[8月24日01:30.天候:晴 宮城県大崎市鳴子温泉 鳴子中央ホテル]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
せっかくの2泊3日の旅行、1日目が無事に終わろうとしていた矢先に、またバイオハザード絡みの事件に巻き込まれてしまったようだ。
最初は餓鬼のようなクリーチャーに襲われたとか思っていたのだが、1階でハンターに襲われたことで、これがバイオテロであることが分かった。
餓鬼のヤツ、地下階で放火までしやがったのでガチである。
高橋:「先生!エレベーターが動きません!」
愛原:「しまった!火災管制か!」
エレベーターの火災管制とは、エレベーターが火災報知器と連動して作動する保安装置のことである。
火災管制装置の付いているエレベーターに乗っていて、その建物が火事になったりすると、そのエレベーターは内外の状況に関わらず、避難階に直行するというものだ。
そしてそこでドアを開けて乗客を降ろすと、再びドアが閉まる。
すると、あとはそれが解除されるまでエレベーターは作動しないというものだ。
地震管制というのもあるが、これは大きな地震が発生すると最寄りの階に止まってドアを開けるというもの。
火災管制との違いは、最寄りの階にすぐ止まるか、そうでないかの違いだ。
火災管制が最寄りの階に停止してドアを開けないのは、そういう時に限ってそこが出火階だったりするからである。
大抵は1階に設定されていることが多い。
だから火災が発生して火災管制が作動した場合、1階に直行するものと思ってもらって良い。
え?1階が出火階だったらどうするのかって?
青葉カヤロウにでも聞いてくれ。
愛原:「しょうがない。しんどいけど、非常階段で……」
私は非常階段の方を見た。
だがその直後……。
宿泊客A:「火事だ!」
宿泊客B:「早く逃げろ!」
宿泊客達がわんさか下りて来た。
これでは逆走して登ることができない。
愛原:「そうだ!非常エレベーターがある!」
私はバックヤードに向かうと、非常エレベーターを探した。
それは正に火災の際、消防隊が出火階に向かう為のエレベーターのことである。
普段は荷物用や従業員用のエレベーターとして稼働していることが多い。
高橋:「それで行きましょう!」
高野:「鍵は私が持ってるから!」
愛原:「それもそうだ!早く高野君も来るんだ!」
高野:「分かりました!」
非常エレベーターはすぐに見つかった。
やはりこちらは火災管制とは別のせいか、ちゃんと稼働した。
愛原:「これで7階まで直行だ!」
私達は非常エレベーターに乗り込むと、それで7階に向かった。
愛原:「ん?何か焦げ臭くないか?」
高橋:「先生、火事の現場はこのエレベーターを地下2階に下りてすぐです。だから、場所的にはこの真下なんですよ」
愛原:「そうなのか。急がないと、このエレベーターも止まっちゃうな」
もしも火事が地下2階のこのエレベーターまで襲って来たらそうなるだろう。
だが、何かおかしかった。
上に向かうにつれて火からは逃れているはずなのに、焦げ臭さが消えない。
愛原:「おわっ!?」
何と、エレベーターがガクンと大きく揺れて止まってしまった。
階数表示を見ると6階になっている。
あとワンフロアだったのに……。
だが、エレベーターのドアが僅かに開いた。
愛原:「高橋、こじ開けるぞ!手伝え!」
高橋:「はい!」
私と高橋は両開きのエレベーターのドアを左右に分かれてこじ開けた。
そしてやっと人が1人通れるくらいの大きさまで開いた。
愛原:「高野君!先に行け!」
高野:「はい!」
高野君を先にエレベーターホールに出す。
そして外から高野君が手持ちのライフルをつっかえ棒にするようにドアに挟んだ。
高野:「先生!マサ、早く!」
愛原:「すまない!」
高橋:「サンクス、アネゴ!」
私と高橋がエレベーターの外に出ると、高野君がつっかえ棒にしていたライフルを引き抜いた。
直後、エレベーターがドアを開けたまま下に落ちていった。
愛原:「危ねぇ!」
高橋:「間一髪でしたね」
高野:「ちょっと先生、外がヤバい!」
上の階なのに焦げ臭い理由が分かった。
非常ドアを開けて廊下に出ると、6階も火事だった!
愛原:「何だぁ!?上の階も火事なのか!?」
高橋:「! さっきの客達、やたら慌てて下りて来ましたけど、もしかして、この非常放送にビビッたとかじゃなく、ガチの火災だったんじゃ!?」
愛原:「マジかよ!?早く2人を避難させないとヤバい!」
幸い6階は火が見えるのではなく、黒い煙が出ているだけだった。
もちろん、これとて危険だ。
毒ガス成分を含んでいるからな。
私はエレベーターホールにある内線電話機を取った。
理想なのは既に2人は避難していて電話に出ないことだった。
が!
リサ:「も、もしもし!?」
愛原:「リサか!?俺だ!愛原だ!」
リサ:「愛原先生!大変なことになったの!ガリガリに痩せた化け物が私達を襲って……!」
愛原:「やっぱりか!無事なのか!?」
リサ:「何とか。でも、部屋のドアをドンドン叩いてる。サイトーがいるから、私も十分に力を出して戦えない」
愛原:「火事はどうだ!?下の階が今火事になってるんだが……」
リサ:「こっちは焦げ臭いけど、何とか大丈夫」
愛原:「分かった!俺達は今、6階にいるんだ!すぐに階段で7階に上がるから、部屋で待ってろ!」
私は電話を切った。
愛原:「よし、行こう!」
高野:「6階の宿泊客は避難したみたいです!」
愛原:「それなら非常階段が使えるな!」
私達は近くの非常階段を使って7階に上がった。
そして、廊下に出る非常口の鉄扉を開けた。
愛原:「うっ!?」
だが、7階の状況は1階と同じであった。
恐らく火災放送を聞いて避難しようとした、他の部屋に宿泊していた客達だろう。
惨殺死体となって廊下に累々と転がっていた。
こんなことするヤツは、ハンター以外に一匹しかいない。
餓鬼:「ンッ、ンーッ!」
廊下の向こうにあの餓鬼がいた。
高野:「見つけたよ!おいたもこれまでってところだね!」
高橋:「月に代わっておしおきだぜ!」
愛原:「高橋、オマエ本当に20代か?」
高橋:「モチロンっすよ!」
高橋はマグナムを構え、餓鬼に発砲した。
だが、餓鬼はすばしっこく、高橋のマグナムが当たらない。
もちろんそれでは高野君のライフルも照準が当てられない。
となると、私のショットガンで射殺するしかないか。
と、その時だった。
愛原:「まだ出て来るな!!」
何と、702号室のドアが開いて、そこからリサと斉藤さんが出てきたのだ。
餓鬼:「ンーッ!!」
餓鬼はそれを目ざとく見つけ、リサと斉藤さんの所に走った。
右手には鋭い爪を立てている。
愛原:「くそっ!」
高野:「先生!撃ったらマズいです!あのコ達に当たっちゃいます!」
愛原:「じゃあどうするんだよ!?」
あいにくとリサは斉藤さんに遠慮してか、完全に人間形態になっている。
その時、私は咄嗟に閃いた。
1:斉藤さんだ!
2:高橋、何とかしろ!
3:高野君、頼む!
4:私が何とかするしかない!
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
せっかくの2泊3日の旅行、1日目が無事に終わろうとしていた矢先に、またバイオハザード絡みの事件に巻き込まれてしまったようだ。
最初は餓鬼のようなクリーチャーに襲われたとか思っていたのだが、1階でハンターに襲われたことで、これがバイオテロであることが分かった。
餓鬼のヤツ、地下階で放火までしやがったのでガチである。
高橋:「先生!エレベーターが動きません!」
愛原:「しまった!火災管制か!」
エレベーターの火災管制とは、エレベーターが火災報知器と連動して作動する保安装置のことである。
火災管制装置の付いているエレベーターに乗っていて、その建物が火事になったりすると、そのエレベーターは内外の状況に関わらず、避難階に直行するというものだ。
そしてそこでドアを開けて乗客を降ろすと、再びドアが閉まる。
すると、あとはそれが解除されるまでエレベーターは作動しないというものだ。
地震管制というのもあるが、これは大きな地震が発生すると最寄りの階に止まってドアを開けるというもの。
火災管制との違いは、最寄りの階にすぐ止まるか、そうでないかの違いだ。
火災管制が最寄りの階に停止してドアを開けないのは、そういう時に限ってそこが出火階だったりするからである。
大抵は1階に設定されていることが多い。
だから火災が発生して火災管制が作動した場合、1階に直行するものと思ってもらって良い。
え?1階が出火階だったらどうするのかって?
青葉カヤロウにでも聞いてくれ。
愛原:「しょうがない。しんどいけど、非常階段で……」
私は非常階段の方を見た。
だがその直後……。
宿泊客A:「火事だ!」
宿泊客B:「早く逃げろ!」
宿泊客達がわんさか下りて来た。
これでは逆走して登ることができない。
愛原:「そうだ!非常エレベーターがある!」
私はバックヤードに向かうと、非常エレベーターを探した。
それは正に火災の際、消防隊が出火階に向かう為のエレベーターのことである。
普段は荷物用や従業員用のエレベーターとして稼働していることが多い。
高橋:「それで行きましょう!」
高野:「鍵は私が持ってるから!」
愛原:「それもそうだ!早く高野君も来るんだ!」
高野:「分かりました!」
非常エレベーターはすぐに見つかった。
やはりこちらは火災管制とは別のせいか、ちゃんと稼働した。
愛原:「これで7階まで直行だ!」
私達は非常エレベーターに乗り込むと、それで7階に向かった。
愛原:「ん?何か焦げ臭くないか?」
高橋:「先生、火事の現場はこのエレベーターを地下2階に下りてすぐです。だから、場所的にはこの真下なんですよ」
愛原:「そうなのか。急がないと、このエレベーターも止まっちゃうな」
もしも火事が地下2階のこのエレベーターまで襲って来たらそうなるだろう。
だが、何かおかしかった。
上に向かうにつれて火からは逃れているはずなのに、焦げ臭さが消えない。
愛原:「おわっ!?」
何と、エレベーターがガクンと大きく揺れて止まってしまった。
階数表示を見ると6階になっている。
あとワンフロアだったのに……。
だが、エレベーターのドアが僅かに開いた。
愛原:「高橋、こじ開けるぞ!手伝え!」
高橋:「はい!」
私と高橋は両開きのエレベーターのドアを左右に分かれてこじ開けた。
そしてやっと人が1人通れるくらいの大きさまで開いた。
愛原:「高野君!先に行け!」
高野:「はい!」
高野君を先にエレベーターホールに出す。
そして外から高野君が手持ちのライフルをつっかえ棒にするようにドアに挟んだ。
高野:「先生!マサ、早く!」
愛原:「すまない!」
高橋:「サンクス、アネゴ!」
私と高橋がエレベーターの外に出ると、高野君がつっかえ棒にしていたライフルを引き抜いた。
直後、エレベーターがドアを開けたまま下に落ちていった。
愛原:「危ねぇ!」
高橋:「間一髪でしたね」
高野:「ちょっと先生、外がヤバい!」
上の階なのに焦げ臭い理由が分かった。
非常ドアを開けて廊下に出ると、6階も火事だった!
愛原:「何だぁ!?上の階も火事なのか!?」
高橋:「! さっきの客達、やたら慌てて下りて来ましたけど、もしかして、この非常放送にビビッたとかじゃなく、ガチの火災だったんじゃ!?」
愛原:「マジかよ!?早く2人を避難させないとヤバい!」
幸い6階は火が見えるのではなく、黒い煙が出ているだけだった。
もちろん、これとて危険だ。
毒ガス成分を含んでいるからな。
私はエレベーターホールにある内線電話機を取った。
理想なのは既に2人は避難していて電話に出ないことだった。
が!
リサ:「も、もしもし!?」
愛原:「リサか!?俺だ!愛原だ!」
リサ:「愛原先生!大変なことになったの!ガリガリに痩せた化け物が私達を襲って……!」
愛原:「やっぱりか!無事なのか!?」
リサ:「何とか。でも、部屋のドアをドンドン叩いてる。サイトーがいるから、私も十分に力を出して戦えない」
愛原:「火事はどうだ!?下の階が今火事になってるんだが……」
リサ:「こっちは焦げ臭いけど、何とか大丈夫」
愛原:「分かった!俺達は今、6階にいるんだ!すぐに階段で7階に上がるから、部屋で待ってろ!」
私は電話を切った。
愛原:「よし、行こう!」
高野:「6階の宿泊客は避難したみたいです!」
愛原:「それなら非常階段が使えるな!」
私達は近くの非常階段を使って7階に上がった。
そして、廊下に出る非常口の鉄扉を開けた。
愛原:「うっ!?」
だが、7階の状況は1階と同じであった。
恐らく火災放送を聞いて避難しようとした、他の部屋に宿泊していた客達だろう。
惨殺死体となって廊下に累々と転がっていた。
こんなことするヤツは、ハンター以外に一匹しかいない。
餓鬼:「ンッ、ンーッ!」
廊下の向こうにあの餓鬼がいた。
高野:「見つけたよ!おいたもこれまでってところだね!」
高橋:「月に代わっておしおきだぜ!」
愛原:「高橋、オマエ本当に20代か?」
高橋:「モチロンっすよ!」
高橋はマグナムを構え、餓鬼に発砲した。
だが、餓鬼はすばしっこく、高橋のマグナムが当たらない。
もちろんそれでは高野君のライフルも照準が当てられない。
となると、私のショットガンで射殺するしかないか。
と、その時だった。
愛原:「まだ出て来るな!!」
何と、702号室のドアが開いて、そこからリサと斉藤さんが出てきたのだ。
餓鬼:「ンーッ!!」
餓鬼はそれを目ざとく見つけ、リサと斉藤さんの所に走った。
右手には鋭い爪を立てている。
愛原:「くそっ!」
高野:「先生!撃ったらマズいです!あのコ達に当たっちゃいます!」
愛原:「じゃあどうするんだよ!?」
あいにくとリサは斉藤さんに遠慮してか、完全に人間形態になっている。
その時、私は咄嗟に閃いた。
1:斉藤さんだ!
2:高橋、何とかしろ!
3:高野君、頼む!
4:私が何とかするしかない!