤:「あ、はい」
愛原:「遠慮しないで好きなもん頼んでいいからな。よし、俺はカレーでいいや」
斉藤:「……カレーで」
リサ:「ずーん……。カレーで」
愛原:「ちょっと待て!遠慮しなくていいと言っただろ!」
高野:「マサに『先生より高い物を頼むとは何事だ!』と言われたのを覚えているんですよ」
愛原:「そうなのか。いや、今ここに高橋はいないから気にするな。いざとなったら俺から言っておくし、高野君も言ってくれるよな?」
高野:「ええ、もちろんです」
愛原:「というわけだ。改めて何がいい?」
リサ:「トンカツ定食、ご飯大盛り!」
斉藤:「私もリサさんと同じので!」
斉藤さんは御嬢様でありながら空手の有段者でもある為、体力などを維持する為に食欲も大きいのだろう。
高野:「私はカツカレーでお願いします」
愛原:「へいへい。皆してカツ頼むな」
リサ:「テキにカツってサイトーに言われた」
斉藤:「『敵に勝つ』のゲン担ぎです、先生」
愛原:「本当はそれ、栄養学的にNGらしいからな?」
どちらかというと、運動には自信の無い私が言うのも何だが。
〔「……宮城県内で二晩続いて起きましたバイオハザード事件ですが、現在も尚、県内2つの現場では事件の後始末に追われており……」〕
店内ではテレビが設置されていて、それでニュースをやっていた。
テレビで観ると、改めて凄い事件に2夜連続で巻き込まれたものだと思う。
愛原:「それにしても斉藤さん、今後はもう少し動きやすい服装で旅行した方がいいかもね。御嬢様っぽくていいんだけど」
リサ:「私みたいに動きやすい服装」
斉藤:「ええ。お父さんに言って、今度はそうしてもらいます」
リサ:「サイトー、スカートだから今、足技使ったらパンツ見えちゃう?」
斉藤:「思いっ切り見えちゃうよ」
リサ:「今度やって。私にセーラー服着せるんだから、それくらいいいでしょ?」
斉藤:「ええ〜?リサさんの頼みなら、嫌とは言えないけどぉ〜?」
リサ:「むふー」
これは……。
リサの表情から察するに、リサはSっ気があり、斉藤さんにはMっ気がある。
リサはラスボスを張るくらいの存在なのでそれは分かるが、斉藤さんは……。
学校ではワガママS女王で通っているらしいが……。
しばらくして、注文した定食やカレーができる。
リサ:「いただきまーす」
斉藤:「いただきます」
高野:「先生、御馳走になります」
愛原:「ああ」
子供と大人の食事前挨拶の違い。
[同日13:45.天候:晴 同場所 大江戸温泉物語店内]
昼食を終えた私達は早速、温泉に入ることにした。
露天風呂の方が天然温泉らしいので、私は率先してそこに入る。
何となく寂しいのは、高橋がいないからか。
しかし、全く高橋が来る様子が無い。
温泉から出た私は痺れを切らしたわけではないが、高橋に電話してみることにした。
繋がってコールするが、なかなか出ない。
まさか、半グレとのケンカに負けてボコされて監禁されているとか、或いは警察の御厄介になっているとか、そんなオチじゃあるまいな?
男:「はい、もしもし?」
愛原:「あ、誰だ?」
やっと電話に出たと思ったら、聞き慣れない声だった。
男:「愛原先生っスか?」
愛原:「そ、そうだが、キミは誰だ?」
声の感じからして、高橋と大して歳の変わらぬ青年といった感じだった。
あまりガラの良い感じではないので、警察関係者というわけではなさそうだ。
まさか、ガチで半グレ!?
男:「マサのダチの佐藤って言います。今、マサは手が離せないんで、代わりに電話に出ろって言われたんで」
愛原:「な、何だ、そうなのか。手が離せないってどういうことだ?まさか、ケンカ?」
佐藤:「いや、そんなカッコいいもんじゃないっス。ちょっと遊びに夢中になってるだけで」
愛原:「まさか、女と?」
佐藤:「いえ、そんな羨ましいもんじゃないっス。マサは今、確変が止まらなくて……」
愛原:「パチンコしてんのか!何やってんだ、あいつ!」
佐藤:「あいつだけウハウハで、マジパネェっす」
愛原:「色んな意味ではな!早くこっちに来いって言っといてくれ!」
佐藤:「了解っス。もうすぐ俺、代打ちしますんで」
愛原:「何の台やってるんだよ!?」
佐藤:「CR顕正会っス」
愛原:「意外だね!?意外なのやってるね!?」
佐藤:「今、ケンショレンジャーモードで16回転目に入ってますんで」
愛原:「何だよ、ケンショーレンジャーって!最近見かけないと思ってたら、パチンコに出てんのかよ……」
佐藤:「しかも4円パチっス」
愛原:「4円パチで確変何回も出してんの!?あいつ、凄ェな!」
佐藤:「CR創価学会にしようかと思ったんですが、『んっ?さんからクレームから来るからダメだ』と言ってました」
愛原:「やめろよ、そんなメタ発言……。てか、出そうに無いな、その台は……」
佐藤:「とにかく、『愛原先生がお怒りだ』とだけ伝えておきますんで」
愛原:「いや、怒ってはいないよ?ただ、あまり遊び惚け過ぎても困ると言ってるんだ。というか、キミ達はどこのパチ屋にいるの?」
佐藤:「あ、コロナワールドのD’STATIONです」
愛原:「1つ屋根の下かーい!」
ども、ありがとうございましたー。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
3日目は仙台市東部の郊外までやってきた。
最寄り駅から路線バスに揺られること約15分。
私達は目的の場所に着いた。
地元では『産業道路』と呼ばれる幹線道路。
それは片側三車線あり、頭上には仙台東部道路という高速道路も通っている(都市高速ではない)。
名前の通り、休日の今日も大型トラックの行き交う幹線道路だ。
恐らく夜は走り屋がかっ飛ばす道路なのだろうと推測する。
それで高橋は知っているのだろう。
この沿道に、大きなアミューズメント施設があることを。
実際に駐車場を覗いてみると、もしかしてもう高橋が到着しているのかと思うような走り屋仕様の車がチラホラ見かけた。
さすがに『宮城』や『仙台』などの地元ナンバーが多い。
リサ:「愛原先生、お腹空いた」
愛原:「ああ、分かった。温泉の前にお昼にしよう」
メインホールに入ると、そこから各施設に別れているようだ。
目的の大江戸温泉物語もある。
その前に、リサの大要望で昼食にすることにした。
リサにとっては空腹の度合いが過ぎると、私達も食事の対象となる。
愛原:「えーと……先に食券を買うタイプのようだな」
斉藤:「食券ですか?」
愛原:「そう。……ん?もしかして、斉藤さんは……?」
斉藤:「先に券を買うタイプの店は初めてです」
愛原:「そうなのか!」
そこはやはり大富豪の御嬢様なんだな。
愛原:「もしも東京中央学園の高等部に上がるつもりなら、覚えておいた方がいいよ。高等部の校舎には学食があって、そこも食券方式らしいから」
斉藤:「あ、はい」
愛原:「遠慮しないで好きなもん頼んでいいからな。よし、俺はカレーでいいや」
斉藤:「……カレーで」
リサ:「ずーん……。カレーで」
愛原:「ちょっと待て!遠慮しなくていいと言っただろ!」
高野:「マサに『先生より高い物を頼むとは何事だ!』と言われたのを覚えているんですよ」
愛原:「そうなのか。いや、今ここに高橋はいないから気にするな。いざとなったら俺から言っておくし、高野君も言ってくれるよな?」
高野:「ええ、もちろんです」
愛原:「というわけだ。改めて何がいい?」
リサ:「トンカツ定食、ご飯大盛り!」
斉藤:「私もリサさんと同じので!」
斉藤さんは御嬢様でありながら空手の有段者でもある為、体力などを維持する為に食欲も大きいのだろう。
高野:「私はカツカレーでお願いします」
愛原:「へいへい。皆してカツ頼むな」
リサ:「テキにカツってサイトーに言われた」
斉藤:「『敵に勝つ』のゲン担ぎです、先生」
愛原:「本当はそれ、栄養学的にNGらしいからな?」
どちらかというと、運動には自信の無い私が言うのも何だが。
〔「……宮城県内で二晩続いて起きましたバイオハザード事件ですが、現在も尚、県内2つの現場では事件の後始末に追われており……」〕
店内ではテレビが設置されていて、それでニュースをやっていた。
テレビで観ると、改めて凄い事件に2夜連続で巻き込まれたものだと思う。
愛原:「それにしても斉藤さん、今後はもう少し動きやすい服装で旅行した方がいいかもね。御嬢様っぽくていいんだけど」
リサ:「私みたいに動きやすい服装」
斉藤:「ええ。お父さんに言って、今度はそうしてもらいます」
リサ:「サイトー、スカートだから今、足技使ったらパンツ見えちゃう?」
斉藤:「思いっ切り見えちゃうよ」
リサ:「今度やって。私にセーラー服着せるんだから、それくらいいいでしょ?」
斉藤:「ええ〜?リサさんの頼みなら、嫌とは言えないけどぉ〜?」
リサ:「むふー」
これは……。
リサの表情から察するに、リサはSっ気があり、斉藤さんにはMっ気がある。
リサはラスボスを張るくらいの存在なのでそれは分かるが、斉藤さんは……。
学校ではワガママS女王で通っているらしいが……。
しばらくして、注文した定食やカレーができる。
リサ:「いただきまーす」
斉藤:「いただきます」
高野:「先生、御馳走になります」
愛原:「ああ」
子供と大人の食事前挨拶の違い。
[同日13:45.天候:晴 同場所 大江戸温泉物語店内]
昼食を終えた私達は早速、温泉に入ることにした。
露天風呂の方が天然温泉らしいので、私は率先してそこに入る。
何となく寂しいのは、高橋がいないからか。
しかし、全く高橋が来る様子が無い。
温泉から出た私は痺れを切らしたわけではないが、高橋に電話してみることにした。
繋がってコールするが、なかなか出ない。
まさか、半グレとのケンカに負けてボコされて監禁されているとか、或いは警察の御厄介になっているとか、そんなオチじゃあるまいな?
男:「はい、もしもし?」
愛原:「あ、誰だ?」
やっと電話に出たと思ったら、聞き慣れない声だった。
男:「愛原先生っスか?」
愛原:「そ、そうだが、キミは誰だ?」
声の感じからして、高橋と大して歳の変わらぬ青年といった感じだった。
あまりガラの良い感じではないので、警察関係者というわけではなさそうだ。
まさか、ガチで半グレ!?
男:「マサのダチの佐藤って言います。今、マサは手が離せないんで、代わりに電話に出ろって言われたんで」
愛原:「な、何だ、そうなのか。手が離せないってどういうことだ?まさか、ケンカ?」
佐藤:「いや、そんなカッコいいもんじゃないっス。ちょっと遊びに夢中になってるだけで」
愛原:「まさか、女と?」
佐藤:「いえ、そんな羨ましいもんじゃないっス。マサは今、確変が止まらなくて……」
愛原:「パチンコしてんのか!何やってんだ、あいつ!」
佐藤:「あいつだけウハウハで、マジパネェっす」
愛原:「色んな意味ではな!早くこっちに来いって言っといてくれ!」
佐藤:「了解っス。もうすぐ俺、代打ちしますんで」
愛原:「何の台やってるんだよ!?」
佐藤:「CR顕正会っス」
愛原:「意外だね!?意外なのやってるね!?」
佐藤:「今、ケンショレンジャーモードで16回転目に入ってますんで」
愛原:「何だよ、ケンショーレンジャーって!最近見かけないと思ってたら、パチンコに出てんのかよ……」
佐藤:「しかも4円パチっス」
愛原:「4円パチで確変何回も出してんの!?あいつ、凄ェな!」
佐藤:「CR創価学会にしようかと思ったんですが、『んっ?さんからクレームから来るからダメだ』と言ってました」
愛原:「やめろよ、そんなメタ発言……。てか、出そうに無いな、その台は……」
佐藤:「とにかく、『愛原先生がお怒りだ』とだけ伝えておきますんで」
愛原:「いや、怒ってはいないよ?ただ、あまり遊び惚け過ぎても困ると言ってるんだ。というか、キミ達はどこのパチ屋にいるの?」
佐藤:「あ、コロナワールドのD’STATIONです」
愛原:「1つ屋根の下かーい!」
ども、ありがとうございましたー。