外観と中央制御室。
2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受け、一時棚上げ状態となったバタアン原発(稼働凍結中、ルソン地方サンバレス州)の稼働案が再浮上している。ルソン地方の電力事情が深刻化しているためで、同原発を管理する国家電力公社のサンタリタ総裁は9月中旬の下院聴聞会で、「再整備に必要な10億ドルの資金があれば、4年後には発電が可能になる」と説明、約30年前の完成以来、一度も稼働していない同原発の活用を訴えた。下院エネルギー委員会(ウマリ委員長)の聴聞会に招致されたサンタリタ総裁によると、原発を新たに 建設するためには、50~60億ドルと約10年の歳月が必要。これに比べて、バタアン原発稼働に必要な費用は安上がりで、「4年後には、ルソン送電網全体の需要の1割に相当する620メガワットの電力供給が可能になる」(同総裁)という。
アロヨ前政権下からバタアン原発稼働の必要性を訴えてきたマーク・コファンコ元下院議員も、聴聞会後に発表した声明で、「稼働すれば、年間7億4千万ペソから10億ペソの発電料が国庫に入る。再整備に必要な10億ドルなど取るに足りない額だ」と政府に決断を迫った。安全性については、8月中旬に再稼働した九電川内原発1号機と同じ加圧水型である点を強調、「再稼働は安全性を示す最高の実例」と主張した。しかし、同原発は建設開始から約40年が経過しており、施設全体で経年劣化が進んでいる。下院聴聞会に同席した国家原子力研究所(PNRI)のレオニン原子力規制課長は、「安全な稼働が可能」と主張する同公社に対し、その技術的根拠を事前に示すよう求めた。さらに、4年間で再整備が終わった場合も「PNRIによる安全性の確認に少なくとも5年は必要」と説明。実際の稼働は早くても9年後になることを指摘し、慎重な対応を促した。バタアン原発の建設はマルコス政権下の1976年に始まった。総事業費21億ドルを投じた国家事業だったが、マルコス政権崩壊とチェルノブイリ原発事故、事業をめぐる不正疑惑浮上により、コラソン・アキノ大統領=当時=が86年、稼働凍結を決めた。
原発稼働が本格的に検討されたのは、凍結から約20年後のアロヨ前政権下。電力不足の懸念が高まったためで、国際原子力機関(IAEA)専門家チームによる調査や韓国電力公社(KEPCO)の事業可能性調査が実施された。前政権末期の2010年3月には、新原発の建設候補地12カ所も公表された。アキノ現政権も、基本的に前政権のエネルギー政策を引き継いだが、11年3月の福島原発事故を受け、原発稼働を含めた原子力エネルー利用を優先課題から外して一時棚上げした。
エネルギー省によると、ルソン地方のピーク時電力需要は年率4%強の割合で増え、30年には現在の約2倍に当たる1万6千メガワットに達する。発電所の新規建設が電力需要増に追いつかない状況下、バタアン原発を火力に転用する案も検討されている。
@世界的規模で進められている環境破壊やCO2を撒き散らす火力発電等、途上国のこうした問題は地球的規模での異常気象を全世界にもたらしている。そんな意味でも、再稼働に前向きに取り組むことは、非常に喜ばしい事だ。
兎に角、フィリピンのように電気事情の悪い国こそ、積極的に原発稼働に取り組んでいくべき。その際は、是非安全性に優れた日本製をお勧めします。
原発を稼働していれば、シナの核に対する抑止力にもなりますよ。