昨日は上野の東京国立博物館で開催中の「キトラ古墳壁画展」と
「栄西と建仁寺」展の二つを見てきました。
当初は「キトラ古墳壁画」展だけを見る積りでしたが、朝早く行って直ぐに見終わってしまったため、
別の日に見る予定であった「栄西と建仁寺」展も見たために相当疲れました。
今日は前者について報告します。
入場混雑対策
混雑状態をインターネットで調べると、連日入場までに60分以上、
中に入って展示品を見るのに30分待ちの状況でしたので、
昨日は開館9時30分の1時間前に会場に行きました。
既に待っている人も結構いたのですが、入場者整理が始まった結果は、
先頭から45番目で、最初の入場者グループ50人の中に入ることが出来たため
ゆっくりと見る事が出来ました。
キトラ展
今回の展示
壁画は現在2016年度に国営飛鳥歴史公園キトラ古墳地区内に新設する予定の
「壁画保存管理施設」での保存公開を目指して作業が行われており
今はすべての壁画が取り外されています。
今回は壁画の再構成作業が本格化する直前に、東京国立博物館で特別に公開されたものです。
キトラ古墳壁画が村外で公開されるのは今回が初めてであり
今後もその機会はなさそうということで、有難い展示でした。
本展覧会についての東京国立博物館のHPから写真と解説を利用してご紹介しましたので、
ご興味のある方は東京国立博物館のHPをご覧になってください。
キトラ古墳
キトラ古墳外観
直径13.8メートルの円墳で、1983年に石室の盗掘穴からファイバースコープを挿入し、
北壁に描かれた玄武が発見され、1972年に調査された高松塚古墳に続き
2例目の極彩色壁画を持つ古墳であること分かりました。
石室と壁画の玄武
キトラ古墳壁画
キトラ古墳内面には、厚さ数ミリの漆喰が塗られ、
古代中国で四方を守護する四神とされた玄武、朱雀、白虎、青龍のほか、
天井に描かれた天文図、更に壁の下部に描かれたネズミ、ウシなどの動物の顔と
人間の身体を持つ十二支が画かれています。
これらはいずれも中国の陰陽五行思想に基づいて石室を一つの宇宙に見立て、
被葬者の魂を鎮めるものとされています。
また武器を持った獣頭人身の 十二支は守護神的な性格を併せ持ち、
邪悪なものから被葬者を守る意味があるとも言われています。
古墳の築造は、墳丘や石室の形態から7世紀末~8世紀初頭と見られ、
壁画も同時期に中国で流行した図様を巧みに取り入れながら、
優れた技術をもった 工人によって描かれたと考えられています。
本展には出品されませんが、天井の天文図は、
星座の運行を記録した図像としては極めて古いものであり、
当時の天文学的な知識を記録した貴重な資料との事です。
展示品
石室の内部の四方の壁に描かれた四神図のうち朱雀、白虎、玄武の三神と十二支の子・丑の実物、
青龍を加えたそれ等の大きな複製陶画と高松塚古墳壁画の大きな複製陶画、
それにキトラ古墳の出土品等が展示されていました。
展示されている実物は30センチ程のもので、描かれた画はっきり見えないものが多いので
出来るだけ見易くするため、HPに掲載されている写真を画像処理して掲載しました。
朱雀
朱雀
南壁に描かれた朱雀は、わずかに盗掘孔から位置が外れたため損壊を免れました。
長い尾羽をなびかせた堂々とした姿と大きく見開かれた眼の描写が特徴です。
白虎
白虎
西壁の白虎は、向かって右(北壁)を向き、長く胴体を伸ばした姿に表わされています。
玄武
玄武
北壁の玄武は、ほぼ完全な状態で残されており、
向かって左(西壁)に進む亀に蛇が巻きつき、甲羅の上で蛇と亀が睨み合う姿に表わされています。
十二支から子・丑
十二支はそれぞれの壁の下辺に3躯ずつ描かれており、
子は北壁の中央下辺に、丑は北壁の向って右下辺に配されます。
損傷が激しく殆ど図様も分かりませんので写真は掲載しませんが
子・丑いずれも黒い袍(ほう)をまとった人物が手に武具を持ち、
頭部のみが動物の姿に置き換えられてるものとの事です