3月16、17、18日の私のブログで「志賀原発1号機臨界事故」という言葉をタイトルに使った。タイトルとして分かりやすいと思ったからである。しかし実を云うと、「臨界事故」が技術用語として定義されていることを知らずに使っていたのである。
YOMIURI ONLINE(2007年3月18日12時49分 読売新聞)が次のように報じている。
《志賀原発臨界事故、商業軽水炉では世界初…IAEA
原子力施設での臨界事故は過去に世界で60件発生していることが、国際原子力機関(IAEA)などの統計で17日明らかになった。
大半は核燃料プラントなどで起きており、北陸電力志賀原子力発電所(石川県志賀町)の臨界事故は、商業軽水炉で起きたケースとしては世界で初めてとなる。(後略)》
なんだか大層なことになってきたのだが、違和感もある。
臨界事故というのは英語では criticality acdicentで、世界の過去60件に及ぶ臨界事故を調査した「A Review of Criticality Accidents 2000 Revision」 (Los Alamos National Laboratory)の用語集では次のように定義されているのである。
《criticality accident: The release of energy as a result of accidentally producing a self-sustaining or divergent fission chain reaction.》
この定義によると、臨界であれ超臨界であれ、過失などで(accidentally)思いがけず核分裂連鎖反応が始まり、核分裂エネルギーが放出されることを「臨界事故」と呼ぶことになる。量的な基準が記されていないので、定義としては甘いと思うが、志賀原発1号機の場合は、制御棒が誤って落ちたことから核分裂連鎖反応が始まったらしいので、その意味ではまさしく「臨界事故」に相当しそうである。
しかし「志賀原発1号機臨界事故」とこのReviewに記されている「臨界事故」とは、その規模と内容に大きな隔たりがあるようだ。核燃料加工施設で起きた「臨界事故」の最後に東海村JCO臨界事故が挙げられているが、この時は被爆者が二名亡くなっている。今回の「臨界事故」はこれと同列に並べられるほどの大きな事故なのだろうか。
量的なデータといえば、モニターシステムである中性子計装系にしても、一般に中性子の測定は三つの範囲に分けて行う、と世界百科大事典が解説している。中性子源領域もしくは起動領域は0出力から定格出力の1/1000ぐらいまでの領域、原子炉周期領域とも呼ばれる中間領域は定格の0.01%から1%くらい、そして出力領域が1%から100%出力までを対象としているとのことである。志賀原発1号機のモニターにはどの領域での測定結果が記録されていたのだろうか。
私の印象ではマスメディアが臨界事故の程度を誇張した報道をしているような気がする。私の数々の疑問にも答えてくれる専門家による科学的な解説がそろそろ現れて欲しいものである。それともマスメディアの気に入らない解説ばかりがもうすでに集まっているのだろうか。
YOMIURI ONLINE(2007年3月18日12時49分 読売新聞)が次のように報じている。
《志賀原発臨界事故、商業軽水炉では世界初…IAEA
原子力施設での臨界事故は過去に世界で60件発生していることが、国際原子力機関(IAEA)などの統計で17日明らかになった。
大半は核燃料プラントなどで起きており、北陸電力志賀原子力発電所(石川県志賀町)の臨界事故は、商業軽水炉で起きたケースとしては世界で初めてとなる。(後略)》
なんだか大層なことになってきたのだが、違和感もある。
臨界事故というのは英語では criticality acdicentで、世界の過去60件に及ぶ臨界事故を調査した「A Review of Criticality Accidents 2000 Revision」 (Los Alamos National Laboratory)の用語集では次のように定義されているのである。
《criticality accident: The release of energy as a result of accidentally producing a self-sustaining or divergent fission chain reaction.》
この定義によると、臨界であれ超臨界であれ、過失などで(accidentally)思いがけず核分裂連鎖反応が始まり、核分裂エネルギーが放出されることを「臨界事故」と呼ぶことになる。量的な基準が記されていないので、定義としては甘いと思うが、志賀原発1号機の場合は、制御棒が誤って落ちたことから核分裂連鎖反応が始まったらしいので、その意味ではまさしく「臨界事故」に相当しそうである。
しかし「志賀原発1号機臨界事故」とこのReviewに記されている「臨界事故」とは、その規模と内容に大きな隔たりがあるようだ。核燃料加工施設で起きた「臨界事故」の最後に東海村JCO臨界事故が挙げられているが、この時は被爆者が二名亡くなっている。今回の「臨界事故」はこれと同列に並べられるほどの大きな事故なのだろうか。
量的なデータといえば、モニターシステムである中性子計装系にしても、一般に中性子の測定は三つの範囲に分けて行う、と世界百科大事典が解説している。中性子源領域もしくは起動領域は0出力から定格出力の1/1000ぐらいまでの領域、原子炉周期領域とも呼ばれる中間領域は定格の0.01%から1%くらい、そして出力領域が1%から100%出力までを対象としているとのことである。志賀原発1号機のモニターにはどの領域での測定結果が記録されていたのだろうか。
私の印象ではマスメディアが臨界事故の程度を誇張した報道をしているような気がする。私の数々の疑問にも答えてくれる専門家による科学的な解説がそろそろ現れて欲しいものである。それともマスメディアの気に入らない解説ばかりがもうすでに集まっているのだろうか。