末期高齢者になってしまった老人の日記

我が家の花の写真を中心に、日々の暮らしの中で起きたこと等を書かせていただきます。

ローマその8 サンタンジェロ橋

2012-03-19 19:03:44 | 海外旅行

朝の散歩で撮ったサンタンジェロ橋

前回ご紹介したサンタンジェロ城の前にあるテベレ川に架かる橋には
素敵な天使像があります。

朝の散歩では綺麗な橋と思って見ただけで
今迄この橋については全く知らぬままに過ぎていましたが
調べて見ると色々と歴史があり、また像も大変美しいのでご紹介します。

サンタンジェロ城とサンタンジェロ橋

橋の歴史

ローマ皇帝ハドリアヌス帝により西暦134年頃
ローマの中心街から彼が建てた霊廟(後のサンタンジェロ城)を結ぶための
テレベ川を渡る橋として建設されました。

この橋は、巡礼者が聖ピエトロ大聖堂に行くためにも使われたために
「聖ピエトロの橋」(pons Sancti Petri)の名前でも知られていました。

そして7世紀に法王グレゴリー一世により前回のサンタジェロ城で述べたような理由で
城と橋はサンタンジェロの名前を持つ様になりました。

その後この橋は、1450年には訪れた何百人もの巡礼者の重みで壊れ
200人が溺れ死ぬという事故が起き、橋桁の一部を残して造り直されました。


橋の像の歴史

1534年に法王クレメント七世によって橋の入り口に聖ピーターとセントポールの像が築かれました。

現在の橋に残る聖ピーターとセントポールの像

更に1536年に、法王ポール三世は8つの化粧漆喰の天使像を橋に沿って築きました。

1669年になって法王クレメンス九世は、老化した化粧漆喰像を置き換える事をきめ
キリスト受難の道具(instruments of the Passion)を持つ10人の天使像の作成を
親友でもあったベルニーニに依頼しました。
(像の名前等の翻訳は良く分からぬため、適当にしたものですのでご了承下さい)

10体の天使像のうちの2体はベルニーニ自身が作りましたが
残り8体はベルニーニのデザインにより、当時のローマで活躍していた
ベルニーニの弟子の彫刻家たちにより1660~1668年に制作されました。

そして最初の像は、1669年9月に、最後の像は1671年11月に橋に築かれました。

天使像が並ぶ橋

像の紹介

ベルニー自身が作った天使像

ベルニーニが作った「上書き書を持つ天使」と「いばらの冠を持つ天使」は
完成した時にそれを見た法王クレメンス九世が
この天使像が風雨にさらされるのが忍びないと考え自分で保管してしまいました。

サンタンジェロ橋の上に置かれたのはその複製で現在でもその複製が飾られています。

次の写真は今橋に並ぶその二つの複製像ですが
何故同じ天使の3つの写真が出ているのかについて説明します。

ベルニーニは、人々が橋の両側から渡る事を考え、3つの視点を考えて作りました。
即ちローマの街側から入る人と、サンタンジェロ城側から入る人は
像を先ず45度の角度で見て、次いで像の所にきて正面から見ますので、
その3つの視点を考慮して作成しました。

下の写真の左はローマ側から、中央は正面から、右は城側から像を撮った写真です。

ベルニーニはこの様な3つの視点からみた像が如何に見えるかを知るために
粘土でフルスケールモデルを用いて検討しており
そのモデルの一部はバチカン博物館で見ることができるようです。

上書き書を持った天使


いばらの冠を持った天使

二つの天使像のオリジナルは、その後彼の子孫によって保存されていましたが
西暦1729年にサン・タンドレア・デッレ・フラッテ教会に寄贈され
現在もこの教会にあります。

橋の上の像全体

次の写真は、橋の左右に置かれている像を
ローマの街からサンタンジェラ城に向かっての順に並べたものです。

橋の上の像全体

写真の上の像(橋の左側の像)

聖ピーター(St Peter)
鞭を持つ天使(Angel with the scourge)
いばらの冠を持つ天使(Angel with the Crown of Thorns)
衣服とさいころを持つ天使(Angel with the Garment and Dice)
上書き書を持つ天使(Angel with the Superscription)
酢を差し出す天使(Angel with the Sponge(with vinegar)

写真の下の像(橋の右側の像)

聖ポール(St Paul)
王座を持つ天使(Angel with the Column(the throne)
粗末な衣服の天使(Angel with the Sudarium )
釘を持つ天使(Angel with the Nails)
十字架を持つ天使(Angel with the Cross)
槍を持つ天使(Angel with the Lance)


サンタンジェロ城側からの橋


個々の像

個々の像も大変美しいので、次にベルニーニの複製像以外の像を掲載しますが
写真を撮った方向はばらばらです。


鞭を持つ天使


衣服とさいころを持つ天使。サイコロは衣服の中にあります


酢を差し出す天使


王座を持つ天使


粗末な衣服の天使


釘を持つ天使


十字架を持つ天使


槍を持つ天使

今回の説明内容と写真は、主としてローマの歴史を扱っているサイト
「ABRIDGED HISTORY OF ROME」の中のサンタンジェロ橋を扱った
「Passeggio di Ponte S. Angelo」の中の「The Statues of the Angels in detail」
http://www.romeartlover.it/Vasi85b.html からのものを用いましたので
ご興味のある方はこのサイトもご覧になって下さい。




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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ばたやん)
2012-03-19 19:45:24
サンタジェロ橋には200人が死ぬと言う大事故が起きたんですね。しかし、この後天使像が
並ぶ橋は素晴らしい光景です。天使像はそれぞれが本当に美しい像ですね。一度実際に見て見たい気持ちになりました。ローマはロマンの街なんですね。
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ばたやんさん 今晩は (ktemple)
2012-03-19 21:04:49
早速お読み頂き有難うございます。
実際に見た時は何の知識もなかったので、
橋を離れて眺めただけで、今調べてみて実に
残念な事をしてしまった思っています。
写真で見て本当に美しい像と思っています。
仰るように、歴史の街ローマはロマン溢れた街です。
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Unknown (三面相)
2012-03-19 21:12:50
ローマにはたくさんの遺跡とかたくさんの像があったのは覚えていますが・・・・
それが何処の何だったなんぞは何にも知らないです。
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おはようございます (imaipo)
2012-03-20 08:22:14
沢山の遺跡がこうして残ってるんですね
石の文化橋も城も素晴らしいですね。
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三面相さん お早うございます (ktemple)
2012-03-20 09:07:37
小生も行った時には事前には殆ど調べて
いませんでしたから、今になると色々と
見たというだけで、具体的な記憶は殆ど
残っていません。
今調べて初めてそういうものだったかを
知った次第です。
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おはようございます♪ (ベル)
2012-03-20 09:09:13
5百年近く前に、こんな立派な橋が建設されるなんて、
優れた技術が、ヨーロッパには有ったんですね。
日本にも橋は沢山有りますが、芸術とコラボした橋は、
ローマならではでしょうね(*^▽^*)
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imaipoさん お早うございます (ktemple)
2012-03-20 09:10:12
本当に石の文化は長い期間残っており
素敵ですね。
調べてみて、そんなにも古いものであった
のかとびっくりする事が多いです。
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お早うございます。 (IKUKO)
2012-03-20 09:32:00
素晴らしい天使の像ですね!!
橋の上にこんな芸術が\(◎o◎)/
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おはようございます (ヒューマン)
2012-03-20 10:38:32
ひとつひとつの像にそれなりの謂れがあるのですね
ツアーで行ってもただ通り過ぎるだけです。
こうしてブログで紹介いただくと勉強になりますね
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ベルさん 今日は (ktemple)
2012-03-20 11:35:57
遺跡の建設された時期を知ると、よくもそんな
時代に立派なものを作る技術があったものと
感心させられますね。
このような橋は日本には見られなくて残念です。
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