税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

売主の瑕疵担保責任

2008-12-23 08:32:29 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

売主の瑕疵担保責任
今日は民法570条の「売主の瑕疵担保責任」です。
条文は次のように規定されています。
「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)の規定 を適用する。」つまり、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、買主が善意で、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。また、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

1.売買の目的物に隠れた瑕疵が最初からあったこと
売買の目的物の一部の瑕疵は最初からあったこと。契約後に生じたときはまた別の問題になります。

2.特定物売買であること
不特定物(例えば新車など)では欠陥のない他のものを供給する義務がありますが、中古自動車のような特定物売買では他に同じものはありません。したがって、それがあるがままの状態で買主に引き渡せば売主の全責任を 果たしたことになります。(民法483条)

3.損害賠償の範囲
損害賠償の範囲は、信頼利益と履行利益がありますが、この場合の損害賠償は、信頼利益の範囲に限られます。信頼利益とは、瑕疵がないと信頼したことによる損害(例、修繕費など)で、履行利益とは、瑕疵のない完全なものを供給されたら得られたであろう事業上の利益(例、転売利益など)で、一般的には履行利益>信頼利益です。

4.瑕疵担保責任の本質
瑕疵担保責任の本質については、意見が分かれていますが、裁判所は「法定責任説」をとっているようです。売主の過失がなくても、売買制度の維持のため、法律が売主の責任を決めているということです。

5.強制競売について
注意しなければいけないのは、この民法570条の売主の瑕疵担保責任は強制競売の場合には適用されないということです。また、判例は、この瑕疵は物の瑕疵だけでなく法律上の瑕疵を含むとしています。したがて、強制競売の落札者が落札した土地に法律上の制限が付されていて建物を建築できないときなどにはこの民法570条で売主の責任を追及できないということです。

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