野菜料理をしていて想うこと。

2015年03月01日 | 日本の「食」

野菜料理をしていると、思わず知らず、東や西、和洋の絵画のような
風景が目の前に広がります。今日もそんな一日でした。
まず一つは、春の畑の種蒔きのように。
糠床に漬け込んだばかりの赤い小蕪たち。



もう一つは春の運動会のように。240度のオーブンに入る前、
色とりどりの野菜たちの押しくらまんじゅう。



魚料理も好きだけど、野菜に触っていると自然の中で遊んでいる
ようで、ほっとした優しい、豊かな気持ちになってきます。

50も半ばを過ぎて、僕もだんだんベジタリアンになっていくようです。
もともと、昔からの日本の食事は穀物菜食、大豆に海藻、そんなこと
だったのではないだろうか、当時の人々はもっと自然の中で当たり前に
暮らしていたのだろうと思う。
そこからすれば、日本の食事は本当に遠くに来たものです。

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今年は「和食が世界遺産になった」と騒がれ、浮かれた言葉も
沢山耳にする。僕は内心、福島の原発事故の後に、自分たちの足元も
見えないような馬鹿馬鹿しい話だと思っている。世界で認められようが
認められまいが、自らの風土を失ってしまえば、食の遺産も、私達の文化
も、どこにも相続先のない話となる。それは荒唐無稽の話では全くない。
福島第一の東電原発事故は収束したどころか、それは今も継続中の
プロセスである。日本の風土の源である土地、海、空気の汚染は広がり、
福島第一の原発建屋や格納庫の崩壊、使用済み燃料の暴走の危険性も
常に抱えたままだ。

僕はドイツで日本の食に携わるならば、その食文化の本当に大切な部分と
その根っことなるところをよく見極め、その部分を少しでも伝えていける
ようにしたいと思う。