報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「決戦!」

2019-09-04 19:32:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日01:30.天候:晴 宮城県大崎市鳴子温泉 鳴子中央ホテル]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 せっかくの2泊3日の旅行、1日目が無事に終わろうとしていた矢先に、またバイオハザード絡みの事件に巻き込まれてしまったようだ。
 最初は餓鬼のようなクリーチャーに襲われたとか思っていたのだが、1階でハンターに襲われたことで、これがバイオテロであることが分かった。
 餓鬼のヤツ、地下階で放火までしやがったのでガチである。

 高橋:「先生!エレベーターが動きません!」
 愛原:「しまった!火災管制か!」

 エレベーターの火災管制とは、エレベーターが火災報知器と連動して作動する保安装置のことである。
 火災管制装置の付いているエレベーターに乗っていて、その建物が火事になったりすると、そのエレベーターは内外の状況に関わらず、避難階に直行するというものだ。
 そしてそこでドアを開けて乗客を降ろすと、再びドアが閉まる。
 すると、あとはそれが解除されるまでエレベーターは作動しないというものだ。
 地震管制というのもあるが、これは大きな地震が発生すると最寄りの階に止まってドアを開けるというもの。
 火災管制との違いは、最寄りの階にすぐ止まるか、そうでないかの違いだ。
 火災管制が最寄りの階に停止してドアを開けないのは、そういう時に限ってそこが出火階だったりするからである。
 大抵は1階に設定されていることが多い。
 だから火災が発生して火災管制が作動した場合、1階に直行するものと思ってもらって良い。
 え?1階が出火階だったらどうするのかって?
 青葉カヤロウにでも聞いてくれ。

 愛原:「しょうがない。しんどいけど、非常階段で……」

 私は非常階段の方を見た。
 だがその直後……。

 宿泊客A:「火事だ!」
 宿泊客B:「早く逃げろ!」

 宿泊客達がわんさか下りて来た。
 これでは逆走して登ることができない。

 愛原:「そうだ!非常エレベーターがある!」

 私はバックヤードに向かうと、非常エレベーターを探した。
 それは正に火災の際、消防隊が出火階に向かう為のエレベーターのことである。
 普段は荷物用や従業員用のエレベーターとして稼働していることが多い。

 高橋:「それで行きましょう!」
 高野:「鍵は私が持ってるから!」
 愛原:「それもそうだ!早く高野君も来るんだ!」
 高野:「分かりました!」

 非常エレベーターはすぐに見つかった。
 やはりこちらは火災管制とは別のせいか、ちゃんと稼働した。

 愛原:「これで7階まで直行だ!」

 私達は非常エレベーターに乗り込むと、それで7階に向かった。

 愛原:「ん?何か焦げ臭くないか?」
 高橋:「先生、火事の現場はこのエレベーターを地下2階に下りてすぐです。だから、場所的にはこの真下なんですよ」
 愛原:「そうなのか。急がないと、このエレベーターも止まっちゃうな」

 もしも火事が地下2階のこのエレベーターまで襲って来たらそうなるだろう。
 だが、何かおかしかった。
 上に向かうにつれて火からは逃れているはずなのに、焦げ臭さが消えない。

 愛原:「おわっ!?」

 何と、エレベーターがガクンと大きく揺れて止まってしまった。
 階数表示を見ると6階になっている。
 あとワンフロアだったのに……。
 だが、エレベーターのドアが僅かに開いた。

 愛原:「高橋、こじ開けるぞ!手伝え!」
 高橋:「はい!」

 私と高橋は両開きのエレベーターのドアを左右に分かれてこじ開けた。
 そしてやっと人が1人通れるくらいの大きさまで開いた。

 愛原:「高野君!先に行け!」
 高野:「はい!」

 高野君を先にエレベーターホールに出す。
 そして外から高野君が手持ちのライフルをつっかえ棒にするようにドアに挟んだ。

 高野:「先生!マサ、早く!」
 愛原:「すまない!」
 高橋:「サンクス、アネゴ!」

 私と高橋がエレベーターの外に出ると、高野君がつっかえ棒にしていたライフルを引き抜いた。
 直後、エレベーターがドアを開けたまま下に落ちていった。

 愛原:「危ねぇ!」
 高橋:「間一髪でしたね」
 高野:「ちょっと先生、外がヤバい!」

 上の階なのに焦げ臭い理由が分かった。
 非常ドアを開けて廊下に出ると、6階も火事だった!

 愛原:「何だぁ!?上の階も火事なのか!?」
 高橋:「! さっきの客達、やたら慌てて下りて来ましたけど、もしかして、この非常放送にビビッたとかじゃなく、ガチの火災だったんじゃ!?」
 愛原:「マジかよ!?早く2人を避難させないとヤバい!」

 幸い6階は火が見えるのではなく、黒い煙が出ているだけだった。
 もちろん、これとて危険だ。
 毒ガス成分を含んでいるからな。
 私はエレベーターホールにある内線電話機を取った。
 理想なのは既に2人は避難していて電話に出ないことだった。
 が!

 リサ:「も、もしもし!?」
 愛原:「リサか!?俺だ!愛原だ!」
 リサ:「愛原先生!大変なことになったの!ガリガリに痩せた化け物が私達を襲って……!」
 愛原:「やっぱりか!無事なのか!?」
 リサ:「何とか。でも、部屋のドアをドンドン叩いてる。サイトーがいるから、私も十分に力を出して戦えない」
 愛原:「火事はどうだ!?下の階が今火事になってるんだが……」
 リサ:「こっちは焦げ臭いけど、何とか大丈夫」
 愛原:「分かった!俺達は今、6階にいるんだ!すぐに階段で7階に上がるから、部屋で待ってろ!」

 私は電話を切った。

 愛原:「よし、行こう!」
 高野:「6階の宿泊客は避難したみたいです!」
 愛原:「それなら非常階段が使えるな!」

 私達は近くの非常階段を使って7階に上がった。
 そして、廊下に出る非常口の鉄扉を開けた。

 愛原:「うっ!?」

 だが、7階の状況は1階と同じであった。
 恐らく火災放送を聞いて避難しようとした、他の部屋に宿泊していた客達だろう。
 惨殺死体となって廊下に累々と転がっていた。
 こんなことするヤツは、ハンター以外に一匹しかいない。

 餓鬼:「ンッ、ンーッ!」

 廊下の向こうにあの餓鬼がいた。

 高野:「見つけたよ!おいたもこれまでってところだね!」
 高橋:「月に代わっておしおきだぜ!」
 愛原:「高橋、オマエ本当に20代か?」
 高橋:「モチロンっすよ!」

 高橋はマグナムを構え、餓鬼に発砲した。
 だが、餓鬼はすばしっこく、高橋のマグナムが当たらない。
 もちろんそれでは高野君のライフルも照準が当てられない。
 となると、私のショットガンで射殺するしかないか。
 と、その時だった。

 愛原:「まだ出て来るな!!」

 何と、702号室のドアが開いて、そこからリサと斉藤さんが出てきたのだ。

 餓鬼:「ンーッ!!」

 餓鬼はそれを目ざとく見つけ、リサと斉藤さんの所に走った。
 右手には鋭い爪を立てている。

 愛原:「くそっ!」
 高野:「先生!撃ったらマズいです!あのコ達に当たっちゃいます!」
 愛原:「じゃあどうするんだよ!?」

 あいにくとリサは斉藤さんに遠慮してか、完全に人間形態になっている。
 その時、私は咄嗟に閃いた。

 1:斉藤さんだ!
 2:高橋、何とかしろ!
 3:高野君、頼む!
 4:私が何とかするしかない!
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“私立探偵 愛原学” 「110番の際に現場で火災が発生している旨を伝えると、警察から消防へ通報してくれます」

2019-09-04 15:24:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月24日01:00.天候:晴 宮城県大崎市鳴子温泉 鳴子中央ホテル]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 すんごいマズいことになった。
 たまたまホテルの屋上展望台から温泉街を眺めていたら、山の方から餓鬼のようなガリガリに痩せた全裸の子供が襲って来たのだ。
 何の脈絡でそうなったのか、今現在は全く分からない。
 しかし、その子供は明らかに人間ではない。
 普通の子供がエレベーターのドアをこじ開けたり、私達の銃弾から逃れられると思えないからだ。

 愛原:「……いや、3人でフロントに行こう」
 高野:「先生!?」
 愛原:「高橋の言う通りだ。リサはあれでもタイラントを従えることができる上位BOW。あの餓鬼がどれくらいの強さなのかは知らないが、斉藤さんを守ってくれるくらいはできるだろう。それに……」
 高橋:「それに?」
 愛原:「そもそも助けを呼べていないのに、護衛もヘッタクレも無いってことだ」
 高橋:「それもそうだ!」
 愛原:「まず、下がどうなっているのか確認してからでも遅くはない。あの餓鬼はどうも俺か高橋、或いは両方を個人攻撃しに来ただけかもしれない。それだったら、むしろ俺達は斉藤さん達から離れていた方が安全かもしれない」
 高橋:「それは言えてますね」
 高野:「分かりました。取りあえず、フロントに行きましょう」

 私達は再びエレベーターに乗ると、それでフロントに向かった。
 今度は餓鬼に襲われることはなかったが……。

〔1階です。ドアが開きます〕

 高橋:「うわっ!?」
 愛原:「何たるちゃあ……」
 高野:「ひど……!」

 やはり斉藤さんは連れて来なくて正解だった。
 フロントは流血の惨に見舞われていた。
 フロントマンの机の上には電話機が転がっており、それで私が電話を掛けても繋がらなかったわけである。

 愛原:「誰か!?生きているヤツはいるか!?」

 しかし、私の呼び掛けに応える者はいなかった。
 フロントの奥に行くと、従業員の1人は館内放送のマイクを片手に息絶えていた。
 背中から何かに串刺しにされ、それが体を貫通して亡くなったようである。
 恐らく、館内に異常が発生したことを伝えようとした矢先に殺されたのだろう。

 高橋:「先生!全部これ、ヤツの仕業ですか!?」
 愛原:「そうかもしれないな」
 高橋:「全員1人で!?」
 愛原:「! まさか……!」
 高野:「あの餓鬼が複数いるのかもしれないってことね。先生やマサが見たのは1人だけだったのかもしれないけど」
 愛原:「マジか……!と、取りあえず警察を呼ぼう!」

 私はスマホを取り出した。

 愛原:「なにっ!?」
 高橋:「どうしました!?」
 愛原:「圏外だ!」
 高橋:「まさか!?」

 高橋も自分のスマホを取り出した。
 すると、高橋のスマホも圏外になっていた。
 それは高野君のも同じだった。

 高野:「イキなことしてくれるじゃない。ねぇ、先生?」
 愛原:「固定電話はどうだ!?」

 当然ながらフロント電話は壊されていてムリ。
 事務所の電話も、電話線は繋がっているのだが受話器を取ってもうんともすんとも言わなかった。

 愛原:「ロビーの公衆電話は?!」

 因みに殺されていたのは、フロントやその奥の事務室にいたホテルマン達だけではなかった。
 ロビーで過ごしていたと思われる宿泊客も、転がったソファの下から血だけの死体で見つかったのである。

 愛原:「あれ、繋がったぞ!?」
 高橋:「さすが先生です!」
 高野:「災害でも公衆電話は繋がりやすいと言いますからね」
 愛原:「もしもし、警察ですか?大量殺人事件が発生しました!すぐに来てください!場所は鳴子温泉の鳴子中央ホテルです!……私の名前は愛原学。東京都内で探偵業をやっている者です。それで……」
 高橋:「何だ!?」

 事務所の方で何か大きなアラーム音が聞こえた。
 あれは確か、防災盤のアラーム音だ。
 私は電話をしながら、高橋に見てくるように合図をした。

 高橋:「分かりました!」

 高橋は急いで事務所に向かった。

 高野:「くっ!」

 高野君は狙撃用のライフルを持っている。
 その高野君がスコープを覗き、どこかに狙いを定めている。

 愛原:「警察が向かっている?!いや、そんな気配は無いですよ!?いいから早く来てくださいよ!」

 バァン!

 愛原:「!?」

 非常口のドアがブチ破られる音がした。
 そこから入って来たのは、警察官の生首を持ったハンターだった。
 霧生市にも現れたクリーチャーの一種で、2足歩行の爬虫類の化け物だと思ってくれて良い。
 大きさは大人の熊くらい。
 しかし熊よりも身体能力は高く、飛び掛かって首狩りなどの即死攻撃をしてきたり、鋭い爪でひっかき攻撃をしてきたりする。
 高野君がライフルでそのハンターの頭を撃ち抜いた。

 愛原:「警察じゃダメだ!BSAA寄越せ!!」

 私は電話をガチャンと切った。

 高橋:「先生!大変です!地下2階の機械室やら駐車場やらが火事です!」
 愛原:「なにいっ!?」
 高橋:「てか、防犯カメラにあのクソ餓鬼がガソリン撒いて放火している様子が映ってました!」
 愛原:「見に行く!高野君は今度は消防に通報して!」
 高野:「分かりました。あと一匹倒したら、通報します」
 愛原:「まだいたのか!」

 ハンターこそ一匹だけじゃなかったようだ。
 どうやらハンターは、先に駆け付けた警察官達を片付ける役目を負っていたようだった……って!

 愛原:「誰かの命令でやってるのか、あいつら!?」
 高橋:「確かに霧生市の場合は、アンブレラの命令で動いていたわけですよね!?」
 愛原:「くそっ!どこのテロ組織だ?!」

 私と高橋は事務所に戻り、防犯カメラの映像を見た。
 高橋が見た映像には、『燃料室』と書かれていた。
 ここは雪国だから、冬は雪による停電に警戒している。
 その為、自家発電装置や暖房器具に使う燃料を保管している部屋があると聞いたが、そこが狙われたのか!
 そう思った直後、今度は館内に一斉に非常ベルが鳴り響いた。
 そして、サイレンも。

〔火事です。火事です。地下2階で火災が発生しました。落ち着いて避難してください〕

 愛原:「そ、そうだな。取りあえず、上階の客室は無事なんだから、そこの宿泊客は避難させないと」

 映像を見る限り、もはや消火器では消火不能なレベルまで火災が発生し……。

 愛原:「ちょっと待て!スプリンクラーはどうした!?普通、ああいう所にはハロンとか二酸化炭素とか使った消火ガスを噴射して火を消す装置があるはずだぞ!?」

 しかもカメラを動かしてみると、燃料保管室の扉が開放されており、火や煙がダダ漏れしている!

 高橋:「フザけやがって!あのクソ餓鬼!ぶっ殺す!」
 愛原:「それより7階に戻るぞ!リサと斉藤さんを避難させないと!」
 高橋:「は、はい!」
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