報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「賽の河原で見た真相」

2014-04-30 19:41:11 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月1日 時刻不明 地獄界“賽の河原”入獄審査場 蓬莱山鬼之助]

「次は甲だな。お前の罪は許せん。河原で石積みの刑だ」
「お前は乙か。“学校でイジメ被害の再体験”コース。よろしくぅ!」
 キノは巡視役のはずだが、何故か審査場の受付で送られた罪人達の仕分けをしていた。
「ほい、一段落」
「意外とキミは、こういう仕事の方が向いているのかな?」
 青鬼監督が首を傾げる。
「叫喚地獄でも、入獄審査とかやってたもんで」
 キノは片目を瞑った。
「座っていると重い刀を下げなくていいっていう楽さもあるんで」
「ちょっと待った。少なくとも剣客が言うセリフじゃないよ、それ」
 刀を下げた状態で椅子に座ると、刀が引っ掛かるので、受付業務の際は刀を腰から外す。
「で、監督、何か用っスか?」
「ああ。この前、キミが検索していた者なんだけどね……」
 監督はスッと1枚の書類をキノの前に置いた。
「どうやら閻魔庁側で結審したらしく、ここに送られることになったようだ」
 それは栗原江蓮の体の本当の持ち主、魂としての栗原江蓮のことである。
 心臓疾患で僅か15歳で死亡した栗原江蓮は成仏したかと思われたが、罪障の関係で如何に仏法に縁していたと言えども、地獄界送りになったようである。
 代わりにキノの計らいで地獄界から這い上がった川井ひとみが入れ替わるように栗原江蓮の体に憑依し、今では栗原江蓮として生きている。
「ええっ?マジっスか?さすがに哀れだなぁ……」
「罪人に私情は禁物だよ。もしまたやったら、今度という今度はキミも捕縛されて、投獄されることになるだろう」
 キノが川井ひとみに一目惚れして地獄界から勝手に這い上がらせたことは重罪であり、蓬莱山家が叫喚地獄を総べる獄長の一族ということで、その力を駆使したこともあり、キノは無期限停職で済んだ。
 本来は地獄界の辺境とはいえ、賽の河原でバイトすることも許されないのだが、人手不足という理由で『研修』と称してここに来ている身分だ。
 また勝手に罪人に私情を挟んだら、さすがに蓬莱山家の威光も及ばなくなるだろう。
「まあ……そうっスね」

 こうして、入獄審査場に魂としての栗原江蓮がやってきた。
 当然であるが、見た目は肉体と同じである。
(江蓮……)
 無論監督はキノが変な気を起こさないよう、審査官は別の獄卒に振った。
 しかしキノは離れた所から、それを見ていた。
「その方、名を申せ」
「栗原……江蓮です」
 当然ながら、声も肉体と同じである。
「閻魔庁でも言われたと思うが、如何に仏法を実践していたとて、完全に罪障が消滅しきっておらぬ。また、病死により、両親に対する親不孝の罪もある。よってこの賽の河原にて、その罪と向き合うが良い!」
「……はい」
「ああいうことってあるんだな」
「そもそも、栗原家は元々創価学会所属だったからな、その分の罪障が大きかったようだ」
 青鬼監督がそう言った。
「なあ、カントク。あいつの担当、オレにやらせてくれ……やらせてください。あいつには勝手に体を使わせてもらっている借りがある」
 しかし青鬼監督は、静かに首を横に振った。
「あいにくだが、それはできない相談だよ。キミが栗原江蓮の肉体を無断使用している件は、地獄界全てに知れ渡っている。キミが担当すると、間違いなく私情を挟むという色眼鏡で見られることだろう。あくまでキミがここに来たのも、栗原江蓮が来たのもただの偶然なのだ。分かるかね?」
「そんな……」
「キミのここでの仕事は、あくまでも遊撃的な巡視役だ。獄卒と罪人達のやり取りを見ているだけでいい。キミも少しは立場をわきまえたまえ」
「くっ……!」
 キノは右手で拳を作り、歯ぎしりをした。
「鬼之助君。今、私が言ったことをヒントにして、よく考えてみなさい。きっといい手段が見つかるはずだ」
 青鬼監督は牙を覗かせてニッと笑いながら、詰所の方へと戻っていった。
「ヒントだぁ……?」

「オラオラーっ!早く石積め!」
 まずは河原で石積みの刑場に送られた栗原江蓮。
 担当獄卒達が鞭や金棒片手に罪人達を恫喝して回る。
「あっ……」
 生前、川井ひとみと違ってあまり体力の無かった栗原江蓮は、積んだ石を自ら崩してしまった。
「何しとるか、貴様っ!!」
「!!!」
 近くにいた獄卒が気づいて、金棒を振り上げた。
 栗原江蓮は両手で頭を押さえた。
「やめとけ」
 しかし、そこへたまたま巡視に来たキノが止めた。
「な、なにっ!?」
「彼女はまだここに来たばかりだ。少しは大目に見てやれ」
「ちっ……!余計な口出しはしないでもらおう!」
「おい、お前。もっと向こうの方でやれ。向こうの石は軽くて平べったくて積みやすいぞ」
「は、はい!」
 それを見届けたキノは、
「悪かったな。あばよ」
「何なんだ、アンタわ!?」
 当然ながら、止めた獄卒に変な顔をされた。
(たまたま巡視に来て止めるっつー方法も、何回かやるとムリが出てくるな……。もっといい方法が無いものか……)
「おっ、ここにいたのか」
「ん?」
 そこへまた別の獄卒がやってきた。
「お前に電話だぞ。詰所に戻れ」
「それって校舎の裏に呼び出し的な……?」
「んなワケあるか!実家から電話だぞ」
「実家!?」
 キノは目を丸くした。
 こんな所に電話してくる者など、送り込んだ張本人しかいない。
「5分以内に掛け直さないと、もう1回電話するということだが、どういう意味なんだろうな?」
「は、はは……ちょっとその……蓬莱山家の隠語で……。詰所な?」
「詰所だ」

 キノは詰所に戻った。
「姉貴のヤツ、この忙しいのに何なんだ……」
「ああ、鬼之助君。その電話を使いたまえ」
 青鬼監督が尖った爪で電話機を指さした。
「人間界じゃスマホが主流だってのに、こっちは未だに黒電話かい。電話番号、いちいち覚えてねーぞ」
「実家の電話番号も覚えてないのかい?」
「ケータイで1発だからな……」
 キノは自分のケータイを取り出した。
「……って、アンテナ立ってる!圏外じゃねぇの!?」
「何を言ってるのか分からんが、早いとこ掛け直した方がいいんじゃないのかね?」
「お、おう」
 キノは自分のケータイに登録された実家の電話番号を検索すると、それを見ながらダイヤルを回した。
{「はい、蓬莱山です」}
 電話の向こうから末妹の声がした。
「おう、魔鬼か。オレだ、オレ」
{「蓬莱山家では名前を名乗らない人は、オレオレ詐欺と見なしまーす」}
「誰がオレオレ詐欺だ!兄貴の声くらい、1発で気づけ!鬼之助だ!」
{「ああ、キノ兄ィ。久しぶり」}
「姉貴がここに電話したっつーんで、掛け直した。姉貴に代わってくれ」
{「はーい」}
 すぐに電話の声が聞き慣れた姉に変わる。
{「ああ、ウチやけどね」}
「蓬莱山家では名前を名乗らない人はウチウチ詐欺と見なしまーす!」
{「……アンタ、ふざけとるんなら、今すぐそっちへ“面会”に行ってもええんよ?」}
「冗談です!お美しいお姉さま!」
{「まあ、ええわ。で、アンタの今後の処遇なんやけど、十分に反省したと思ったら、いつでも家に戻って来ィ。人間界の江蓮ちゃんには、ウチからフォローしておいたき、ウチも付いとくから、後でアンタの口からよう謝るんよ?それこそ、土下座する勢いでなぁ」}
「あ、ああ。まあ、ちょっとこっちでやるべきことがあるから、それが終わったらにしとく」
{「そっちでずっと働きたい言うんなら、それでも構わんけど……」}
「いやまあ、ちょっとな……。!」
 その時、キノの頭に何かもやもやしたものが浮かんだ。
(何だ?この感じ……。何かが……何かが繋がりそうだ)
{「……まあ、何かあったらすぐ連絡するんよ?で、さっき父さんから聞いたんやけど、そっち、何か携帯電話が繋がるみたいやから、それで連絡できるんよ」}
「ああ。オレも今さっき気づいた」
{「じゃあ、そっちの偉いさん達の言うことよう聞いて、頑張りや」}
「ああ。分かった」
 キノは電話を切った。
「何だかんだ言って、キミのことが心配なんだ。いいお姉さんじゃないか」
 青鬼監督はニコニコして言った。
「そ、そうっスね……」
 しかし今日においては、頭の中に現れたモヤモヤ感が晴れることは無かったのである。
コメント (4)
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小説の途中ですが、ここで普通の日記をお送りします。

2014-04-30 16:54:01 | 日記
 ふと気づいたのだが、普通の日記よりも駄作の小説の方がシェアが広かったりw
 普通の日記の方がメインのはずなんだが……。
 まあ、それは後で考えよう。
 今日は久しぶりに所属寺院に参詣してみた。
 はっきり言って、参詣の頻度は稲生ユウタ達に物凄く劣る。
 偶然かもしれないがこの前の添書登山といい、今回と言い、最近私が信心に関連する行動をしようとすると雨に見舞われることが多いような……。
 でもこれは今に始まったことではなく、顕正会員時代からのことなので、大して気にはしていない。
 障魔の働きが雨程度で済むんなら、安いもんだ。
 魔というのは信心を妨害しようとする際、やろうと思えば、ありとあらゆる手段を使ってくるからね。
 さしもの鉄ヲタも、路線全部が止まったらお手上げである。

 2月の支部登山、あの大豪雪は魔過ぎるだろ?いや、俺は(知識を悪用駆使して何とか)辿り着けたけど。

 次の支部登山、台風が直撃したりしてな。
 新幹線は雪にはある程度強いが、台風には弱いからなぁ……。
 まあとにかく、私が今日参詣した目的は添書登山の申し込みの為である。
 何とか自己誓願、月イチ登山ができていることは有難い限りだ。
 交通手段は相変わらずの経費節減の折、往復“やきそばエクスプレス”だが。
 支部登山の時くらいは新幹線で行きたいなぁ……。久しぶりにN700系に乗るのもオツだろう。

 職場に寄ってから参詣したので、メトロ東西線に久しぶりに乗った。
 旧型の05系にこれまた久しぶりに乗ったが、いずれはこいつもジャカルタ行きだろうか。
 現地では冷房付きのきれいな電車、尚且つ走行性能もいいということで、乗員・乗客共に大好評であるという。
 で、冷房が付いてる準急だか急行電車は特別料金取るんだと。
 こんな通勤電車で、追加料金取るのかよ。まあ、おかげでオンボロ各駅停車と比べれば空いているらしい。

 そんなことを考えながら、高田馬場で所用を済ませ、タクシーに飛び乗って現地に向かう。
 今度の運転手は、意外と所属寺院の場所について知っていた。
 もっとも、ナビと睨めっこしながらの行程だったが。
 タクシーのナビに、ちゃんとお寺が出てるんだね。素晴らしい。

 御供養袋に御供養を詰めて提出する。
 藤谷春人みたいに札束を突っ込めたらなぁ……。
 あ、でも、競馬で勝った金は不浄過ぎるかな。
 御供養は浄い財だからね。不浄な財ではダメか。
 顕正会でも、パチスロで勝った金を広布御供養として出したら、上長が苦い顔してたな。
 こんなことを書くと、穿った見方をする顕正会員から、
「参詣する度に御供養と称して、金を取るのか!やはり宗門は堕落している!」
 とでも言われかねないが、御供養しないと添書登山を受け付けてくれないわけでは絶対に無いので念のため。
 詳細を知りたければ、いつでもどうぞお近くの寺院をお訪ねください。

 ついでにまた乗り鉄。メトロ有楽町線に乗ってみると、またまた久しぶりに東武9000系がやってきた。
 しかも、リニューアルされている。内装だけ見れば、新型車両みたいだ。
 オンボロ電車というイメージの東武だが、リニューアルだけでも相当上手くできるものだな。

 話は全く変わるが、女性顕正会員パラパラ茜女史のブログが更新された。
 コメントに対するレスは全く無かったが、冒頭から既に法華講員に対する怨嫉。あれは無いなと思った。
 無論、私は女史とあの法華講員達との間に何があったか知る由は無いし、知ろうとも思わないが。
 もし仮に法華講員達の言動などが怨嫉だと思うのなら、むしろ罪障消滅だと喜ぶべきだと思うのだがね。
 むしろそうだとブログに書く分には、まだ好感が持てるだけに非常に残念である。
 私だって顕正会員時代、法華講員によくブログを荒らされたものだ。
 あれは今でも頂けないと思っているので、反面教師にしている。
 顕正会員だから荒らしてもいいわけではないことに留意するべきである。
 あれは喝破でも砕破でもなく、ただの放火だ。何故なら、どこにも慈悲を感じないからである。
 なので私は、仮に顕正会を脱会することがあったとしても、荒らしをしてくるような輩のいるお寺には絶対に行かないと思ったね。
 それは正しい判断だったと今でも思っている。
 え?そんなこと言ったって、オマエ結局前の寺を飛び出しただろって?
 あれは信心の最中に、第3者の介入によるトラブルに巻き込まれただけだ。あれは全くの想定外だった。

 トチローさんには申し訳ないが、黒歴史にさせてもらうよ。

 私は顕正会員のブログに、まずは1度だけ挨拶に行く。好感触であれば、その後も出入りさせて頂く。厳虎さん所がそうだな。
 バーズさんやパラパラ茜さんの場合は、あまり好感触ではなかったようなので、挨拶で終了だ。
 少なくとも、
「ユタ?ああ、そういえばそんなヤツ来たっけな……」
 程度にしてくれれば結構である。
 仏縁というのは、いつどこであるか分からないものだ。
 縁があれば、どこかでまた会うさ。

 添書登山の時まで、できる限りの罪障消滅と仏様の御加護を信じて……。
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“ユタ愉快な仲間たち” 「賽の河原で見た真相」

2014-04-30 10:20:12 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月末 時刻不明 地獄界のどこかにあるという“賽の河原” 蓬莱山鬼之助]

「オラぁ!そこ!もっと腰入れろ!」
 雑草刈りの現場。
 キノは今日、その現場を訪れた。
 地獄界には珍しい、見渡す限りの草原が広がっている。
 ここに送り込まれた10代の少年少女には、果てしなく続く重労働が待っているという。
 キノが巡視にやってくると、ここを担当している下級獄卒達は金棒や鞭を持っているのが分かった。
 始末書を山のように書き、実家では大叱責をよく食らうキノだが、家柄と階級の高さから、そういった者だけが許される帯刀をしているのとは対照的だ。
「もう嫌ですぅ……許してくださぃぃぃ……」
「少し休ませてくれ……」
 賽の河原というからには、『報われない労働』をさせるのが基本だと思うが……。
 キノは持っていたマニュアルに目を通した。
「なるほど。ブレイクの時は、この笛を吹くのか」
 キノはホイッスルを吹いた。
「よーし!休憩!」
「やった!」
 キノの笛を待ち侘びたかのように、罪人達がホッとした表情で倒れ込む。
「鬼之助さん、お疲れさまです」
 近くにいた獄卒がキノに挨拶してきた。
「おう。ここで笛を吹けっていうんでそうしてみたが、これから何が起こるんだ?ていうか、どのくらい休憩させるんだ?」
「まあ、見ててください」
「いいか、お前ら!」
 別の獄卒が休憩している罪人達に呼びかける。
「休憩時間は自由だ!好きなだけ休んで構わぬ!」
「おおっ!」
 歓喜する罪人達。
「但し、その時間と比例して草は伸びるからな!それもちゃんと刈れ!分かったか!?」
「ええーっ!?」
 確かにそれまで刈り取ってスッキリした野原に、グングンとまた草が生え伸びる。
「確かに“賽の河原”だ、ここ……」
 キノは思いっきり納得した。
「石を積むのは小さな子供でもできます。しかし、10代になればもっと重労働をさせるのです」
「来世への罪障リセットって、こういうことか……。確かに叫喚地獄だけにいたんじゃ知る由も無かったな」
「この川の上流では、ダム工事をさせています」
「そうか」
「完成と同時に決壊し、また最初から作り直させるわけです」
「ここ最近、人間界でNEETや自宅警備員が増えている理由って、賽の河原のせいってことは無ェよな?」
 キノが口元を歪めていると、
「脱走だ!」
「待てや、コラ!」
 現場の方で怒号が飛び交った。
「たまにいるんですよ」
 キノに説明していた獄卒がそれだけ言うと、金棒を手に脱走者の確保に向かった。
「ったく。変に開放的だからな、賽の河原ってな……。叫喚地獄みてぇに、地味に閉鎖的な方が脱走者もゼロだぜ」
 キノは腕組みをして呟いた。
「……そこにいるんだろ?隠れてないで出てこい」
 キノは振り返りもせず、背後の気配に向かって言った。
 しかし、何の反応も無い。
「出てこいと言ってるんだ!」
 左腰に差した刀の束に手をやり、少し振り向いて警告した。
 目をギラッと光らせ、口から牙を覗かせる。
「お願いです……助けてください……」
「お願いです、じゃねぇ!さっさと戻れ!」
 出て来たのは江蓮くらいの歳……よりも下くらいの少女。
 そこへ、他の獄卒が3人ほど駆けつける。
「そこにいたか!」
「鬼之助さん、確保ありがとうございます!」
「オレは何もしてねぇ。てか、もっと目を光らせておけ」
「はい、すいません!」
「手間取らせやがって!来いっ!!」
 泣き叫ぶ少女をお構いなしに、ズルズルと引きずって行く獄卒達だった。
「…………」
 腕組みをしてその様子を見つめていたキノは、ふとこんなことを考えていた。
(江蓮も1歩間違えりゃ、ここに送り込まれていたというわけか……)

[同日同場所 “賽の河原”獄卒事務所 蓬莱山鬼之助]

 栗原江蓮は10代で死亡したものの、ちゃんと成仏したらしい。
 検索を掛けてみたが、数多ある罪人リストに掲載されていなかった。
「未決囚は入ってないよ」
 と、PCの前に座るキノに、青鬼監督が言った。
「おお〜。って、マジっスか?」
「だから、掲載されていないからイコール成仏したと思わない方がいいよ」
「?」
 キノが首を傾げていると、
「要は『地獄界に来なかった』というだけで、成仏したかどうかまでは分からない。人間界でも逮捕されたら即、刑罰ってわけじゃないでしょ?それと同じ」
「ふーん……。10代で病気で死んだ場合、どういう扱いになるんスかね?」
「親不孝の扱いになるから、ここに来るだろうね」
「仏法とかやってても?あの日蓮の……」
「日蓮仏法か。それなら……。でも病気で死んだのもまた大きな罪障によるものだからね、だから決めかねてるんじゃないかな。まあ、間違っても、また元の体に戻って来ることはないと思うよ。特定の人間にぞっこんするような鬼は、他にいないだろうからね」
「へへ、どうも……」
 ↑コイツのことである。
「まだ、ほとぼりは冷めていないようだ。もう少しいた方がいいな」
「……オレ、いつんなったら出れるんスかね」
「罪人みたいなこと言わないの」
「で、オレが気になったのは……。川井ひとみは、ここじゃなく、オレがいた叫喚地獄にやってきました。あいつも10代で死んだのに、どうしてここじゃなかったんスかね?」
「ここは子供……日本の場合は20歳未満だな。……が死んで、親不孝と見なされた罪人達が来る所なんだよ。だから例えば、もう親がいない場合は、親不孝でも無いからここには来ない」
「あれ?川井ひとみは親いたと思うけどなぁ……」
「恐らく、何とも思わなかったんだろうね。その場合でも、親不孝とは見なされないことがある」
「マジっスか!?子供が死んでも悲しまないとは……!」
「何も、そんなに驚くこともあるまい。大昔から存在していたことだよ。間引きとか“野捨子(のつご)”とか……ね」
「長年、獄卒やってるけど、結構な最前線なんだなぁ……」

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 過去世の罪障で計算されるため、今生において罪は無くても、親からの虐待などといった憂き目に遭うのである。
 よく虐待事件が発生した時に、『子供に罪は無い』とかいって子供をかばうのだが、仏法的には過去世の罪障によるものと見なされ、『いやいや、子供にも罪がある』のである。
 だから生まれてくる子供には、個人的には『御愁傷様』って感じかな。
 過去世の罪障を消滅できず、また今生で罰ゲームを食らうんだからね。
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